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第79回ヴェネツィア国際映画祭 作品紹介 コンペティション部門編
みなさんこんにちは。
今回は先日発表されたヴェネツィア映画祭コンペティション部門の作品紹介をしていこうと思います。三大映画祭とアカデミー賞での出品歴、あらすじ、予告編(あれば)を基本として書いていこうと思います。
『White Noise』 ノア・バームバック(アメリカ)
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カンヌ 『マイヤーウィッツ家の人々』(2017年コンペ)
ヴェネツィア 『マリッジ・ストーリー』(2019年コンペ)
ベルリン 『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』(2010年コンペ)
アカデミー賞 『マリッジ・ストーリー』(2020年作品賞ノミネート)
「ヒトラー学」を教えている教授ジャックとその妻バベットが主人公。ある日、教授一家が暮らす街で、化学薬品を載せた列車の事故により、周辺に有害な化学物質が流出する。この事故でジャックは汚染された空気に触れ、一家が分裂していくきっかけに…
『イカとクジラ』などインディー映画界で活躍し、『マリッジ・ストーリー』でメインストリームにきたノア・バームバック作品、今回はNetflix配給です。
本作は1985年に出版されたドン・デリーロの同名小説を原作とし、バームバックにとって初の小説の映画化となります。『マリッジ・ストーリー』に続きアカデミー賞候補となるか、注目です。
『Il Signore Delle Formiche』 ジャンニ・アメリオ(イタリア)
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カンヌ 『小さな旅人』(コンペ、審査員賞・エキュメニカル審査員賞)
ヴェネツィア 『Colpire al cuore』(1982年コンペ)『Lamerica』(1994年コンペ・監督賞他全4冠)『いつか来た道』(1998年コンペ・金獅子賞)『家の鍵』(2004年コンペ・パシネッティ賞他全3冠)『La stella che non c'è』(2006年コンペ)『L'intrepido』(2013年コンペ)
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
1960年代の終わりに盗作の罪で懲役9年の刑を宣告された、劇作家で詩人のアルド・ブライバンティの物語に触発された作品。肉体的および心理的に彼の若い学生であり友人を服従させ、学生は精神病院に入れられてしまう。当事者や家族、友人、大衆など無関心で勝手な世論の中、一人のジャーナリストがその真実を暴き出そうとする。
あまり知らなかったのですが、ジャンニ・アメリオ監督はヴェネツィア映画祭コンペに5度選ばれているベテラン、しかも『いつか来た道』は最高賞を受賞しています。日本での知名度が低いのはこの『いつか来た道』が一般公開されなかったからだと思われます。(※一般公開はされましたがDVD化されていない)
実話にヒントを得た時代もののようで、予告を見る限りだと美しい撮影で紡がれるサスペンスのようです。
過去作では『家の鍵』『最初の人間』『ナポリの隣人』がソフト化されているので予習したいと思います。
『The Whale』 ダーレン・アロノフスキー(アメリカ)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『ファウンテン 永遠につづく愛』(2006年コンペ)『レスラー』(2008年コンペ・金獅子賞)『ブラック・スワン』(2010年コンペ)『マザー!』(2017年コンペ)
ベルリン なし
アカデミー賞 『レスラー』(2009年主演男優賞等ノミネート)『ブラック・スワン』(2011年作品賞ノミネート)
体重が600ポンド(約270キロ)ある父親が、長年疎遠になっていた10代の娘との絆を取り戻そうとする。
ブレンダン・フレイザーが『ハムナプトラ』シリーズでの面影を全く消し去って、というか激太りを逆手にとって演じているということで話題になっていた本作、コンペ入りです。
ダーレン・アロノフスキーだから一筋縄ではいかない物語になってくるでしょう。アロノフスキーは『マザー!』が賛否両論、否定的意見の方が多かったため日本での劇場公開が中止されてしまいました。それだけに本作の出来も心配な部分はあります。アカデミー賞は微妙なところかと思いますが、もしかしたらブレンダン・フレイザーが主演男優賞にあがるかもしれません。
とはいえ私は『マザー!』も嫌いじゃない、というかむしろ好きなので楽しみです。
『L’Imensita』 エマヌエーレ・クリアレーゼ(イタリア)
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カンヌ 『Respiro』(2002年批評家週間・グランプリ)
ヴェネツィア 『Nuovomondo』(2006年コンペ・銀獅子賞他全6冠)『海と大陸』(2011年コンペ・審査員特別賞他全3冠)
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
1970年代のローマ、クララと彼女の子供たちの愛の物語
クリアレーゼ監督はカンヌの批評家週間、ヴェネツィアのコンペと順当に受賞を重ね、『海と大陸』は審査員特別賞を受賞、日本でも公開されました。
個人的には『海と大陸』はイマイチだったのですが、今回はペネロペ・クルスが出ているということで楽しみです。以下のサイトでクリップがみられるのですが、とにかくペネロペが最高。
物語も上の一文しか情報がなく、どのような内容なのか掴めません。
『Saint Omer』 アリス・ディオップ(フランス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン 『Nous』(2021年エンカウンター部門・グランプリ)
アカデミー賞 なし
サントメール刑事裁判所でのローレンス・コリーの裁判に出席した小説家のラマ、彼女の話を使って古代神話メデイアを現代に脚色しようとする彼女だが、物事はそう簡単にはいかなかった…
アリス・ディオップは近年頭角を現してきた新鋭女性監督のようです。2017年に短編映画をてがけセザール賞短編映画賞を受賞、昨年のベルリン映画祭に出品した『Nous』がエンカウンター部門のグランプリに輝きました。
日本では紹介されていませんが、MUBIで短編を含む5作品を視聴可能ですので気になった方は観てみるといいかもしれません。私も予習として観ようと思います。
『ブロンド』 アンドリュー・ドミニク(オーストラリア)
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カンヌ 『ジャッキー・コーガン』(2012年コンペ)
ヴェネツィア 『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007年コンペ)
ベルリン なし
アカデミー賞 『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2008年助演男優賞他ノミネート)
ジョイス・キャロル・オーツのベストセラー小説を原作とした本作は、ノーマ・ジーン・ベイカーとしての生い立ちから、マリリン・モンローとしてハリウッドのスターダムにのし上がり、男性遍歴を重ねた生涯を大胆に描く。
言わずと知れたセックスシンボル、マリリン・モンローの生涯を『ジェシー・ジェームズの暗殺』などで知られるオーストラリアの映画監督アンドリュー・ドミニクが描きます。
予告編を見るとモンローの代表作をはじめとする映画界が描かれ、白黒とカラーが効果的に使い分けられています。『ジャッキー・コーガン』がいまいちパッとしない作品だったので不安はありますが、楽しみにしたいと思います。アナ・デ・アルマスは本作でアカデミー主演女優賞を手にすることができるか、注目です。
『Tar』 トッド・フィールド(アメリカ)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 『イン・ザ・ベッドルーム』(2003年作品賞他ノミネート)『リトル・チルドレン』(2008年主演女優賞他ノミネート)
クラシック音楽界を舞台に、世界的に知られた作曲家でありドイツの名門管弦楽団で初の女性首席指揮者として活躍するリディア・タールを描く
女性指揮者として活躍するリディア・タールをケイト・ブランシェットが演じます。意外にもケイト様は単独主演は久しぶりとのこと。確かに『ドント・ルック・アップ』『ナイトメア・アリー』でも助演でしたね。
監督は映画祭というよりハリウッドで認められてきた人。ウディ・アレン『ラジオ・デイズ』、キューブリック『アイズ・ワイド・シャット』で俳優として活躍したのち監督に転身、『イン・ザ・ベッドルーム』が作品賞候補になり『リトル・チルドレン』でもケイト・ウィンスレットの主演女優賞をはじめ複数部門で候補にあがりました。
予告編が意味深で、ケイト様が口から煙を吐いているのをスローモーションで映すだけ、どんな物語になるのか見当もつきません。アナ・デ・アルマスと並びケイト・ブランシェットも久々の主演女優賞候補になるでしょうか。
『LOVE LIFE』 深田晃司(日本)
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カンヌ 『淵に立つ』(2016年ある視点・審査員賞)
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
矢野顕子の同名曲にインスパイアされた作品。愛する夫と愛する息子、幸せな人生を手にしたはずの妙子に、ある日突然ふりかかる悲しい出来事、そこから明らかになる本当の気持ち。そして彼女が選ぶ人生とは……。
やりました!深田晃司監督コンペ入り!日本の監督作品のコンペ入りは2020年黒沢清『スパイの妻』以来で、名実ともに濱口竜介と並ぶ日本の新鋭監督になったのではないでしょうか。
本当だったら『よこがお』や『本気のしるし』も三大映画祭に出ていてもおかしくない傑作だと思っているので、その分今回は受賞もしてほしいですね。
矢野顕子さんの同名曲を材にとった作品で、コロナ渦を生きる女性の物語とのことでとても楽しみです。
『Bardo, Falsa Cronica de unas Cuantas Verdades』 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(メキシコ)
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カンヌ 『アモーレス・ペロス』(2000年批評家週間・グランプリ)『バベル』(2006年コンペ・監督賞他全2冠)『BIUTIFUL ビューティフル』(2010年コンペ・男優賞)
ヴェネツィア 『21グラム』(2003年コンペ・男優賞)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年コンペ・サントラ賞他全4冠)
ベルリン なし
アカデミー賞 『バベル』(2007年作品賞ノミネート)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2015年作品賞)『レヴェナント: 蘇えりし者』(2016年監督賞)
著名なメキシコ人ジャーナリスト兼ドキュメンタリー作家の主人公が故郷に帰り、自身のアイデンティティや家族との関係、過去の過ち、そして母国のいまを見つめるノスタルジックなコメディ
今やメキシコ、いや世界を代表する監督となったイニャリトゥが『アモーレス・ペロス』以来20年ぶりに母国メキシコで撮影した作品となるようです。Netflixが配給権を獲得しており、アカデミー賞を狙いにいく作品になるでしょう。『パラサイト』が作品賞を受賞した今、外国語であることは大きな障壁ではないはずです。
イニャリトゥはアカデミー賞だけでなく三大映画祭でも結果を残しています。ベルリン映画祭だけは出品経験がありませんが、カンヌやヴェネツィアに出品した作品はどれも何らかの賞を受賞しています。
それでも最高賞は受賞したことがないため、そろそろ彼にというのが働いてもおかしくはありません。金獅子賞有力候補ではないでしょうか。
『アテナ』 ロマン・ガヴラス(フランス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
末弟が原因不明の悲劇的な死を遂げてから数時間後、3 人の兄弟の生活は混乱に陥ります。
本作もNetflixでの配信が決まっています。脚本に『レ・ミゼラブル』のラジ・リが名を連ねており、予告編の雰囲気からもなんとなくテイストが分かりますね。
映画監督としては新人と言ってよく、主にMV監督として活躍してきた方のようです。グラミー賞のMV部門で二度ノミネート、MTVアワードでは「M.I.A.: Bad Girls」で受賞しています。
フランスの貧困地域に生きる兄弟を描いているようで、『レ・ミゼラブル』のような激しく力強いストーリーテリングが期待できそうです。
『Bones and All』 ルカ・グァダニーノ(イタリア)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『The Protagonists』(1999年コンペ外)『ミラノ、愛に生きる』(2009年コンペ)『胸騒ぎのシチリア』(2015年コンペ・サントラ賞他全2冠)『サスペリア』(2018年コンペ)
ベルリン 『ミラノ、愛に生きる』(2010年コンペ外)『君の名前で僕を呼んで』(2017年コンペ外)
アカデミー賞 『君の名前で僕を呼んで』(2018年作品賞ノミネート)
社会の片隅で生き抜く術を学ぶ少女マレンと、公民権を奪われた放浪者の青年リー、マレンは一度も会ったことのない父親を探して旅をしながら、道中で自分を愛する人々を殺害しては「食べる」という行動を繰り返していた…
カミーユ・デアンジュリスによる同名小説が原作で、カニバリズムの要素を含むホラー・ラブストーリーとのこと。おそらく『サスペリア』に近い雰囲気かな?と思います。
ルカ・グァダニーノは『君の名前で僕を呼んで』で大センセーションを巻き起こしましたが、基本的には賞を狙うのでなく撮りたいものを撮る監督、アカデミー賞にはおそらく絡んでこないでしょう。
私は『サスペリア』も大好きな作品なので本作が非常に楽しみです。赤髪のシャラメも最高で最も楽しみにしている作品と言っても過言ではありません。
ビジュアル面を評価する傾向の強いヴェネツィアとの相性は抜群にいいはず、『サスペリア』はさすがに強烈すぎましたが、本作は何らかの賞に絡んでもおかしくないと思います。
『The Eternal Daughter』 ジョアンナ・ホッグ(イギリス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン 『ザ・スーヴェニア 魅せられて』(2019年パノラマ部門)
アカデミー賞 なし
中年の娘と彼女の年配の母親が、かつて暮らしていた家に戻り、長い間埋もれていた秘密に立ち向かわなければなりません。
ジョアンナ・ホッグは『Exhibition』がロカルノ映画祭コンペに入り、『ザ・スーヴェニア 魅せられて』がサンダンス映画祭審査員大賞を受賞、『The Souvenir Ⅱ』でも高く評価されました。本作もインディー映画の女王ティルダ・スウィントンを主演とした作品です。
紹介文には「ゴーストストーリー」とあり、スピリチュアルな要素が大きく加わっていると思われます。
最近めきめきと成長中の女性監督であり、今後の期待株であることは間違いないでしょう。『ザ・スーヴェニア』をまだ観られていないので観ようと思います。
『Shab, Dakheli, Divar (Beyond the Wall)』 ヴァヒド・ジャリルヴァンド(イラン)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『Wednesday, May 9』(2015年オリゾンティ部門・国際批評家連盟賞他全2冠)『No Data, No Signature』(2017年オリゾンティ部門・作品賞)
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
彷徨う女と盲目の男、女が彼の人生に入り込むことによって彼の人生が崩壊し始める
本作が長編三作目、前二作が連続でオリゾンティ部門入りしたヴェネツィア生え抜きの新人監督です。
情報が少なく、どのような作風なのか分からないのですが、写真を見る限りだと舞台っぽい感じでしょうか。トリアーの『ドッグヴィル』みたいな?
順調に育っている才能に期待しつつ、更なる情報を待ちたいと思います。
『The Banshees of Inisherin』 マーティン・マクドナー(イギリス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『スリー・ビルボード』(2017年コンペ・脚本賞)
ベルリン なし
アカデミー賞 『スリー・ビルボード』(2018年作品賞ノミネート)
処女短編である『Six Shooter』がいきなりアカデミー短編実写映画賞を受賞、『ヒットマンズ・レクイエム』も高く評価され、『スリー・ビルボード』で一気に一線監督へ躍り出ました。
待望の新作となる本作、コンペに選ばれたことによってアカデミー賞戦線に名乗りをあげたと言っても過言ではないでしょう。ひねった脚本にブラックユーモアたっぷりのセリフ回し、そしてビジュアル的にも印象に残る監督であるため、なるほどヴェネツィアで連続で選ばれるのは納得です。
衝撃作『スリー・ビルボード』を超える作品になっているのか、とても楽しみです。
『Argentina 1985』 サンティアゴ・ミトレ(アルゼンチン)
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カンヌ 『La Patota』(2015年批評家週間・グランプリ)『La Cordillera』(2017年ある視点部門)
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
ある弁護士チームは、1980 年代のアルゼンチン軍事独裁政権の首謀者との駆け引き、時間との戦いを繰り広げます。
アルゼンチン国内では2000年代後半から高い評価を得ていて、カンヌの批評家週間、ある視点と実績をつみヴェネツィアのコンペにたどり着いたようです。
弁護士チームと軍事独裁政権との闘いを描いた骨太な作品のようです。日本での公開作がないので予習のしようがありませんね。ただ『The Student』はロカルノ映画祭で特別審査員賞を受賞するなど政治的テーマを得意とする監督のようなので、アルゼンチンの政治をどのように描くか楽しみにしたいと思います。
『Chiara』 スザンナ・ニッキアレッリ(イタリア)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『Cosmonauta』(2009年コンペ外)『Nico, 1988』(2017年オリゾンティ部門・作品賞)『ミス・マルクス』(2020年コンペ・FEDIC賞)
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
聖フランシスコの説教を聞いた後、裕福な家庭を捨てて修道女になったアッシジの聖クレアの伝記。
哲学者マルクスの娘を描いた『ミス・マルクス』が日本でも公開されたスザンナ・ニッキアレッリ監督新作はまたしても時代もののようです。聖人の伝記映画ということでクリップからは静謐で荘厳な雰囲気が漂っています。
キリスト教の聖人の物語、というと日本人からすると身近ではないですが、美しい映像とスピリチュアルな世界観が予想されます。
私はまだ『ミス・マルクス』を観られていないので予習がてら観たいと思います。
『Monica』 アンドレア・パラオロ(イタリア)
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カンヌ なし
ヴェネツィア 『Medeas』(2013年オリゾンティ部門)『ともしび』(2017年コンペ・女優賞)
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
死にゆく母親の世話をするために家に帰る女性の親密なポートレート。 崩壊した家族の繊細で微妙な物語であるこの物語は、放棄、老化、受容、償還という普遍的なテーマを探求しています。
アンドレア・パラオロ監督は長編三作目、新人と言っていいでしょう。シャーロット・ランプリング主演の長編二作目『ともしび』がセザール賞外国語映画賞にノミネートされるなどヨーロッパを中心に評価を得ています。
そして本作は『エイプリルの七面鳥』でアカデミー助演女優賞にあがったパトリシア・クラークソンがキャスティングされていることも注目です。
この監督さん、俳優?ってくらいイケメンなんですよね…そこもポイントかな(?)まあ現状日本で観られる作品は『ともしび』しかないんですが、それに加えて『エイプリルの七面鳥』でもみて気分を高めようと思います。
『Khers Nist (No Bears)』 ジャファール・パナヒ(イラン)
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カンヌ 『白い風船』(1995年監督週間・ゴールデンカメラ)『Talaye Sorkh』(2003年ある視点部門・審査員賞)『ある女優の不在』(2018年コンペ・脚本賞)
ヴェネツィア 『チャドルと生きる』(2000年コンペ・金獅子賞)
ベルリン 『オフサイド・ガールズ』(2006年コンペ・審査員グランプリ)『Closed Curtain』(2013年コンペ・脚本賞)『人生タクシー』(2015年コンペ・金熊賞)
アカデミー賞 なし
不可視にして不可避な障害、迷信の強制、力のメカニズムによって妨げられる二つの愛の物語を並行して描く
三大映画祭全てで受賞、しかもヴェネツィアとベルリンでは最高賞を受賞している、今回一番のビッグネームと言っていいでしょう、それがパナヒ監督です。
『人生タクシー』『ある女優の不在』に引き続き今回もパナヒ監督自身が出演する作品のようです。
とは言いつつもパナヒ作品は『ある女優の不在』しか観ていないのでしっかり予習して臨みたいと思います。次にとるとすればパルムドールのはずで、今回は最高賞の受賞はないんじゃないかなと思います。しかし最近になってパナヒ監督が不当に収監されたというニュースもあり、もしかしたらそういった力が働くかも?
『All the Beauty and the Bloodshed』 ローラ・ポイトラス(アメリカ)
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カンヌ 『Risk』(2016年監督週間)
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 『My Country, My Country』(2007年長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート)『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2015年長編ドキュメンタリー映画賞受賞)
二作品をアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞に送り出し、『シチズンフォー』で受賞したローラ・ポイトラス監督のドキュメンタリー作品です。
どのような内容なのかが分からないためコメントのしようがないですが、社会派ドキュメンタリーではないかと思います。
ベルリンやヴェネツィアではドキュメンタリーが最高賞を受賞したりと、劇映画と隔たりなく扱おうという風潮が強まっています。今回次に述べるワイズマンと本作の二作品がコンペに入ったことは特筆すべき事件でしょう。
ここで高評価を得ればアカデミー賞二度目の受賞にもつながるかもしれませんね。
『Un Couple』 フレデリック・ワイズマン(アメリカ)
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カンヌ 『ボクシング・ジム』(2010年監督週間)
ヴェネツィア 『At Berkeley』(2013年アウト・オブ・コンペティション・ゴールデンマウス賞他全2冠)『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』(2015年アウト・オブ・コンペティション)『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(2017年コンペ・国際映画批評家連盟賞他全2冠)『ボストン市庁舎』(2020年アウト・オブ・コンペティション)
ベルリン 『Near Death』(1989年フォーラム部門・国際映画批評家連盟賞)
アカデミー賞 名誉賞(2017年)
本作は、男性と女性の間の長期的な関係を追ったものです。 その男はレオ・トルストイ、その女性は彼の妻、ソフィアです。
三大映画祭全てに出品経験がありますが、コンペ入りしたのは『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』と本作のみです。日本でもワイズマンはドキュメンタリー作家として人気があり、『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』『ボストン市庁舎』はキネマ旬報ベストテン入りしました。またアテネ・フランセで特集上映が組まれるなど映画ファンにとっては割とメジャーな存在でしょう。
社会派な色が強かった近年の作品とは異なり、ある夫婦を追った作品のようです。また長尺だったこれまでとは対照的に、本作は1時間3分とかなり短いようです。まあ編集が変わって伸びるかもしれませんが。
ワイズマン作品は恥ずかしながら一作も観ていないのでそろそろ追っていかなければと思わされました。
『The Son』 フローリアン・ゼレール(イギリス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 『ファーザー』(2021年作品賞ノミネート)
映画監督デビュー作『ファーザー』が世界中で大評判、一気に一線監督の仲間入りを果たしたようにみえるフローリアン・ゼレール待望の新作です。自身の戯曲では『ファーザー』『The Son』『The Mother』の三部作であるようで、本作は三部作の間の二作目ということになるでしょう。
ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、アンソニー・ホプキンス、ヴァネッサ・カービーと豪華出演陣を引き連れたレッドカーペットは見ものですね。アカデミー賞でも再び旋風を巻き起こすことでしょう。
『Les Miens』 ロシュディ・ゼム(フランス)
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カンヌ なし
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
Moussa は常に優しく、家族に寄り添っています。 有名なテレビ司会者である兄のリヤドは彼とは違い、周囲からわがままであると批判されています。
監督のロシュディ・ゼムは俳優としても知られ、出演作『デイズ・オブ・グローリー』では兵士役の一人としてカンヌで男優賞を受賞しました。またセザール賞でも助演男優賞に三回ノミネートされ、デプレシャンの『ダブル・サスペクツ』では主演男優賞を受賞しました。また監督としては2006年『Mauvaise foi』から数えて本作が六作目となります。
フランスの俳優出身監督としてはマチュー・アマルリックがいますが、ロシュディ・ゼムはどういった作風なのでしょうか。
日本では『ショコラ 君がいて、僕がいる』のみソフト化されているようなので観てみようと思います。
『Les Enfants des Autres』 レベッカ・ズロトヴスキ(フランス)
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カンヌ 『美しき棘』(2010年批評家週間)『グランド・セントラル』(2013年ある視点部門)『わがままなヴァカンス』(2019年監督週間)
ヴェネツィア なし
ベルリン なし
アカデミー賞 なし
子どものいない女性が、ボーイフレンドの連れ子である幼い娘と絆を育んでいく。
カンヌで順当に作品を発表していたレベッカ・ズロトヴスキがヴェネツィアでコンペ入り!『わがままなヴァカンス』のみ観ていますが、その資質はカンヌよりむしろヴェネツィア向きだと思っていたので納得です。
予告をみると、コメディタッチのヒューマンドラマという感じですかね。家族ものにあまりハズレはないので期待しましょう。レア・セドゥ主演の『美しき棘』、『グランド・セントラル』もこの機会に観ておこうと思います。
こうしてみると、欧米偏重が気になりますね。
アジアからは日本、イランのみ、南米はアルゼンチンのみ…
その代わりに女性監督が6人とこれまでより意図的に増やしていると思います。
最高賞はバームバック、アリス・ディオップ、パナヒあたりかなあと予想します。深田晃司が女優賞とか受賞出来たらいいな。
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