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台北旅と老子

赤と白と青、そして緑

 初めての台湾旅。ずっと前から雑誌やInstagramで見ていた台湾の風景、人びと、食べ物をようやく自分の目で確かめられる時がきました。スマホの画面越しに見るどんなお洒落で綺麗な写真よりも、自分の目で見た情報と、その時に全身で感じる空気(におい、温度、湿度、光、音)に勝るものはこの世に存在しないと思いませんか。

 4月末の台北の熱気と湿気といい感じの倦怠感―
チャイナな南国の台湾・台北では気温がすでに30度を超えていて、すっかり夏景色。日差しは強いけど、雨もしっかり降る季節のようで、街に生える植物はみんな元気いっぱい綺麗な新緑をなびかせています。

着飾ることなく自然に暮らす

 観光地として有名な台北ですが、見かける現地の人びとから溢れ出るのは生活感。本当に、もう、ありのままの生活感なんです。着飾ってないよ、私たちはこの街で生活して、楽しい事も楽しくないことも毎日思う存分に感じているんだよ、と言わんばかりの自然体。

我有三寶、持而保之。
一曰、慈。二曰、儉。三曰、不敢爲天下先。
慈故能勇、儉故能廣、不敢爲天下先、故能成器長。
今舎慈且勇、舎儉且廣、舎後且先、死矣。
夫慈、以戰則勝、以守則固。天將救之、以慈衞之。
(出典:老子 六十七章)

私には大切に続けている
三つの宝がある。
一つは慈しみ、二つは倹約、
三つ目はむやみ出しゃばって
目立とうとしない謙虚さだ。

慈しみがあるからこそ勇敢になれ、
倹約しているからこそ人に施せ、
でしゃばらないからこそ
大きな器になれるのだ。

台湾茶

 東洋も西洋も大昔は「医療と言えば食養生」でした。私たちの体は食べたもの/飲んだものからできている。高価な化粧水をふんだんに使うのも良いと思いますが、体の内から細胞が喜ぶ保水の方法も、意外と身近な手段であったりするかもしれないですね。

誰のために何を祈るか―

 台北にも有名なお寺がいくつかあるのですが、そこで見られる光景は台湾の人びとが当たり前のように手を合わせている様子。返報性の法則って言葉、ご存知でしょうか。要するに「自分が思うことが、外からも思われること」という法則があるんじゃないか、と。有名な話ではタイガーウッズ選手は、ライバルの球を「入れ!入れ!」と祈るようですよね。

 国籍も性別もボーダーレスなこのご時世、宗教もボーダーレスに、と思います。どんなことでもそうですが、否定から入っても何も生まれないんじゃないかなって。否定はあとからできるから、なんでも肯定から入ってみればいいと思うんです。

 自分の事も、他人の事も、世界の事も、良いように祈る・願うことが自分の為にもなるんじゃないかなぁと、台北のお寺で思ったのでした。

明道若眛、進道若退、夷道若纇。
上徳若谷、大白若辱、廣徳若不足、
建徳若偸。質眞若渝。
大方無隅、大器免成、
大音希聲、大象無形。
道隱無名。夫唯道、善貸且成。
(出典:老子 四十一章章)

本当に賢い人は一見愚か者に見え、
前に進む道は一見後戻りするように見え、
平らで安全な道は一見遠回に見える。

最高の徳は低い谷のように見え、
真に広大な徳は物足らないように見え、
確かな徳のある人は怠けているように見える。

純粋なものほど変わりやすいように見え、
真に潔白なものは汚れて見え、
この上なく大きな四角は
角を持たないように見える。

本当に偉大な人は大成するのが遅く、
この上なく大きな音はかえって聴こえ辛く、
この上なく大きな形はかえって目に見え辛い。

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