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【第1回】デジタルJ-POPの作り方~コード進行編①~

前回からだいぶ間隔が空いてしまいましたが、これくらいのゆるいペースで投稿できればと思います。第1回は曲の土台となるコード進行に関して書いていきたいと思います。

今回①では自分がデジタルJ-POPを作る際によく使うコード進行を記載します。DTMerの方には共感してもらえると思うのですが、自分はよくピアノロールの風景を見てコード進行やメロディの形を記憶しています。

楽譜よりもMIDIデータをくれって感じです。なので音楽用語をなるべく使わずにピアノロールの画像を使っていきたいと思います。(コードネームはご勘弁!)

第0回でも少し書きましたが、基本はマイナーコードから始まる進行で進んでいきます。基本と保険を入れたのはメジャーコード主体のデジタルJ-POPもバリバリあるためです。ではいきますぜ。

■デジタルJ-POPの基本のコード進行

以下の各進行はデジタルJ-POPで必ずと言っていいほど使われる進行かと思います。ぶっちゃけデジタルJ-POPに限らずJ-POPでは定番と言っていいかもしれません。

またこれらの進行を構成するコードは他のコードにも代替可能なので、進行パターンが複数あります。普段みなさんが使用されている進行とは若干異なっているかもしれません(Cで終わるところをAmで終わるなど)。今回は自分がよく使用している進行形を記載します。

※すべてCmaj(Am)スケールで表記します

※各敬称略

・Am→F→G→C

俗にいう小室進行というやつです。個人名が進行の名前になって浸透しちゃう小室さんヤバい。といっても大昔から使われている進行なので小室さん発祥ではありません。自分はデジタルJ-POPを作るときは毎回必ず使っています(最近はFをDmに変えがちです)。

かの有名な織田哲郎さんが「作った曲には自分のハンコのようなものを必ず残してる」と仰っているように、自分にとってはこの進行がハンコかもしれません。

冷たさと温かさが混じっているようなイメージがあり、壮大な雰囲気を出しやすい気がします。ドラマチックになるとどこかで聞いた気がします。

また歌詞を伝える力が強いとも思っていて、サビでこの進行に一番伝えたい内容や使いたい表現を乗せてあげることを自分はよくやります。

Am→F→G→Cが基本形ですが、自分は正確にはAm→F→G→(C→G/B)という形を使ってます。Cを構成する一番上の音(ソ)をオク下に持ってきています。

C→G/BのGの時にベースがBを鳴らしてるのがキモで、デー↑デー↓と落ちる感じがたまらんのです。※G/BはコードはGだがベースがB(シ)を鳴らしてるという意

もう本当にいろいろな曲で使われていますが、パッと思いつくものは

TMNETWORK「Get wild」
fripSide「only my railgun」
DECO*27「モザイクロール」
FictionJunction「stone cold」
fripSide「fermata~Akkord:fortissimo~」
day after tomorrow「StarryHeavens」
DaitoMusic「Distance」「エンブレム」

などでしょうか。
気になった方はググってみてください。

<基本形>

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<普段使っている形(↓1オクターブ下の音はベースライン)>

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・Am→Em→F→G→C

これも小室進行と同じくらい使っています。どこかで期待感増幅進行と呼ばれているのを聞いたことがあります。

イメージとしてはAm→Emで潜ってF→Gで勢いつけて最後Cでドーン!みたいな感じで捉えています。小室進行よりも忙しいというか勢いがあり、派手でダイナミックな感じがします。

3小節目でF→Gとなっているところがキモかなと思っていて、F→G→Cのどこかでサビで一番高いメロディと、印象的な歌詞をハメるとすごく際立ちます(歌詞とメロディについての回の時にまた詳しく書きます)。

特に個人的に発展形を使っているわけでもなく、これをまんま使っています。サビで使うことが大半で乗せるメロディも動きのある感じにすることが多いです。

この進行をよく感じる曲は
fripSide「LEVEL5-judgelight-」
fripSide「fortissimo-the ultimate crisis」
fripSide「lost dimention」
華原朋美「 I BELIEVE」
MELL「砂漠の雪」
Every little thing「Feel My Heart」

などでしょうか。他が今思いつかないのでご容赦を...いずれもサビで使っているので、これらの曲を聴いてもらえれば雰囲気をつかんでもらえるのかなと思います。

※豆ですが最後のCやAmをsus4にして解決(CやAに)させると梶浦由記さんになります。しかしデジタルJ-POPではこのsus4の音をコードで弾かず、アレンジやメロディで音を取ることをよくやります。詳しくは後々の回で書きます。

<基本形>

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・F→G→Am

ついに来た!と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?これも定番で特にカッコいい系の冬曲を作る時に自分はよく使っています。また今までご紹介してきた進行と組み合わせたり、Bメロで次に記載する王道進行と組み合わせてよく使います。

特に最後4小節目をGにして、次の展開に繋ぎやすくする形をよく使っています。接着剤効果高いです。もちろんサビで使っても映えます。またユーロビートや音ゲーでもよく聞きます。

とにかくカッコいいデジタルJ-POPやカッコいいパートを作りたいと思ったらこの進行を使えば間違いないです。

イメージとしては冷たさと哀愁感とコード進行の形が表すように上がっていく高揚感を感じます。個人的にキーCでいうFは、マイナーとメジャーの両方の世界をつなぐ橋渡しみたいなイメージがあり、Fから始まるコード進行はどこか浮き上がっている感じがしています。(ちょっと電波な発言でしたね...)

これも非常に多くのカッコいい系の曲に使われていて、

Every little thing「Time goes by」
MELL「Red fraction」
V6「TAKE ME HIGHER」
Kalafina「oblivious」のサビ
KOTOKO「Face of fact」
DaitoMusic「Distance」の間奏アウトロ

などでしょうか。

<基本形>

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普段使っている形

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<イントロ・Aメロ・間奏で使う時がある形(サビ・Bメロでは使わない)>

この形はイントロやAメロなど曲の導入部でよく使っています。F→G→Amの逆バージョンみたいな感じです。

黒崎真音「X-encounter」のAメロ
niki「WAVE」のイントロ
観月ありさ「TOO SHY SHY BOY」のAメロ
安室奈美恵「You're my sunshine」

で使われています。

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・F→G→Em→Am

個人的にJ-POPにおいては小室進行と対極を成す進行だと思っています。王道進行。ただデジタルJ-POPの目立つパートではあまり聞かないかなと思うのですが、どうでしょうか。

自分は主に上記のコード進行を使った後のつなぎの進行として、または間奏で使うことが多いです(ex.BメロでFGC使った後やサビで小室進行使った後など)。

イメージとしては春や秋の雰囲気を出しやすい気がします。F→G→E/G#→Amの形をよく使っていて、Emより悲しいE、ベースラインが徐々に上がってくることで、悲しさが引き立ってくる感じがしています。

これも非常に多くの曲に使用されているため、今パッと思いつくものを挙げてみます。

fripSide「scorching heart」
fripSide「grievous distance」
fripSide「fortissimo -from insanity affection-」
fripSide「future gazer 」

のいずれもサビで使用されています。

<基本形>

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<普段使っている形(1オクターブ下の音はベースライン)>

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・F→G→C

これはあまり見かけないかもしれませんが、先述したF→G→AmのAmをCにしたバージョンで、夏曲を作る時によく使っています。

非常に明るくなるので、F→G→Amが冬でF→G→Cが夏という感じで捉えています。よくC.Gmixさんの曲でF→G→Amと一緒に使われているのを耳にします。

一番わかりやすいのがのりP「Drive life」で、サビでひたすら繰り返しF→G→Cしてます(ps.嘘でした。6小節目でEmになってます)。メロディも歌詞も同じような形の繰り返しですが、これも特に90年代デジタルJ-POPでよくあった覚えやすくするためのテクニックかなと思います。

<基本形>

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今回はデジタルJ-POPでよく使われるコードの進行形を並べてきましたが、これらを組み合わせるだけでももうデジタルJ-POPの雛形ができてしまいます。

またデジタルJ-POPは7thや9thなどのテンションコードは滅多に使わない印象です。上述したsus4と同じでアレンジやメロディで音を取るためで、コード進行はハッキリとさせたほうが「らしさ」が出るのではないかと思います(スパソも音重ねすぎると汚くなりますし)。

他にもデジタルJ-POPを作る人によって進行の癖のようなものがあり、「全部同じに聴こえる!」と言われがちなデジタルJ-POPも、実は作家によって特徴があるので、聴き比べてみるのも面白いかもしれません。

次回はこれらのコード進行をもとに、よく使っているコード進行のバリエーションを紹介できたらと思います。長い時間お読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

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