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春助
2023年12月16日 22:35
前髪が張り付く。樹木の帝国は白い霧に包まれ、なにかの動物の鳴き声が甲高く響いた。夜明けか夕暮れかも分からないここは、きっと地球の裏側だ。嘘みたいに鮮やかな鳥が、深い緑にハイライトを彩っている。嘘みたいな色のこの植物には、きっと毒があるに違いない。私は森を彷徨っている。驚くほど大きな草木を面白がったのも束の間。煩わしい熱気と湿気に、気持ち悪い虫たちが蠢いている。もうこんなところはうん