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せきららインタビュー:アーティストとして生きる

Guten Tag!
今回は予告通り、ベルリンでアーティストとして活動しているサイトウユリカ氏にインタビューした記事になります。
彼女は嫁がもともと友達で(嫁は俺より日本人の友達が多い。。。)、おそらく人生で一番最初に、アートを生業にしている人物に出会ったのがユリカ氏でした。

Photo by Gino Funari

”アーティスト”ってどこか得体のしれないもの、すごいもの、そんな漠然とした雰囲気を醸し出している職業を徹底解明!!
一時間弱のインタビューで感じたこと、今回は2部に分けてお届けします。

最後にアーティスト情報も記載しておりますので、よろしければフォローやチェックお願いします!



1.自己紹介

S(シュン:筆者)
Y(ユリカ氏)※以下略称にて記載

S:それではまず簡単なプロフィールをお願いします!
Y:はい。名前はユリカサイトウで、出身は東京の西の方にある田舎で、ベルリンには2019年の秋からだから、、、4年半くらい経つね。

S:ズバリ、職業は何ですか?
Y:あ、職業ね。アーティストとバイトをバーガー屋でやってます。
S:バーガー屋でも働いてるんだ。
Y:そうそう。ヴィーガンバーガー屋さん。
オーナーがゲイカップルのポーランド人で、最初2人で始めて、まぁ途中で別れちゃったみたいだけどうまくやってるみたい。
S:((笑) ※ベルリンぽいので載せました。
海外はベルリンが初めて?
Y:カナダに1年、オーストラリアに2年いた。ヨーロッパに住みたいと思ってたし、ドイツでワーキングホリデービザもとれるから、あとは当時ベルリンに友達も住んでて、じゃあベルリンにしようかなって。
S:あ、最初は絶対ベルリンって感じでもなかったんだ。
Y:うん。ベルリンのことは知らなかった。どこでもよかったし、なんなら合わなかったら他の国にもいけるなって思ってたし。
S:おれはてっきり、アートアートでベルリンを選んだのかっと思ってた。
Y:流れ流れだね。(笑)

2.アーティストになろうと思ったキッカケ

S:今、職業がアーティストって言ってもらったんで、そのアーティストになろうと思ったキッカケは何ですか?
Y:なろうと思ったキッカケか。。。
絵がもともとめっちゃ好きで、でも美術部に入ったりとかはなくて、スポーツも好きだったし。一回美術予備校に通って、デッサンとか色彩とか基礎を学んで、楽しかったけどなんか窮屈な感じがして。そのあと芸大に進学も考えたんだけど、願書の提出期限に間に合わず、浪人してやるかなぁってなっちゃって。
前に地方に行って住み込みで仕事をするっていうの一回経験しててそれがすごい楽しかったから、東京出て、地方に行って住み込みで仕事するっていうのを始めたのかな。まぁそれの延長線上で今海外にいるのかな。
S:あー、なるほど。
Y:そうそう。いろんな違う文化に触れたりするのがすごい好きだったんだよね。だから、ハンディカム持っていろんなとこ行って、撮った映像を出会った人にあげて喜んでくれたりとか、その瞬間瞬間にいろんな出会いや体験があって、東京だけじゃないな、世界って広いなって思って。
そういうのが重なって、次は自分の得意なこと、好きなことで、経験を形にすることにフォーカスしたいと思うようになったのが20代後半かな。そこからモノ作りに対して本気で向き合うようになったって感じかなぁ。

S:んじゃ、そもそもアーティストになりたい!って思ってなったっていうよりは、結果的にそこにたどり着いたって感じか。
Y:あたしは美術の世界で言うところの”王道”ではないから。学校行って大学行ってみたいな。そうだねぇ、だからアーティストになってたっていう方があってると思う。
一つでも具体的なきっかけがあるとすれば、ドイツ来てワーホリからビザを更新するときに、挑戦してみようって感じで、フリーランスのビザに切り替えて、アーティストとしてやっていく覚悟みたいなものを決めたって感じ。

Photo by Gino Funari

3.作品のコンセプトについて

S:せっかくなんで、どういう作風のものを作っているのか説明してもらってもいいですか。
Y:おっきい枠で言うと”つながり”みたいなことかな。
割と自分の性格が黒か白か、はっきりさせたいっていう性格で、それってでも分かれてるんじゃなくてつながってるんだって思って。いろんな違う文化に触れたり違う国に行ったときに、全部違う景色に見えるけど本当はどっかつながってるんだとか。文化も言葉も見た目も全然違うけど人間ってつながってるじゃんって。自然もそうで、なんかこういうものを表現したくて。

CYCLE No,01

今作っているのは、モノクロの作品で、バッと水が垂れる瞬間というか、一瞬を表現できるものを描いて、そこにめっちゃ時間をかけて糸を縫うっていうものを作品にしてる。それはさっき言ったみたいにイメージとして右から左じゃなくて、結局つながってんじゃんって、禅で円相っていうんだけど、やっぱり循環してるじゃんっていう感覚を表現したいんだよね。草木染もやってるんだけど、ああいうのもそうだけど、すごく身近なもの、今ここにあるものでいろを染めたときに、改めてこんな色してるんだとか、当たり前のことに気がつくみたいなものを共有したくて。それもなんかのつながりなんだよね私からしたら。日常にあるものの色、生活している世界の小さなことに気づけるていうのはまた一つのつながりの表現かな。音と絵っていうのもそうで、音は一瞬で消えてしまうのだけれど、その一瞬に私が紙にインクを垂らせばそのつながりがそこに残るっていう。
”つながり”を自分が媒体になって表現する、一瞬と永遠、黒と白、極論は生と死っていう一見真逆のものって実はつながってるよねっていうのを体現したいの。表裏一体とか諸行無常とかすごい惹かれて、なんかそれを形にしたいなと思ってもすごい難しいんだよね。自分で理解したと思ってもそれってたぶん理解しきれてなくて、頭でわかったと思ってしまうと感覚でわかるっていうこととすごく離れてしまうから。でも片方がないと片方が成り立たないから、私はたぶんこういうものを死ぬまで体現するんだと思う。
S:おもしろいねぇ。これを聞いてからまた作品を見ると全然感じ方ちがうね。

サウンドドローイング 音と絵

4.ベルリンが与えるアートへの影響


S:自分の作品のコンセプトに至るまでと、その過程でベルリンが与えた作品に影響をがあれば教えてください。
自分も5年弱ベルリンに住んでいて、アートへの価値観が変わったから、もっとアート寄りの思考ができる人だともっと敏感なのかなって思って。

Y:繋がりっていうのを意識し始めたのはベルリンに来る前の2018年くらいの出来事かなぁ。
あたしは20歳くらいで地元を出て外へ行くことが好きで、あんまり自分の中で地元ってものを処理できてなかったんだよね。
オーストラリアから地元に戻って1年間滞在したときに、おじいちゃんがもう病院に入ってて、いつなくなってもおかしくないっていう状態だったの。
それでも親戚みんな仲良くて、病院の見舞いもお世話もみんな楽しそうにやってたんだよね。亡くなった後もすっごいにぎやかで。
話は変わって、一年間のすごい時間があったから地元をほぼ毎日のようにランニングしてみたんだけど、そこで季節ごとに変わる風景を見て。
夏はこんな中走れないってくらい熱くなって、秋が来たら葉っぱが紅葉して、冬には散ってさびしい風景なって、また春に芽が出てみたいな。
身近な人がなくなる過程で命というものと、自然が持っている変化みたいなものを同時に体感したときに、私はこれを形にしなきゃいけないと思った。
その感覚を持ったままベルリンに来たんだけど、私の感覚と相性が良かったと思う。結構ありのままっていうか、着飾ってない感じ。あるがままだったり、その人がその人らしいっていうのが、自分が地元で経験した感覚にすごく合っていた気がする。
ベルリンってやっぱり特別な街だし、そう思えるのってすごいいいなぁって思う。合わない人はすぐ出てっちゃうし、合う人はずっと残ってるみたいな、ベルリンの波長に同調してるんだなって思う自分は。だから作品を作る面でもすごい影響力はあると思う。
アーティストも多い街だから、チャンスも多いし、受け取れるもの多い反面、ネガティブなことに引っ張られることも多いよね。こうやらなきゃいけないとか、アーティストだったらこれくらいの作品作らなきゃとか、この年齢だったらこれくらいできなきゃいけないみたいなことにとらわれ過ぎないようにしないといけないよね。


当たり前のこと、日常のことにもっと敏感になれたら、感覚が研ぎ澄まされていくのかなぁと感じました。
自分好きなことやりたいことに正直に生きることで見えてくるやりがいや目標は一生のものになる、またそれを無意識に体現する、アーティストとしてだけでなく、人間としてのお手本のような生き方だと思いました。

2部目はもう少し生活にフォーカスした話を!

次回に続く。。。


アーティスト情報

・Yurika Saito
個展開催予定は4月19日〜21日
KuLe e.V.
Auguststraße 10 10117 Berlin
興味のある方はぜひ下記のリンクよりこれまでの作品や活動をチェックしてみてください!

前回訪れた個展の作品たち


Paint/Textile/Performance artist Website

Instagram: @yurika_sketch

Facebook

・Gino Funari(フォトグラファー)


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