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銀河系軍団の作り方「NO RULES」

こんにちは、ナカムラです。今回は「NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX 」という書籍を紹介したいと思います。

今や世界190カ国2億人のユーザーを誇る動画配信サービス「Netflix」。時価総額26兆円、2020年「従業員幸福度ランキング」でも1位を獲得している、世界を代表する企業の1つです。

そのNetflixの組織カルチャーを深く深く掘り下げた書籍が「NO RULES」です。オープンなカルチャーが書籍にまで滲み出ていて、生々しいエピソードが豊富に収録されています。

今回は、特にNetflixのフィードバックカルチャーと、失敗の扱い方について取り上げたいと思います。

1)Netflixのフィードバックカルチャー

「成長を促すためには、客観的なフィードバックが必要」というのは、どこの企業でも同じ認識を持っていると思います。

一方で、「有効なフィードバックとは〇〇である」という社内の共通認識はあまりなく、何となく自己流のフィードバックを行っている人がほとんどではないでしょうか。

フィードバックには与える側と受ける側が必ず存在するので、双方が共通認識を持っていれば、より有意義なフィードバックになると思いますし、逆に各々が独自の感覚で行えば、摩擦や衝突が起こってしまいます。

Netflixは、こうした課題にガイドラインを作ることで対応しています。

フィードバックのガイドライン「4A」
Netflixのフィードバックのガイドラインは、Aから始まる4つの条件によって規定されています。

<フィードバックを与える場合>
1.相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST)

フィードバックは前向きな意図をもって行なう。自分のイライラを吐き出すため、意図的に相手を傷つけるため、自分の立場を強くするためにフィードバックをすることは許されない。
行動を変えることが相手自身あるいは会社にとってどのように役立つのか、明確に説明しよう。

2.行動変化を促す(ACTIONABLE)
フィードバックを受けた相手がどう行動を変えるべきかにフォーカスすべき。ただの指摘で終わったり、抽象的でどの行動を指しているのか分からないようなフィードバックは落第。具体的で、より良くするための行動のヒントを提示しよう。

<フィードバックを受ける場合>
3.感謝する(APPRECIATE)
批判されると、誰だって自己弁護や言い訳をしたくなる。反射的に自尊心や自分の評価を守ろうとする。フィードバックをもらったら、この自然な反応に抗い、自問しよう。「このフィードバックに感謝を示し、真摯に耳を傾け、とらわれない心で相手のメッセージを検討し、自己弁護したり腹を立てたりしないためにはどうふるまったらいいのか。」と。

4.取捨選択(ACCEPT OR DISCARD)
ネットフリックスではたくさんの人からフィードバックを受ける。そのすべてに耳を傾け、検討しなければいけない。しかし常にそれに従う必要はない。心から「ありがとう」と言ったら、受け入れるかどうかは本人次第だ。それは与える人・受ける人の双方が理解しておかねばならない。

コンパクトでありながら、要点を突いたガイドラインですよね。フィードバックを与える側・受ける側、双方の視点から「本当に有意義なフィードバックだった」と思える状態を作るガイドラインになっています。

…と、頭でわかっていても「相手を傷つけたくない」「嫌われたらどうしよう」という感情から、率直なフィードバックをするのは中々難しかったりします。(特に日本人には苦手な分野)

さらに一歩踏み込んで、”Feedback is gift”なカルチャーを醸成するためにNetflixが取り組んでいる内容をご紹介します。

率直なフィードバックカルチャーを醸成する方法
Netflixで行われる、率直なフィードバックカルチャーを醸成する最初のステップは「部下から上司にフィードバックをしてもらう」です。

正直これが一番やり辛いフィードバックだと思いますが、なぜこれを最初のステップに据えているのでしょうか。

組織のなかで立場が上になるほど、受け取るフィードバックは減っていき、「*裸で職場にいるリスク」、すなわち自分以外の全員にわかるような失敗を犯すリスクが高くなる(*裸の王様を引用)。これは単に仕事に支障をきたすというだけでなく、危険である。――CFOが財務諸表でミスを犯し、誰もそれに異を唱えなければ、会社が危機に陥るリスクがある。

職位の高い人間の仕事にこそ、見過ごされうるリスクが潜んでおり、フィードバックが価値を発揮しやすいという考え方ですね。

また、マネージャーが先にフィードバックを受け、それに対し感謝を示し、そのフィードバックを他の社員にも共有した上で行動を改めることで、「率直なフィードバックをしても自分の立場を危うくすることはない」という安心感を与えることができるし、フィードバックを受ける者の正しいふるまいを伝えることもできます。

本書では、そのような状況を作るテクニックとして、個別面談の議題に常にフィードバックを入れておく、というものが紹介されています。

面談の最初か最後、必ず自分(上司)に対するフィードバックの時間を入れ、「これが当たり前なんだ」というメッセージを届けるのです。

上述した中に、とても大切なポイントが2つあります。

1つはガイドラインの中にもある「感謝の表明」です。特に「帰属のシグナル」を発することが重要です。

帰属のシグナルとは、「フィードバックを与えることで、あなたは一段と重要なメンバーになる。」「あなたが正直に話してくれたことで、あなたの仕事や私との関係性が悪化するようなことはない。」ということを伝えるための仕草を指します。

相手が安心して率直なフィードバックができるように、分かりやすいシグナル(しぐさ)で応えましょう、ということです。

もう1つは、自分が受けたフィードバックをシェアすること。これによって、あなたが前向きに行動を変えようとしていることが伝わる上に、フィードバックをくれたメンバー以外にも、心理的安全性を醸成することにつながります。

2)”賭け”と学びの蓄積

Netflixでは、大きなチャレンジを”賭け”と呼ぶそうです。「成功するかどうか分からないからこそ挑戦」という考えのもと、イノベーションを生むために”賭け”に出ようぜ!と社員に推奨しています。

この”賭け”の成功確率を高める枠組みを「ネットフリックス・イノベーション・サイクル」と呼びます。

ネットフリックス・イノベーション・サイクル
1.反対意見を募る。あるいはアイデアを周知する。
2.壮大な計画は、まず試してみる、
3.「情報に通じたキャプテン」として賭けに出る。
4.成功したら祝杯をあげ、失敗したら公表する。

この中で、特に感銘を受けたポイントが最後の「失敗したら公表する」という部分です。

会社の中では、様々なプロジェクトが生まれては消えていきます。しかし、消えていったプロジェクトは、誰も知らないところで静かに消えていき、誰もそれについて触れない、ということがざらにあります。

もしそんな状態が続いているとすると、それは同じ過ちや失敗を生む温床になっていると言えるかも知れません。なぜならその失敗から学びを得たのは当事者と一部の上層部のみだからです。

Netflixでは、失敗から学ぶということを徹底しており、それが「失敗したら公表する」という最後のステップにあたります。

年に1,2回、プロダクト会議という場で過去数年に行なった賭けをリストアップし、「成功、失敗、結果待ち」の3つに分類。その上で、少人数のグループにわかれて、賭けから何を学んだのかを話し合い、シェアするそうです。

これをやるだけでも、相当な知見が溜まっていくことが期待できますし、成功確率を高めてくれるはずです。

現状、部門単位では各自の案件の振り返り(Good・More・Learning)をシェアする仕組みを導入していますが、改めて職種・組織単位・プロジェクト内容問わず有意義な仕組みだと感じたので、横断的に取り組んでいきたいと思います。

3)最後に

本書には、他にもたくさんのNetflixのカルチャーを支える仕組みや方針が紹介されています。

中でもグサッと来たのは「Brilliant Jerk(優秀だけど嫌な奴)はいらない」というもの。旧来型の日本企業だと、多少横柄な態度を取っていたり、他の社員に悪影響を及ぼしていても「あいつは優秀だから…」と守られていたように思います。

しかし、Netflixではこういう人材を徹底的に排除する方針を打ち出しています。

チームに率直なカルチャーを醸成するには、有能だが協調性のない嫌な奴を排除する必要がある。ジャークがどれほど優秀かは問題ではない。その人物がチームにいたら、率直さの恩恵を享受できなくなる。ジャークが優れたチームワークに及ぼす影響は大きすぎる。彼らが好んで使うのは、同僚を面と向かって傷つけておいて「自分は率直に意見を言っただけだ」とうそぶくという手だ。

能力密度の高い企業であることが前提になりますし、線引きは難しいですが、こういった意思表示があるかどうかは組織文化の醸成に大きく影響するので非常に参考になりました。

以上、銀河系軍団の作り方「NO RULES」でした。最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

ナカムラ

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