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現場を支えるのはスポットバイトではなく新しい福利厚生なのではないかという話

本文章のきっかけ

これまで業界を牽引してきたタイミーだけでなく、あのメルカリも参入し、人材領域の巨人あのリクルートも新たに参入するということで、スポットバイト市場が話題です。https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/0513_14370.html

この動きは、間違いなく働き手も受け手も短期間での労働に対して魅力を感じており、今後も一定期間伸び続けると感じています。
しかし、今後このスポットバイトが救世主となって、飲食店や小売等の現場が上手く回るのかといった点においては疑問を感じており、アメリカではどんなことが起こっているのかを調査し、今後日本で起こることを考察してみました。



コロナをきっかけに変わったアメリカ労働市場

COVID-19パンデミック以降、アメリカでは「大退職」(The Great Resignation)と呼ばれる現象が発生し、2021年には4,780万人、2022年には5,000万人以上の労働者が職を辞めました​ (U.S. Chamber of Commerce)​​ (Workforce.com)​。このトレンドは2023年に入り、「大転職」(The Great Reshuffle)に移行し、多くの労働者がより良いワークライフバランスや高い賃金、強い企業文化を求めて他の仕事に転職する傾向が強まりました​ (U.S. Chamber of Commerce)​​ (U.S. Chamber of Commerce)​。この時期にギグエコノミーの成長が加速しました(同じ意味ではないですが、スポットバイトのような建付けと理解しています)。ギグエコノミーが加速した理由は、労働者の多くが追加収入を得るためや、仕事のスケジュールを自分で管理できることが理由だと言われています。 (Pew Research Center)​。

時を同じくして始まった動き:最前線で働く人のための福利厚生

日本と同様にアメリカの飲食店や小売店は多くの現場従業員を抱えており、コロナ以降、人手不足と高い離職率の問題は、これらの業界において深刻な課題となっています。このような背景から、次の動きとして、アメリカでは現場従業員向けの福利厚生サービスが広まりつつあります。


コロナ前の福利厚生市場の特徴

COVID-19以前、アメリカの福利厚生は主にホワイトカラーや管理職層向けに提供されており、現場従業員(ブルーカラー)向けの福利厚生は限定的でした。理由は明白であり、コストの制約や認識不足により、健康保険や有給休暇さえも十分に提供されていないケースが多くありました。

コロナ後に回復した需要と、戻ってこない人々

2021年には、ワクチン接種とパンデミック制限の緩和に伴い、レストランオーナーは平均以上の賃金での採用を試みましたが、それでも求人件数は依然として高止まりしました。さらに、2023年初頭のデータでは、レストラン業界の従業員数はパンデミック前のレベルを3.6%下回っており、45万件の求人が未充足のままです。62%のオペレーターが需要に応じてスタッフを確保できず、80%が求人を埋めるのに苦労している状況が続いています。​ (Restaurant US)​。

新しいカタチのサービスの台頭

戻ってこない人々を引き付けるために、アメリカでは、従来の健康保険や有給休暇に加えて、従業員エンゲージメントやパフォーマンス向上を目的とした新しいサービスが増えています。代表的なスタートアップを一つ取り上げます。

Onaroll

Onarollは2019年に創業した企業です。コロナ後の採用難をきっかけに伸びているアメリカのスタートアップであり、代表はStarbucksのCEOとともに働いていた人物です。

創業年: 2019年
資金調達額: 2000万ドル
創業者の名前: Peter Ginsberg
経歴: Peter GinsbergはYale大学でアメリカ研究を専攻し、テクノロジー企業での経験を積みました。
過去の仕事から今の事業を思いついたエピソード: Peter Ginsbergは以前、スターバックスのCEOおよびエグゼクティブチームと共にSiren Ideasの立ち上げに関わり、そこで従業員エンゲージメントの重要性に気づきました。

https://www.crunchbase.com/organization/sparkplug-app

新しい福利厚生が受け入れられる理由

Onarollを始め、こういったサービスが受け入れられている理由を3つ挙げます。

  1. パフォーマンスに基づく報酬: 従業員が自分の努力と成果に対して直接的な報酬を受け取れるため、高いモチベーションを維持することができます​

  2. リアルタイムのトレーニングとフィードバック: スマートフォンを使ったリアルタイムのトレーニングとフィードバックを提供し、従業員のスキルアップをサポートします。これにより、従業員は迅速に学び、即座に業務に反映できます​

  3. データに基づく評価と報酬: 販売データに基づいて従業員のパフォーマンスを評価し、報酬を与えることで、公正かつ透明性のある評価システムを構築します

現場向けの新しいサービスは費用対効果が重要であり、これをデータを利用することで乗り越えている点が特徴的です。

日本で今後おこることは

これまで見てきたように、アメリカではCOVID-19をきっかけに、多くの企業がより良いワークライフバランスや高い賃金、強い企業文化を求める従業員を引き留めるために、新しい福利厚生サービスの利用を余儀なくされています。そして、この流れは日本でも始まると考えています。その一つの理由にスポットバイトがあります。

スポットバイトが普及することで起こる未来

日本ではスポットバイトの普及が進んでおり、短期間で柔軟に働ける環境が整いつつあります。しかし、スポットバイトの普及には「チームの作業効率の低下」や「採用コストの高騰」といった課題が存在します。そういった課題に対応するため、アメリカ同様日本でも現場従業員の待遇改善を進めていくのではないかと考えております。

次に必要なサービスはデータ×福利厚生なのではないか?

モバイルオーダーシステムや業務効率化システム、スポットバイトなどの労働リソース調達サービスが増えている中、次に必要と考えられるのはデータ×福利厚生です。従業員の満足度を高めることがホワイトワーカーを中心に重視されてきましたが、現場の従業員にもその波が広がりつつあります。

仕事とは、単に指示をこなすだけでなく、働く人同士が連動し、コミュニケーションを行い、成長し、自分に誇りを持てる場であるべきです。データの可視化を通じて目標が明確になり、達成感と働きがいが生まれます。アルバイトやパートも含め、従業員が満足感を感じられる環境が日本には必要なのではないでしょうか。

弊社は、「データ×ゲーミフィケーション×福利厚生」を軸にプロダクト開発を進めております。5000万人の現場従業員を支えるサービス開発やビジネス開発にご興味がある方現場従業員の離職率低下や、パフォーマンス改善ご興味がある方は、是非ディスカッションをさせて下さい!


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