再開したミニシアターで観たドキュメンタリーは《病気だけでなく、社会まで診ている》(ネタバレほぼなし)
今池のミニシアター・名古屋シネマテークが閉館されるという昨年夏、駆け込みで何度か行きました。
同じ場所に『ナゴヤキネマ・ノイ』名義で今月16日に再開(というべきか新規開館というべきか)するとのニュースを耳にして、以前からこの週あたりに行こうと決めていました。
けれど、当日の朝、地元放送局のニュースに再開が大きく取り上げられていたので、
「これはまずい!」
とネットで事前予約しておいた。
(これは便利になった点のひとつ)
── 今池は昨夏以来かもしれない……。
『シネマテーク』時代と比べると、入口も内部も、こざっぱりときれいになった印象です。
館内のトイレもリニューアルされ美しくなったような……。
平日の昼間(14:50~)なのにほぼ満席でしたね。しかも、若者(定義にもよりますが)もかなり交じっている。
シネマテーク時代の昨夏平日はシニアが多く、客席は1/3以下しか埋まっていなかったと記憶しているけれど、この『1度閉館ショック』に対するカンフル効果が、リニューアル後に続くのを期待したいものです。
ミニシアターにかかる映画には3種類あると思う。
① 独立系作品のように大手劇場でかからない新作
② 過去の名作(多くは特定の監督のシリーズ企画)
③ ドキュメンタリー
このうち、ドキュメンタリー映画はエンタメ性が低いためだろう、大手シネコンなどではほとんどかからない。
シネマテーク時代に観たドキュメンタリーでは、『現実世界でもほとんどが虚構の小説家』井上光晴を追った『全身小説家』が印象に残っています:
さて、ほぼ満席状態(空いていた2座席が、予約した私の両側! これは奇跡的偶然か、それとも、耐えがたい臭気でも発していたのだろうか?)で観たのは:
スクリーンでは『救急搬送された患者を断らない病院』名古屋掖済会病院救急診療科の多忙な時間が続く……。
「いろいろな病気の人が来る」と覚悟して救急医を志望した研修医の元に担ぎ込まれるのは、自殺未遂の重傷者はもちろん、鼻の穴にドングリが詰まった男児、指輪が抜けなくなった女性……ありとあらゆる患者が来る ── 診療費を払えない/払わないホームレスやクレイマーも含め……。
まさに、
《病気だけでなく、社会まで診ている》
最後のテロップに、出演したお医者さん、看護師さん、研修医、その他職員、救急隊のメンバーなどの名前が出る ── それは、わかる。
けれど、その後、さらに延々と、アイウエオ順で人名が続く。
患者さん……? でも(正確には数えていないけど)2000人ぐらいの名前が……
あの人たちは一体、なんだったんだろう?
歴代の掖済会病院救急医療従事者全員の名前だろうか?
表題『その鼓動に耳をあてよ』はおそらく、我々社会全員に、
『彼ら救急医たちの活動に耳をあてよ』
と訴えている。
私自身、昨年8月に転んで頭を打ち、救急搬送された時に、救急隊のみなさんや救急診療科のお医者さん&看護師さんにはたいへんお世話になりました。
《日本の救急医療は素晴らしい!》
(米国では救急でも、保険が確認されるまで何もしてくれなかった……)
ドキュメンタリーはミニシアターとの相性がいいのではないか? と改めて思った。
そして、きわめて個人的なことだけれども、高校時代からの付き合いで、掖済会病院での勤務経験があり、開業後には私の主治医だったこともある友人 ── 15年前ほどに亡くなった ── について想った。
彼が、生前言っていたことを想い出す:
「医者はね、ありとあらゆる人を診なきゃならないからね ── けっこう大変なんだよ」
《病気だけでなく、社会まで診ている》
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