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色が引き起こしたエラー

これは私が数年前に仕事の帰り道で遭遇した、脳が強烈にグラッとした光景である。

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「色が認識できない、眼が壊れた...!」
大袈裟にもそう思ってしまった。立ち止まって、何度か瞬きしてしまった。

カラーコーン=赤、そこにかかるバー=黄色という思い込みが裏切られ、また周りの壁や張り紙も無彩色で統一されていたため、世界がモノクロにしか見えなくなってしまったのかと錯覚してしまった。
ここで「カラーコーンの色が変」ではなく「自分の目が壊れた」とよく考えればありえない状況を真っ先に疑って、モチーフの固有色が違っただけで景色すべてがグレースケールになったと勘違いしてしまうほど、色に対する強烈な先入観が在ったことを実感した。

つい先日も、私は色に裏切られた。
実家のダイニングテーブルにカップ麺が置いてあるなとは思っていたのだが、なぜか私はずっと手に取ることはなかった。
何日か経ち、家にちょうどいい軽食がなかったため、仕方なくそのカップ麺に近寄ったとき、私はある思い込みをしていたことに気がついた。
初めてそのカップ麺を見たとき、赤い色面に黒文字で大きく商品名が書かれたパッケージをぼんやりと色で認識していて、勝手に「辛そう」と決めつけてしまっていた。
辛いものが苦手な私は、無意識に自分が食べるものではない認定をしていたのだ。実際はシンプルな醤油味であった。

デパートでトイレが見つからないとき標識から赤と青を探していたり、透明のキャンディーは一瞬何味かわからなかったり、水色の布団の方が少しひんやり感じたり...私たちは、自分が独自に持っている色の常識に頼って、世界を把握していることがある。
無意識で当たり前になっていればなっているものほど、裏切られたときに想定外の反応や推測をしてしまうが、自分がどうやって世界を見ていたか強く自覚することができた。

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