#007 米マクドナルド社が3年以上も債務超過である理由
アメリカのMcdonald's(マクドナルド)社が、3年以上にわたり債務超過状態にあることはご存知でしょうか。
債務超過とは、端的に言えば資産をすべて現金に換えても負債(借金)を解消できない状態です。一般に、企業の債務が資産を上回る「債務超過」状態は、企業の継続性に問題があるとされます。
ですから、東京証券取引所の上場廃止基準に債務超過を1年内に解消できないことが記載されているわけです。
上場廃止基準(一部・二部)概要
債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)
今回は、マクドナルドのケースをキャッシュフローの観点からまとめます。
マクドナルドの債務超過状態
上記は2009年と2019年のマクドナルドのバランスシートを比較したものです。2009年時点では、マクドナルドの自己資本比率は45%ほどあり、財務的に健全な状態でした。
ところが、2019年のバランスシートを見ると、債務超過に陥っていることがわかります。債務超過の金額は、日本円にして約8,700億円と巨額になっています。
マクドナルドの潤沢なフリーキャッシュフロー
次に、マクドナルドのフリーキャッシュフローの推移をチェックします。すると、業績が非常に安定していることがわかります。営業キャッシュフローは、8,000億円~9,000億円をキープしています。
営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは、平均して約5,000億円で推移しており、マクドナルド社の事業は安定しています。
フリーキャッシュフローは株主に還元
過去10年間のデータを見ると、フリーキャッシュフローと財務キャッシュフローがほぼ同じ水準にあることがわかります。潤沢なフリーキャッシュフローを株主に積極的に還元するスタンスを採っています。
更にキャッシュフロー計算書の内訳を確認すると、マクドナルドは年平均8,000億円近くを株主還元(自社株買い、配当)にあてています。そしてなんと、その原資の一部として、同社は負債を増やしているのです。
ですから、マクドナルドは2016年から債務超過状態にあるわけです。それでも、フリーキャッシュフローが安定しており、業績の見通しに不安が少ないからこそ、債務超過状態が成立している、ということです。
今回は以上です。
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