見出し画像

Vol.14 SDGsへの取り組み② SDGs未来都市に選定された板橋区

こんにちは。
淑徳大学 杉原ゼミ所属の冨です。

今回はVol.13 SDGsへの取り組み① 板橋区立教育科学館に引き続き、板橋区のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みをご紹介します。

SDGsと親和性の高い板橋区

板橋区は人と環境が共生するまちの実現に向けて、1993年に「エコポリス板橋」環境都市宣言を行いました。区内には、環境型学習施設であるエコポリスセンター(前野町)や、板橋清掃工場の余熱を利用した省エネルギー型施設の熱帯環境植物館(高島平)があります。そして、これまでの環境に対する取り組みが評価され、2018年12月に、ポーランドで開催された温暖化対策の国際会議「COP24」に参加依頼があり、坂本健区長が脱炭素化に向けた取り組みを紹介しました。

また、2021年には「SDGs先進度調査」全国第9位東京では第2位に入るなどの評価も受けています。

日本経済新聞社が編集・発行する地方創生・地域経営の専門誌「日経グローカル」は、全国815市区(回答は691市区)を対象にした「SDGs(持続可能な開発目標)※先進度調査」を実施し、全国市区の「SDGs先進度」に関する自治体の総合力を検証した。調査結果を点数化したランキングにおいて、板橋区が全国総合9位(東京都で2位)の評価を得た。

板橋区HP「SDGs(持続可能な開発目標)先進度調査」で板橋区が全国9位により

SDGs未来都市”いたばし”

2022年度、板橋区はSDGs未来都市に選定されました。SDGs未来都市とは内閣府が行うSDGsに関わる、より良い提案を行った自治体を認定する制度のことです。

「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」
優れたSDGsの取組を提案する地方自治体を「SDGs未来都市」として選定し、その中で特に優れた先導的な取組を「自治体SDGsモデル事業」として選定して支援し、成功事例の普及を促進しています。

地方創生SDGs・「環境未来都市」構想・広域連携SDGsモデル事業より

板橋区は「絵本がつなぐ『ものづくり』と『文化』のまち~子育てのしやすさが定住を生む教育環境都市~」をテーマとして提案し、その取り組みが認められました。今回、板橋区政策経営部 政策企画課の阿瀬見さん、髙木さん  同部、広聴広報課の髙橋さんに板橋区のSDGs未来都市についてお話を伺いました。

板橋区役所
取材の様子

板橋区 SDGs未来都市計画
SDGs未来都市に選定された都市は、国とも連携しながら、提案内容を更に具体化するため、3年間の計画を策定することとなっています。

SDGs未来都市に選定されたことを受け、2030年のあるべき姿の実現に向けて、2022年度から2024年度までの3年間の取組について「SDGs未来都市計画」を策定しました。
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/039/974/miraitoshikeikaku.pdf

板橋HP SDGs未来都市より

SDGs未来都市において板橋区は「絵本」を中心としたテーマをあげています。一見、絵本とSDGsは結びつかないものだと思います。しかし、絵本は大人も子供も誰もがわかりやすく、親しみやすい、誰一人取り残さないSDGsの理念に通じています。

どこでも身近に、誰もがわかりやすく理解できる「絵本」。これまではぐくんできた絵本文化を大切に生かす「絵本のまち“板橋”」は、「誰一人取り残さない」SDGsの理念に通じるユニバーサルで誰でも参加できる持続可能なまちづくりです。

SDGs未来都市板橋区のプレゼンテーション資料より

板橋区は「ものづくりのまち」として印刷・製本業が盛んなこともあって、「絵本のまち」としてさまざまな取り組みを展開しています。印刷・製本業の他に光学系の企業が集積しており、最先端の技術を持っていることから、「光学の板橋」として取り組みを進めています。

私たちは授業の一環として板橋区が「絵本のまち板橋」だということを学びました。しかし、板橋区は光学系の企業が集積しているということを聞き、驚きました。「絵本のまち板橋」の印象が強い板橋区の新たな側面に新鮮さを感じました。


絵本のまち板橋

板橋区が強く押し出しているものとして絵本があげられます。板橋区立美術館ではイタリア・ボローニャ国際絵本原画展の開催、さらに板橋区立中央図書館ではボローニャに関するギャラリー、3万冊以上の世界の絵本が蔵書されています。

過去の記事でも紹介されていますが、板橋区立美術館と板橋区立中央図書館が連携し、絵本に関心を寄せる方や作り手の方向けの講座が定期的に開催されています。講演会シリーズとして「世界の書棚から」と「On the table」の二種類があり、在日大使館の職員、翻訳家、絵本の編集者の方々から貴重なお話を聞くことができます。また、ボローニャ国際絵本原画展の入選経験のあるイラストレーターの作品を板橋区内や周辺のカフェ、書店、ギャラリーなどで展示する「ボローニャ絵本さんぽ」を開催をするなどして「絵本のまち板橋」を発信しています。

「世界の書棚から」や「On the table」、「ボローニャ絵本さんぽ」などの内容が気になった方はぜひ過去の記事をご覧ください。

絵本のまち板橋のロゴ

「絵本のまち板橋」の現在の課題をお聞きしたところ、「絵本のまち板橋」をどう浸透させていくかが課題だそうです。課題への具体的な取り組みとして、板橋区は2021年度から上記のロゴを使用し「絵本のまち板橋」をアピールしています。ロゴのモチーフには板橋区の鳥ハクセキレイと絵本が描かれており、シンプルで温かみのあるデザインは「絵本のまち板橋」にぴったりだと感じました。

板橋区は働きながら子育てのしやすい環境として、2022年「共働き子育てしやすい街ランキング」で全国8位の評価を得ています。2021年の3月には板橋区立中央図書館が移設リニューアルしました。柔らかい光のある読書に適した環境、設計レベルの高さ、公園と図書館の一体化などが評価され2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。大人も子供も快適に過ごせるように考えられた図書館は子育てのしやすいまちづくりに大きく貢献していると考えられます。

絵本のまち板橋と淑徳祭

板橋区のそのような活動を受け、私たち杉原ゼミは2022年11月12日、13日に開催された淑徳祭で、絵本の読み聞かせや「絵本のまち板橋」を紹介するなどの展示を行いました。集まってきてくれた子供達もちろん、一緒に付き添っていた大人達も読み聞かせを楽しんでくれたようで、親子で絵本のことを話しながら帰っていかれました。絵本が持っている「誰一人取り残さない」SDGsの理念を身をもって体験、再確認できた良い機会だったと思います。

淑徳祭での読み聞かせの様子
淑徳祭ではSDGs未来都市である板橋区を紹介

今後の展望

SDGs未来都市計画に沿って、今後もさまざまな取り組みが予定されている板橋区。SDGsに取り組むうえで、高木さんはSDGsの頭文字をとって「すっげぇ、でっかいゴール」なので、大きなゴールに向かってみんなで取り組んでいきたいとおっしゃっていました。

板橋区に通う私たち学生も、板橋区が掲げる大きなゴールにチームとして貢献できたらと思います。今後も「絵本」がつなぐ「ものづくり」と「文化」のまちとしての板橋区の魅力を記事にして発信していきたいです。

最後に

取材冒頭ではとても緊張していたのですがいつの間にか地元のマスコットの話で盛り上がったり、「絵本のまち板橋」を広めていくにはどうしたらいいかなどを一緒に話し合ったり、とても貴重な経験ができました。取材を受けてくださった、阿瀬見さん、髙木さん、髙橋さん改めてありがとうございました!

取材後に集合写真

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?