MIZEN、新しいファッション、新しいラグジュアリー

MIZENという存在をご存知だろうか。ほとんどの人は知らないであろう、MIZEN。まだまだ無名だが、創業して2年、最初はファッションやライフスタイルなどのメディアに取り上げられることが多かったが、最近では大手新聞やテレビなどにも取り上げられるようになってきた。無名なのに、何故メディアが取り上げてくれるのか。主に制作しているのは洋服である。世の中にはファッションブランドなど無数に存在する。単純に新しいファッションブランド、というくらいでは大手新聞は扱わないだろう。ではなぜMIZENは無名にも関わらずメディアが扱おうとしているのだろうか。その理由の一つに、作っているもの、売っているものは今は洋服であるにも関わらず、現在ヨーロッパが中心として動いているファッション業界とは一線を画した立ち位置を表明していることだ。だからと言ってそれがアンチファッションから来ている訳では全く無いことも面白い。MIZENのディレクターはまさにファッション業界で長年経験を積み、日本だけではなくヨーロッパのラグジュアリーブランドでの経験も積んだ後、日本で創業しており、ファッション業界の魅力や良い点も熟知している。ただ、彼が独立するにあたり、いわゆるファッションブランドをスタートしなかったことには理由があった。それは、独立したきっかけが日本の伝統産業に携わる人々、より詳細をいえば、着物の織元と出会ったことだったからだ。着物の織元とは着物を作っている人々のことだ。彼らはファッション的にいえば、テキスタイルを作っている。洋服のテキスタイルを作っているメーカーはたくさんいるが、一般的には表に出てくることはほとんどない。なぜなら、ファッションは「デザイナー」が主役だからだ。デザイナー、昨今ではクリエイティブディレクターなどと言い換えられることが多いが、イメージを作る人間、これがトップに君臨する。そしてこのルールはヨーロッパが中心となって作っているものの、世界中のファッションブランドを運営している人々は暗黙の了解か、思考停止か、従うものだと信じて活動をしている。それは決して間違いではないし、事実パリのファッションウィークに出場することは成功の証だ。パリコレにデザイナーとして出場することを大きな目標としている人は数多い。
では、なぜパリコレなのか?
パリコレ出場が成功の証と見なされる理由は?
ファッションにおいてデザイナーが主役な理由は?
よく考えれば、”ファッション”って身近な存在なのにも関わらず、実はよく知らないことが多い。逆をいえば、そんなことを知らなくても良いシステムになっている、というのが正しいかもしれない。
そんな多くの人を魅了するファッションシステム、ファッション産業、について、その未来、その是非も含めて考えていきたい。考えていく思考の過程がまさにMIZENの活動内容でもある。MIZENという名前も「未然」つまり、まだ形は定まってはいないが、試行錯誤を繰り返しながらその在るべき形を探っていく、という意味合いがある。皆が当たり前に楽しむことができる”ファッション”を一歩外から見つめてみる。それがMIZENの目的であり、その過程を分析しながら次の世代のファッションの在り方、ラグジュアリーの在り方を突き詰めていくために自分はこのMIZENをスタートしたのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?