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#026 CEO報酬の国際比較(日本、アメリカ、ヨーロッパ)

カルロス・ゴーン氏が有価証券報告書への役員報酬過少記載で逮捕されてから1年半近くだ立とうとしています。ゴーン氏は約50億円もの報酬を隠していたとされています。

逮捕容疑となった有価証券報告書への役員報酬の過少記載が始まったのは、11年。その後5年間で約49億8700万円としていた報酬は、実際は約99億9800万円に上り、50億円も「圧縮」されていた。(上記の記事より)

今回は、日本、アメリカ、ヨーロッパのトップ企業のCEO報酬を比較します。結論として、日本のCEO報酬は国際的に低く、また業績連動部分の割合も少ないことが分かりました。

CEO報酬の国際比較

CEO報酬の国際比較(日本、アメリカ、ヨーロッパ)

上記は、日米欧各国で売上高1兆円を超えるトップ企業の報酬を比較したものです。

グラフからは日本のCEO報酬の低さが際立って見えます。例えばアメリカでは、報酬の中央値が約15億円と高額です。一方で、日本企業は1.6億円と相対的に低いと言えます。

また、CEO報酬のうち業績連動報酬が占める割合も日本は最下位です。批判的な見方をすると、経営者に対する企業価値向上のインセンティブが少ないとも捉えられます。

ここでもアメリカは90%と極端な数値となっています。アメリカでは、株主と経営者の利害を一致させることを目的に、業績連動報酬を多用していると考えられます。

業績連動報酬を増やすべき?

業績連動報酬に対する村上世彰氏の言葉

かつて村上ファンドを率い、物言う株主として上場企業に震撼させた村上世彰氏は、「経営者が自社の株式を一定程度持つべき」と語っています。

その理由は、株主と経営者の目線を合わせることにあります。

つまり、経営者に株式を持たせることにより、もっと企業価値向上に向けて取り組んでもらおうということを村上氏は提言しているわけです。

業績連動報酬とエージェンシー問題

エージェンシー問題

業績連動報酬は、株主と経営者のエージェンシー問題を解決する一つの処方箋にもなり得るものです。

エージェンシー問題とは、ここでは株主と経営者の利害が対立する構造を指します。端的にいえば、株主の意向通りに経営者が働かないということです。

エージェンシー問題の根本的な原因は、「目的の不一致」と「情報の非対称性」の2つです。このうち、「目的の不一致」を解消する機能が期待されるのが業績連動報酬です。

このあたりはコーポレートガバナンスの領域にも入ってきます。

今回は以上です。

※ エージェンシー問題については別途まとめようと思います。

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