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さいさんの地方創生 note【多極分散へ。間違いだらけの政策とこれからを本気で考える①】

というわけで、これまでは東京一極集中にかんして振り返っていきました。
その根底の部分には

【国民の貧困化。特に若い世代の貧困化を加速させてしまい、少子化に大きな影響を与える】

部分があり、こうした過密による弊害が国民を「幸福」から遠ざけてしまっている状況を確認してきたわけです。そのうえで補助金という餌で釣るような移住政策が愚策であり、本質的には国民の可処分所得が向上し、現在の世界情勢の中で「幸福」と呼べるポジションをいかにつくりだすか。

その為の経済政策としての【多極分散】が必要であることも見えてきました。これは東急電鉄や小田急電鉄が成功している町田や厚木、海老名エリアの再開発や鉄道各社が導入している特急指定席で通う「一時間圏内」といったサービスからも突破口が見いだせてくるわけです。
 
幸せにつながらない施策は意味がない。

東急電鉄におけるまちづくりを象徴する一語ですが、まさにこの言葉は「多極分散」というテーマの出発点になると言えるでしょう。

その施策はどうして、こうなって、人を幸せにする。そう説明できなければ意味がないのです。つまり「幸せ」とは何か?ということを言語化できていない人には、施策が作れないということでもあります。

☆「地方こそ産業競争力が必要」の本意とは?

というところで自民党総裁選で若手のホープ・小林議員からこの言葉が発せられました。財務省、ハーバード出身という背景からも論理が明快な若手の方のように拝聴しています。
 
ただ、TSMCのケースを単純に成功事例として捉えて示しているならば、それは表層的であり、霞が関っぽい一次情報の欠如を感じるところでもまたあります。

上記3回の連載でも触れたように、人の移動は経済(産業構造)に大きく相関します。熊本におけるTSMCの存在も同様で、やはり地価を30%以上上昇させ、熊本の労働人口に大きな影響を与えています。

熊本の中心部にあった飲食店やサービス業の方々がTSMCで働いた方が稼ぎが良いと閉店、休業をしてTSMCで働きはじめ、大津町への流入で熊本市内の人手不足は深刻化を増す一方とも聞いています。現在の日本の経済状況では賃上げによる対抗措置が出来ませんので、ここは一方的な草刈り場の様相にならざるを得ないわけです。

こうした世界的な企業の参入は単に社員としての移住者人口が生まれるとかだけではなく、こうした企業を縁の下で支える様々な産業影響を及ぼします。このつながりを可視化し、その波及を予測できないのが今のこの国の行政の致命的な弱点なのです。

そのうえ、TSMCの中でもより給与のよい台湾本社や海外での勤務を希望する方々もかなりの割合になっているとも聞きます。この点では国内労働人口の海外流出も起こしているといえるでしょう。つまるところ、地域内格差を生みだしてしまう対策もまた、この施策には不可欠ということです。
 
太平洋ベルト地帯を形成させた池田内閣のブレーン達は、世界で勝てる産業構築の道筋を描いてエリアを決定し、そこに投資を実行しました。人口増の中で発生する兄弟格差(農家の長男とそれ以外)の解消もまたその戦略の中で行われ、国民全体の所得向上と幸せの底上げを達成したわけです。結果として農業人口は戦前の1920年・約1400万人(人口の約52%)から1995年には380万人(約6%)に。被雇用者(サラリーマン・公務員等)は約740万人(約28%)から約5200万人(約81%)へという変化にもなっていきました。

その意味では、人口減少の今、どんな産業をどのように地方で育み、世界レベルの産業として戦うのかという道筋が示せなければ、次の北海道での展開も含めて、単なるこれまでの企業誘致の延長(国が世話人レベル)に過ぎません。これでは、地域間、地域内での人口争奪にしかならないのです。

例えば原発などは典型的事例ですが、国から数十年にわたる補助金を獲得できて自治体として安心。だからそこに依存し、補助金のきれるタイミングで新しい原発を作る・のようなモデルを繰り返すことが政策では困ります。このような政策は地方の中央に対する依存を強めるだけで、地方自治からは遠ざかり、若い人が流出していく状態に拍車をかけるばかりでしょう。

こうした産業政策においても、地方自治はセットでおいておく。あくまでも「共創」の戦略を貫かなければいけないこともまたここで触れておきたいと思います。依存させ、利権を生み出し、天下り先を確保するといった中央集権の悪しき慣習。現在の47都道府県知事における過半数の25人がいわゆるキャリア官僚出身。総務省11人、経済産業省5人、国土交通省5人、財務省2人、農林水産省と外務省が1人と事実上の依存化。パイプという名の天下りポストになっているようにも見えます。この状態は、はたして地方自治にとってプラスなのかどうか。正常といえるのかどうか。視点考察がまた必要なのではないでしょうか?

コストコの進出などでも同様の事例を見出すことも出来ますが、地方の身の丈とはあわない国際的な企業や国のお金が入る箱があることは、行政(役場)存続の観点では幸せかもしれませんが、そこに暮らす人々が幸せかというと、そうではないケース(流出加速)もあるということです。
 
それは産業競争力をつけるつけないとは別の課題であって、国としてマクロになんとなく数字が良くなっていくことは国家公務員キャリアには幸せなのかもしれませんが、全体論で見たときに国民全体の幸せに寄与しているかは別・の理解が重要です。

つまるところ、こうした国民視点からの出発点。ボトムアップでの施策こそが火急的に必要とされているのではないでしょうか。

*続きます


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さいさんの地方創生Diary 「現場とFACTが示す選択肢とは?」
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