海外クライアントとの交渉(攻防)
以前、一度お仕事をした中国のクライアントからのリピート依頼がきました。ご縁があって、さらに再び声をかけてもらえるというのは本当にありがたいことです。
ありがたいことなのですが、やり取りの中で少々攻防が繰り広げられましたので、今日はそのことについてまとめたいと思います。
スケジュールは短くなるのに報酬は減る
まず先方が希望する絵の内容についてのみ送られてきたので、その返信の中でこちらから条件を提示しました。(実際のやりとりは英語ですが、ここでは日本語に翻訳しています)
ぼく「制作費30,000円、スケジュールは2週間ください。いかがですか」
そう伝えると
クライアント『私があなたにお願いするのは2回目です、だから20,000円に割引してください。そして私はすこし急いでいる、スケジュールは1週間でおねがいしたいです。』
と返事が。おお、なんだこの圧は。商魂たくましいというかなんというか。
ここだけ見ると失礼な印象を与えるかも知れませんが、依頼メールではぼくの作品のことを素晴らしいと褒めてくれて、『あなたの創造的なスタイルが大好きです。』『ご一緒できるのが楽しみです。』と言ってくれています。からのこれ🙂。
先方の謎理論のまま受け続けると3回目には10,000円、4回目には無料…?なんてことにはならないと思いますが、ボリュームディスカウントするにしても2回でというのは強引すぎではないでしょうか。
クライアントはこう言葉を付け加えます。
クライアント『将来にわたって長期的な協力関係があると信じてください』
そう思うのであれば、ちゃんと今も評価してもらうしかありません…。
続けてのやりとりです
ぼく「スケジュールは短くなるのに、報酬は減るのですか?それは受け入れられません。私の希望する条件が難しければ、残念ながら今回は力になれません」
こちらも毅然とした対応をせねばと、突き放してみたところ
クライアント『わかりました。私が30,000円で上司に掛け合い、申請しました』
(いけるんかい。で、私頑張った感がなんかちょっと恩着せがましい)
クライアント『しかし、このデザインは私たちだけが使用することを約束してください。』
(それはもちろんそのつもりだけれども。逆に20,000円だったらそうでなくてもよかったのか…??グレー…)
クライアント『ちなみに、1週間以内に作品をデザインしてくださいという条件を、理解してくれてありがとう』
(まてまて、ちょまてまて!こちらは理解したなどと1ミリも言うてない!)
こんな感じで交渉しまして、金額はこちらの条件通り30,000円で通りましたが、スケジュールについてはクライアントのすっとぼけた荒技でねじ伏せられました。強かった…
ま、2週間というのはこちらがかなりサバ読んで提示した期間だったので、支障はないのですが…(実質数時間で終わらせる!)
主張する、譲らない、妥協しない、謝らない
このことがあって、いろんな方からご意見やご感想をいただきました。(交渉を応援してくれた方たち、どうもありがとうございます)
な、なるほど…!
中国的なスタイルは、議論を深めていくためには、主張すべきことははっきり主張することが大切であり、相手の反論に対してまた反論し、譲らない、妥協しない、謝らない、といった特徴があるそうですね。
その上ですっとぼけられたらもう無敵やん…
しかし思ったのは、いろいろと面を食らったものの、はじめにこれだけ本音をぶつけ合えるのはある意味健全で、お金のことをぼやかしたり、ちゃんと話ができないクライアントよりもいいんじゃないか…と🙂結果、むしろ好感を持ちました。
独特な「空気を読む」文化の中で「言わずともわかる(わかって)」「言う(言わせる)のは野暮なこと」と、気持ちや考えをストレートに主張することに普段から慣れていない日本人的なスタイル(それがいいという面も、もちろんありますが)のままでは、海外クライアントとの仕事においては対等ではいられないなと痛感した出来事でした。
まだまだ学ぶことが多い。
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