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【若者のビール離れ?】国内ビール市場規模の推移を調査

日本では「若者のビール離れ」が叫ばれて久しいですが、今回はビール市場のトレンドについて整理してお伝えします。昨今のオンライン飲み会の普及によりビール離れはますます加速する可能性もあります。

ビール類の市場規模の推移

ビール類の市場規模の推移

上記はビール類の市場規模の推移を3つのカテゴリ(ビール、発泡酒、新ジャンル)に分けて時系列でグラフ化したものです。

ビール系アルコール飲料の市場規模のピークは1994年で、当時は年間5億7,200万ケースの出荷を誇っていました。それが年々減少を続け、2018年には約4億ケースにまで落ち込んでいます。

ピーク時に比べ3割近く減少しているのです。「ビール離れ」が指摘されて久しいですが、まさにそれを裏付けるデータになっています。

背景にあるのは、アルコール飲料に対する消費者の嗜好の多様化です。キリンHDの推計によれば、ビール離れは世界的なトレンドといえそうです。

2016年の世界のビール生産量は1億9092万キロリットルで、15年に比べ0.6%減った。前年割れは3年連続。中国、米国、ブラジルの上位3カ国すべてが減少した。酒類に対する消費者の嗜好が多様化しており、世界でも「ビール離れ」が鮮明になってきた。

若者は低アルコールを好む?

ミレニアル世代やZ世代のアルコール消費のキーワードの一つは「低アルコール」です。欧米では若者の間で度数2~3%の低アルコール飲料が爆発的に売れていることを、サントリーの新浪剛史社長は以下のように語っています。

――世界の酒類市場や飲料市場では若い世代の嗜好が以前と変わってきているようですが、どうみていますか。
「欧米ではミレニアル世代や、その下の世代の『Z世代』の間で、『ハードセルツァー』というアルコール入りの炭酸飲料が爆発的に売れている。アルコール度数は2~3%と低い。ミレニアル世代は高価格帯の蒸留酒を少し飲もうとしたり、味や香りに特徴があるクラフトビールを求めたりしている。」

発泡酒を上回る新ジャンルの伸び

ビール類の市場シェアの推移

上記は、ビール類3カテゴリのシェアを時系列で並べたものです。

発泡酒の歴史は約25年前に遡ります。1994年に、サントリーが発売を開始した「ホップス」という銘柄が日本初の発泡酒でした。発泡酒は税率が低かったため、低価格を武器に市場を拡大していきました。

ところが2003年に酒税法が改正され、発泡酒の税率が上がることになりました。これを受けビールメーカー各社は、新たに「第三のビール」や「新ジャンル」と呼ばれるビール系飲料を市場に投入します。

「クリアアサヒ」や「金麦」に代表される新ジャンルは、低価格を活かし発泡酒に取って代わって市場を拡大していきます。一方で、上記のグラフからはビールの売上は大きく落ち込んでいないことが分かります。

新ジャンルは発泡酒の代替品として成長しているものの、ビールの代わりを果たすまでには至っていない、と言えそうです。

今回は以上です。

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