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やる気が上がらないあなたへ

 人間どうしてもやる気が上がらない時があります.もしくは,自分の子どもが勉強や運動へのやる気がないとこがあることでしょう.以前,”一流になるたった1つの方法”の記事(https://note.com/shun_ex_edu_lab/n/nf66beebe7a95) のなかで,意図的計画的練習を持続することが重要と述べました.意図的計画的練習のやり方は以前の記事で述べました.しかし,どんなに効率の良い練習や,画期的な方法も”やる気”がなければなんの意味もありません.そこで,今回は,”やる気とは”について述べたいと思います.

 自己決定理論

やる気を説明する一番有名な理論がDeciとRyanが提唱した自己決定理論です(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1207/s15327965pli1104_01).

 自己決定理論では,人間は3つの基本欲求がありそれを満たすことで"やる気"が上がると言っています.3つの欲求とは「自律性」「有能感」「関係性」です.

自律性

自律性とは,自らが行動を選択し,主体的に動きたいという欲求.

有能感

自分はできる,能力があると感じることへの欲求

関係性

他人とお互いに尊重し合い,関係を築きたいという欲求.

この3つの基本的心理欲求を満たすことで,やる気が向上する!さらに,この理論のでは,3つの基本的心理欲求のみたられ具合によって,動機づけ(やる気)が内発的動機づけと外発的動機づけの2つに分けられています.さらに,外発的動機づけは動機づけのレベルに応じて5つに分類分けされています.

内発的動機づけ

内発的動機づけとは,内発的に動機づけられた状態であり,その行動自体が楽しいから行う,やりがいを感じているなどの状態.つまり,報酬や,結果が欲しいのではなく,その行動そのものが好きで夢中で取り組んでいるような状態のこと.一番動機づけレベルの高い状態.

外発的動機づけ

5つの外発的動機づけを動機づけレベルが高い順に説明していく.

統合的調整

その行動が,自分の価値観と一致するから行う.行動は,かなり積極的な状態.何かのためにではなく,自分にとって意味のある行動だから行う.という状態.自己決定の度合いは高く,かなり内発的動機づけに近い.

同一化的調整

行動に,価値があると考え,自分にとって重要だからやる,将来のためになるなどの結果を見込んだ行動を行う状態.自己決定の度合いはそこそこ.

取り入れ的調整

明確な外的要因がなくても行動が見られるが,行動を行う理由が,やらないと不安,恥をかきたくないなど,指示がなくても行動するが,義務感などで行動している状態.

外的調整

完全なる外発的な動機づけ.言われたからやる.指示がないと行動しない.罰を受けないために行うなどの,自己決定の度合いがかなり低い状態.

以上が,動機づけ理論である,自己決定理論です.

内発的動機づけが一番高い動機づけ状態ですが,100%好きなことだけをやることはほぼ不可能で,世の中にはやりたくないけどやらなければならないことがたくさんあります.

 例えば,野球が好きでプロ野球選手になりたいとしても,プロ野球選手になるためには,ルールを覚える,暑い中練習するなど大変なこともやる必要があります.内発的動機づけされているに越したことはないですが,嫌なことも,自分にとっては重要だ,やる意味があると思って行動することも重要だと思います.前述の通り,一流になるためには意図的計画的練習が10万時間必要です.目的を達成するための行動を持続すること,つまり,外発的動機づけを高く保つことが一流いなるためには必要です.

 子どもの場合,

好きなことを見つけ,熱中させてあげることがとても嬢だと思います.子どもが内発的に動機づけられた行動に対して,あれやれこれやれなどと指示したり,報酬をあげる指導者や保護者が意外と多いと思います.内発的に動機づけられた行動に対して報酬を与え,動機づけが低下することを

アンダーマイニング効果

と言います.ですので,子どもが勉強が好きで,たくさん勉強しているのにも関わらず,ご褒美をあげることは,子どもの勉強意欲を削ぎます.

やる気をあげる方法は,主体的に行動し,自分は有能だと信じ,社会や他人に重要だと感じることです.

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