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粘土は、生きがい 〜粘土でバラを作り続ける尾鷲さん〜

その時自分がしたい表現ができるのが、粘土造形の良さ

ご自宅には今まで作ってきた作品がたくさん並んでいる

静岡県伊豆の国市在住の尾鷲信江さん。粘土でバラのリースや人形などの作品を作り続けている。花びら一枚一枚細やかに丁寧に作られたバラに、穏やかな表情の人形たち。尾鷲さんの指先から生み出される作品は、尾鷲さんのお人柄がそのまま現れたような優しさに溢れている。

「22、3年ぐらい前、たまたま見に行った展覧会で粘土の作品を見て。お花やお人形さん、素敵な作品が沢山飾ってあって感動したんです。わーすごい、でも私にはできないって思ったんだけど、『大丈夫、先生がついて教えるから』って言われて。じゃあものは試しと思って習い始めたのがきっかけで、はまっちゃって。」

「もともと手芸が好きで、刺繍とかパッチワークとか、そういうのは少しずつやってたんですけど、本格的にやったのは粘土が初めて。粘土だと、お人形さんにしろ、花にしろ、その時に自分がしたいような表現ができるんですよ。」

紙粘土の面白いところは、先生から型を教わって同じのを作ろうと思っても、絶対同じものはできないところ。
これまでたくさんのバラを作ってきたけど、その日の体調や気分によって違うのが出来るのね。作る人によっても全然違うものができるし。見ればわかりますよ。この人几帳面な人だなとか、おおらかな人だなとか。そういう違うバラに出会えるから、ずっと作り続けられるのかも。手作りの良さってそういうところにありますよね。」

バラは尾鷲さんのメインモチーフ
はじめた頃に作ったバラ
最近作ったバラ

尾鷲さんの作品には、バラやアジサイといったお花が多く登場する。家で毎日少しずつ作ったお花を教室に持っていき、組み合わせて一つの作品に仕上げていく。外を出歩いていると、つい花に目を留めて、作品のヒントを探してしまうそう。

「こんな形のアジサイがあるんだとか、ツユクサはこういう作りになってるんだとか、そういうのを見るのが楽しいんです。花が好きですね。ちっちゃい時も、家の周りには海があり、山があり、それこそ自然ばっかりだったから、花とか自然のものはよく見ていましたね。」

お孫さんをモデルにした作品。

作品には時折、尾鷲さんのお孫さんやひ孫さんたちも登場する。

「子どもたちに残しておきたいなあと思って、孫やひ孫を想像して作った作品も2つか3つあります。この作品の頃はまだちっちゃかったもんでね。孫が小学校3年生のときかな。そのときにちょうどこういう洋服を着てたんです。先生に見せたら、寂しいから下にチューリップでも置いてやったら、なんて言われて、チューリップも置きました。
孫に見せると、すごいね、おばあちゃんって言ってくれます。もう古くてどんどん壊れていくから、捨てようかななんて思いながら、捨てるに捨てられなくて。」

作っているときって一生懸命だからね、
本当にもう無心になれる

家事が一段落すると制作の時間が始まる。

若い頃からお仕事も忙しかった尾鷲さん。それでも粘土は休まず続けてきた。

「美容師に、調理師に……仕事は色々やりました。忙しくてもなんでも、粘土だけは休まないで行っていました。面倒くさいから休もうってことは一度もないね。好きなんですよね。楽しみで。」

作った作品のいくつかは、道の駅でも販売している。

「たくさん作品が溜まって、なにか出したらってお友だちに言われたんですよ。それで聞いてみたら置けますよって言われて、出したんです。一つでも売れて粘土代になればなあっていう、それくらいのもんです。そんなに売れてませんし、それほど期待もしてないし。たまに良かったよって言って買ってくれる人があれば、嬉しいですね。」

作る時間それ自体が楽しいという尾鷲さん。

尾鷲さんにとっては、作品が売れることや注目を集めることよりも、作る時間そのものや、人にあげて喜んでもらうことのほうが嬉しいそう。

「作ってること自体が楽しい。出来上がったときに『ああ、できた』っていう満足感、それがすごいですね。生きがいです。
作ってるときって一生懸命だからね、本当にもう無心になれる。人形を作るときは、子どもや孫たちを想像できますしね。作るっていうのは頭の回転にもなるし、手先の運動にもなるし、すごくいいと思ってます。娘にも、『年を取って動けなくなっても、手先のことだからできるね』って言われて、ああそうだなあって。
いいもの習い始めたなって思いますよ。先生もとっても親切な方で、だからこうやって続けられるんじゃないかなと思います。教室には、90歳くらいのおばあちゃんもいて。2、3度お目にかかったことがあって『元気ですね』って言ったら、『これが楽しみで』なんて。そういうおばあちゃんって、やっぱり可愛いです。私もそうなれればいいなあと思って。」

「子どもたちや孫たちにとって、作品を上手に作れるおばあちゃんが自慢みたい」と、嬉しそうにおっしゃる尾鷲さん。作ること自体の楽しさと、周りの人たちが喜ぶ姿が、制作の原動力となっている。

執筆:村田あやこ
取材・写真:齋藤洋平


【ワークショップのお知らせ】流木見立てアーティストの藤池さんを講師に招き、流木を見立てまくるワークショップを行います!

流木見立てアーティストの藤池さん

日時:2023年2月18日(土)13:00~15:00(ワークショップは13:30~14:15)
場所:生きいきプラザ 2階 第4会議室(〒410-2413 静岡県伊豆市小立野66−1)Googleマップ
参加費:無料(先着10名ほど)
持ち物:なし
参加方法:予約不要ですが、人数把握のため下記のフォームに記入いただけると助かります。利用人数に制限があるため、参加人数が多い場合は会場に入れない場合もあります。
※流木が何に見えるのかを言い合う簡単な会なので、小さいお子さんにもご参加いただけます。

ワークショップ参加フォーム

記入いただけると大変ありがたいです!

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◎オープニングプレゼン(13:00~13:20)
タイトル『趣みん芸とは何か?』 趣みん芸友の会 齋藤洋平
今までに取材した趣みん芸アーティストの紹介など。

◎ワークショップ(13:30~14:15)
タイトル『今日からあなたも趣みん芸アーティスト 〜流木アート編〜』
海岸で拾った流木に独自のネーミングをつけ、西伊豆の直売所『はんばた市場』に卸している藤池作男さんを講師に招き、流木を見立てあう会。

ステップ①:見立ててみよう!「流木フィーリングカップル」
ステップ②:名付けてみよう!「名前で売ろう」
ステップ③:見立て名付けてみよう!「今日からあなたは流木アーティスト」
※ワークショップの内容は進行状況によって変更する可能性があります。

◎収集作品展示(13:00~14:30)※自由見学
収集してきた作品50点余りを展示。

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めちゃくちゃ面白いワークショップになると思いますので、是非ともご参加ください!!


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