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誤認識写真館

私は普段から、気になる光景をとりあえず写真にとって収集している。
今日はその中でも『誤認識』にフォーカスを当てた写真を紹介する。

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まずはこの写真。
エレベーターのボタン下にある、矢印のアイコンと「ひだり専用ボタン」という文字が記されたサイン。
私は最初にこれを見たとき、矢印が差している左の空間に視線が移動し、「ボタンなんてないじゃん」と混乱した。少し経ってようやく、上にあるエレベーターのボタンに対して「左のエレベーター専用」という説明だと気づいた。「矢印」は記号の中でも強烈な方向性を持つので、このプレートをどんなに上に近づけたとしても、エレベーターのボタンに係っているように直感では思えない。

このようにあとでよく見れば識別できたものも、一瞬間違って情報を受け取ってしまう状況によく遭遇する。特に視覚情報は、脳の負荷をできるだけ減らすために、過去の経験からまずざっくりイメージをとらえ、その後細かい情報を論理的に理解という2段階の認識をする。この「まずざっくり」の部分でミスリードを招かないようにしなければならない。

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次も矢印が登場するこの写真。
このとき私は、血眼でトイレを探していて、やっと見つけた!とこの扉を勢いよく開けてしまった。するとそこは、モップやらバケツやら掃除用具が収納されたただの物置であった。正しくは、よく見ると書かれている矢印の方向にトイレは存在していた。

「矢印」は最強の記号のはずだったが、今回は「レイアウト」に負けてしまった。ドアに貼られたプレートは、開けた先の空間を説明している経験が圧倒的に多い。そのため、直感的にここがトイレであると錯覚してしまったのだ。

まだまだあるので、どんどん行こう。

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こちらは、普段きつね派である私が、たまたま家にあったので珍しく食べることにした緑のたぬき。ここで起きたエラー。それはお湯を注いで「4分間」待ってしまったのだ。カップ麺のパッケージという世界の中で数字を大きく扱うことは、他の媒体に比べてかなりシビアである。

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これは店を単体で見れば、一般的なペットショップ。
しかし、隣接している店のせいで、一瞬だけ夜の店の類に見えてしまった。本来は犬や猫を可愛くするためのピンク色のデザインも、いかがわしさを演出するための配色に感じてしまう。

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「流す」のアイコン。特に「小」のアイコンに注目してほしい。私たちが普段目にする「一時停止」と全く同じアイコンのため、何かを停止してしまうのではないかという気持ちになり、一瞬指が止まった。
擬似的な水洗音を流す「音姫」を一時停止するボタン?ウォシュレットを一時停止するボタン?と、文字での説明があるのにもかかわらず、ほんの一瞬だけこんなことがポコポコと頭に浮かんでしまった。

大きくて太い文字、目立つ配色、シンプルな記号、これらは一見強い要素に感じる。しかし、記号 vs レイアウト、色 vs 文章、アイコン vs 音声など要素同士の勝敗は、「設置場所の周辺の環境」や「見る人の状況」によって簡単に変わってしまう。
このような光景に遭遇したら、何 vs 何はどっちの勝利で、その勝因についても考えてみると楽しみながら学べるのでぜひ。

💡 違和感写真を収集しているInstagramはこちら

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