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機械仕掛けのコウノトリ 48

第1話

前話

 待合席に腰を下ろし、羽織っていたコートをひざ掛けとしてそっとかけた。

スーツ姿でもなく、かといって完全にラフな格好でもなく、落ち着いた黒のロングスカートにベージュのニットを着てその時を待っていた。

考えたこともなかった市役所の職員たちの走り回る様子も、その音もしっかりと感じられていた。

この時代に未だに変わることができていないその景色を見ると私は自分がまだ取り戻せることの後押しをされているような気になって、肩が落ちた。

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