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日本人英語学習者がIELTS7.0(ビジネス英語上級レベル)を取得するまでの学習ロードマップ


はじめに

日本人英語学習者且つIELTS受験者向け情報の不足

本記事では高校卒業まで海外経験が一切ない私が試行錯誤の末、IELTS7.0を取るまでの学習を踏まえ、最短距離で目標点を取得するための方法論を詳細に書いていきます。私はパスポートを取得したのが19歳、初めて海外に行き英語で会話を試みたのも19歳と比較的遅い海外デビューでした。そのため、英語は完全に後天的に学んできたものです。

一方で、巷にあるIELTS・TOEFL対策の多くは初心者に寄りすぎているか、もしくは上級者向けは帰国子女の講師が受け持っている場合が多く、6.5-7.5くらいを目指したい人を対象にした、日本人が感じやすいペインポイントを把握した上で、学習アドバイスを立ててくれる人・サービスが不足しているように感じていました。日本人特有の悩みをベースに、スコアメイキングの方法論を共有することでこれから海外就職・移住・留学などを志す人の一助になれましたら幸いです。本記事内ではIELTSの評価基準から、具体的に使った本、サービスを含め全て触れていこうと思っています。

もっと楽に仕事で英語を使えるようになりたい人はこちらをどうぞ

そもそもIELTSとTOEFL、どちらを受けるか

私個人は学部時代からIELTSを先に受け始めたので、TOEFLを受けることなくここまできてしまいました。よく言われる話だと、IELTSのライティングとスピーキングは採点者によって左右されるため、TOEFLの方がコントロールしやすいという話です。個人的にこれはそこまで問題にならないと思っています。EORという再採点制度もありますし、スコア到達難易度で言えば変わらないのではないでしょうか。

その上で、個人的にはIELTSをお勧めしたいです。理由としては求められる語彙のレベル、リーディング・リスニングの難易度です。TOEFLではなかなか専門的な単語が多く、わかっていないとそもそも解けないという類の問題がかなり多いように思います。一方でIELTSの単語のうちのほとんどが大学受験レベルで対応できるものであり、特にリーディング・リスニングに向けた新たな語彙増強はそこまで必要がないように思います。より本質的に英語能力を高める・仕事で使える英語力を身につける意味で、特別な単語を学ぶより、語彙のレベルは平均的だが、運用能力を求められるIELTSの方がやりやすいのではないかと考えます。

IELTSスコア遍歴 (2023年7.0取得まで)

私が最初にIELTSを受けたのは2015年、国際基督教大学の1年生の頃でした。そこから大学3年生での交換留学に向け、大学2年生の秋までに6.5のスコアメイキングが必要になり、数回に渡り受験をしました。

最初に受けた時は5.5に近いギリギリの6.0、そこからしばらく6.0が続きます。特にWritingは苦手で、5から6の間を行き来していますね。2016年の9月に締切直前でなんとか6.5に到達しました。Readingがかなり点数を引っ張ってくれての6.5です。2017年から2018年にかけて約1年留学していたものの、そこからあまり英語を使わなくなって6.0に戻ってしまってショックだったことを覚えています。

そこからしばらくIELTSを受けることはありませんでしたが、2020年から2023年の春までベトナムで英語をメイン言語として仕事をしていました。その過程でスピーキング・リスニングは鍛えられましたが、リーディング・ライティングに関してはAIツールの発達も相まって、ツールに頼ることも増えていたため、2023年1月にIELTS受験を決めて模試を受けた段階ではこのまま受ければ6.5というところでした。その後転職活動で勉強できていない時期もありながら、合計学習期間3ヶ月程度で7.0に到達しました。それぞれのバンドスコアは、L:8.0、R:7.5、W:6.0、S:7.0でした。

後述する使ったサービスでIELTS講師の方からスピーキングは7.0取れそう、ライティングはうまくいけば7.5取れそうと言っていただいていたこと、模試でリスニングとリーディングは安定して取れるようになっていたため、ライティング以外はある程度予測通りのスコアでした。ライティングがここまで上がり切らなかった理由は仮説がいくつかあり、これについては後述いたします。

ちなみにあと何処かのスキルで0.5を積み増すことができれば7.5に到達できたので本当に惜しかったです・・・ (あまりに悔しくて15000円を追加で払い、ライティングのEOR(再採点)をしましたが、結果は変わらずでした)

私の英語レベル遍歴

どういうレベル感かを理解していただくことで、この後の学習計画への理解が深まりと思いますので、英語遍歴についてお伝えしておきます。英語学習を本格的に開始したのは高校3年生で大学受験に向けて東進衛星予備校で安河内哲也先生の授業を受けたのが最初です。その後センター試験では9割くらいを取れる状態になりました。

大学入学時最初に受けたTOEICの点数が600点くらいだったかと思います。最初に入学した大学は地方の国立大学でしたが、入学後仮面浪人をして、国際基督教大学(ICU)に再入学しました。受験対策の一環としてシャドーイングやディクテーションなどを中心に学習し、半年後くらいで760点くらいの得点だったと記憶しています。その後ICUに入学するものの、ICUは学生の半分程度は入学時点で流暢に英語を扱い、25%は帰国子女という大学です。私はもちろん最初は話すことが全くできず多くの恥をかきました(笑)。その後前述の通り留学に向けた準備を通じて少しずつではあるもののオンライン英会話等を通じて話せるようになり、留学直前一番スコアが伸びていた時期で6.5というところでした。

2020年から3年に渡りベトナムで仕事をしている中で、多少ブロークンな部分はあれど、話すことと聞くことについてはかなり上達した部分もあったようには思います。とはいえ、これらも国内にいながら学習で補える部分がほとんどですので、身構えずにこの後の文章も読んでいただければと思います。

日本人向けIELTSスコアメイキングの鉄則

R・Lで安定的に稼ぎ、Sで平均をとり、Wで粘れ

一言でまとめると、「リーディングとリスニングで安定的に稼ぎ、スピーキングで取りたいスコアの平均をとり、ライティングは全体に影響が出ない範囲で粘る」というところにつきます。リーディングとリスニングは基本的に40問中何問あっていたかで点数が決まってくるため、特に捻りも必要なく、実力通りの結果が出れば、模試で取った点数に近い点数を本番でも出せる可能性が高いです。

リスニングだと例えば30問あっていれば7.0、リーディングでも同じく30問あっていれば7.0です。スピーキングやライティングも公開されている得点基準があります。

スピーキングの評価基準を理解する

IELTSが公式で公開しているスピーキング評価基準を貼りました。私は個人的にライティングよりもスピーキングの方が日本人にとって7.0以上を取れる可能性は高いと考えています。鍵としては7.0でも「文法の一定のエラーは許容される」という点です。日本人にとって難しいのは定冠詞や不定冠詞のあるなし、語順が日英で異なることにより、焦ると文法順序が逆になってしまう、などではないでしょうか。これを直し切るのは正直相当難しく、私もスピーキングをし始めてからある程度の時間が経過していますが、未だに少なからずエラーがあります。

一方で、その他の基準については、淀みなく話せるように繰り返し練習することで達成できる可能性が高いです。それぞれの対策については後述します。

ライティングの評価基準を理解する

ライティングではタスク1とタスク2でそれぞれ異なる評価基準が置かれています。また、ライティングのスコアはタスク2に比重が重く置かれているので、本番でもタスク2に十分な時間が確保できるようにすることが望ましいです。

みていただくとわかるように 文法知識のところで「間違いの全くない文章を書くことが多い」、などの記述があります。私はライティングでスコアアップすることに苦労し、最終的に上がり切ることがありませんでした。なぜ、マンツーマンレッスンで講師から7.5のレベルがあると言われながら、6.0程度しか取れなかったのでしょうか?もちろん本番の結果に対するフィードバックはもらえないので正確にはわかりませんが、昨今のAIツール発展などにより、伸び悩みがさらに加速しているように思います。

例えばWordやGoogle Docsなどでライティングの練習をすれば小さな文法の間違いやスペルミスは自動で修正されてしまうことが多いです。私はこれに頼ってしまうことが多く、そこまでそれを重視することなく修正の上で添削を提出してしまっていましたが、これらのミスは減点に大きく効いてしまう可能性があります。上記の基準でいう、「間違いの全くない文章」にはなっていなかったということでしょう。

最短距離で7.0に到達する学習方法

さて、評価基準がわかったところでいよいよ具体的な対策についてみていきましょう。

英語に触れるのが久しぶりの方

この場合以下のIELTS対策に進む前に、文法の復習、シャドーイングで耳を開く、オンライン英会話で会話に慣れ親しむ、発音に課題を感じれば発音練習をする、精読(英文解釈系の大学受験本1冊)、少しずつ長い文章を読めるようになる、という順序で進めましょう。文法の復習に関しては、大学受験対策本1冊、なんでも良いのでやることをお勧めします。それぞれお勧め本をあげておきます。全て大学生の頃にヘビーに使ったものです。

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