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心から伝え、そして引き出す!【フィードバック⑦ 引き出すという目的】

If an egg is broken by an outside force, life ends. If broken by an inside force, life begins. Great things always begin from the inside. 
(もし、卵が外側からの圧力で割れたら、この中の命が終わる。でも、もし卵が内側からの力によって割れた時は、中の命が始まりを迎える。大いなる一歩は、いつも内側から始まる。*イギリスの格言)

愛で聴き、評価をしない。
同じ方向を見て、相手の気づいてない何かを見つけ、提案する。
この流れから、いよいよ「引き出す」という最後の部分に入ります。

フィードバックでよく見受けられる失敗が、伝えること自体が目的化していることです。その結果として最初に目についた相手の失敗やミス、出来なかった部分を指摘する。あるいはダメ出しをして、相手に丸投げしてしまう。

そうなると、フィードバックの受け手側としては、モチベーションが下がるし、そんなことは自分が一番わかっているんだと思うことも度々。

そして「あいつと話をしても意味がない」と判断するようになっていくわけです。このあたりは第四回でも触れましたね。

その点でも「引き出す」という目的を持っている事はフィードバックにおける最重要課題の一つといえるでしょう。

そこで今日も、前回のその後からお伝えしていきたいと思います。

☆ 相互理解が深まり、アクションは加速する

自習室での彼女の小さな挑戦は日課となっていき、僕も彼女のことがより分かってきました。

結論から言えば、彼女に足りていなかったのは読解力と自信だったのです。もちろん、その理由や背景もありました。

彼女が小学生のころからずっと自分自身の中にしまっていたこと。それは、

「問題文の解釈が本当にあっているか?」

ということでした。確かに日本のテストは日本語がわかりにくい。そう思った方は少なからずいると思います。

彼女の心の優しさは「自分がこんな質問をしたらみんなの迷惑になるのではないか」と考えてしまい、教室で質問をしない選択をしてきたのです。

こうして、彼女はおそるおそる答えを書いて、自分を押し殺しながら学校の時間を過ごすことが習慣化しました。その結果、本当は出来ているのに出来ていない生徒としてずっと思われてきたのです。

当たり前ですが、彼女自身はもちろん、気づかなかった周囲といった誰かのせいにして解決する話ではありませんし、そうしてもさせてもいけません。

僕が大事にしたのはその「優しさ」をアップデートする事。

小さかった頃の自分と違い、成長した彼女自身、彼女を支える人は今、未来の為に異なる選択とアクションを提供できるという事です。

☆ 主体性を育むということ

こうして、彼女の自習室での小さな挑戦が始まり、最初はメモに。次は答案に。自分の考えた答えを書き込み、いい結果も悪い結果も受け入れ、そのたびに自信を積み重ねていきました。

*kindleで半額! これはまさに小さな進捗の力で、後日またやります!

ほどなくして「今日は一人でやってみるので、最後の採点だけみてください」と提案してきました。もちろんOKです!

そしてある日、仲良しのお友達と学校が終わると一番に自習室に入ってきました。

「あれ、今日もうバス着いた?」

と僕が聞いたら、

「授業終わったらそのまま歩いてきました!」

と二人はニコニコしながら答えてくれました。
彼女たちの中学校からこのお寺まで送迎のマイクロバスが出ていたのですが、彼女達は授業後すぐに歩いてきて、数分だけ早く着いたのです。

「なんか最近はここに来るの楽しくて!」

たった数分の自習時間を延ばすために、二人は歩くことを選択したんですね。あとはもう僕が何かをしなくても大丈夫なことは、皆さんも感じられているのではないかと思います。

実際、僕が東京に帰って間もなく、みんなに一気に追いついて、高校受験にも無事に成功したそうです。

*最初の一冊に超おススメ! まさに教科書!

 
☆ フィードバックの本質

彼女たちが得たものは何だったでしょうか?
あるいは引き出されたものは何だったでしょうか?
読んでいるみなさんは、何を感じ、何を思い描いたでしょうか?

フィードバックの目的は「引き出す」こと。
そして、引き出すことの目的は相手の「成長」と言えます。
つまり、フィードバックとは「相手の成長に貢献する」ことです。

多くの会社、学校、家庭では、相手の成長ではなく、仕事や試験といった一過性の結果をどうするかということ。それも上位者(上司、教師、親)側の利益に基づいた情報交換のコミュニケーションが日常化しています。

「それの何が悪い?」という人も多々いる筈です。

でも、落ち着いて考えてみましょう。

仮に、ここで登場した自習室の中学生達に対し、脳のワーキングメモリーが悲鳴をあげるまで短期記憶に正解という知識を押し込み、すぐに忘れようが、勉強が嫌になろうが、とにかく高校合格させる。

その段階で「同じ結果だ!」と言い張ることは出来るかもしれません。

しかし、その結果で起こってしまう燃え尽き症候群やOECDが指摘する先進国最低レベルの「主体性の喪失」や「未来への希望の喪失」は、子供達や部下といった個々人の責任でしょうか?

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もちろん違いますよね。そんな環境や状況を押し付けて楽をしている大人(上位側)の責任なんです。

でもこうして学ぶ楽しさを体験し、主体性という経験を身に着けた子供達は、その経験そのものが人生の財産になる・・と思いませんか?

フィードバックの重要な核とは、相手を信じ、相手の成長にコーチ(ティーチャーではない)として寄り添い、見守る事。

その為に愛(無心)で聴いて、伝える事で相手の盲点に光を当てる。
それを行動につなげていく力へと変えて、まだ相手の内側から現れていない力を外側に出してくる。

それがフィードバックの本質なのだと僕は考えています。

というわけで、今日もまた長くなり、ここまで。
具体的な注意点とかはまた別会でフォローしていく予定です(笑)。

ではでは!

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