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夢で逢いましょう 6 『闇』

夢の中に闇がでてきました。
お?まっくらじゃねーかっ

「そうです。わたし、闇ですから」
「おいおいおーい。ふざけてんのか?こう何も見えないんじゃ、誰としゃべってるかわかんないじゃないか。上も下も左も右もわからねぇ」
「私の声は聴こえるでしょう?人間は見えないものを異常に怖がりますね」
「あたりまえだろ。いつどこで何が襲ってくるかわかんねぇ。無防備だよ、こっちは。光、ひかりっ!光をくれぃっ」
「まあまあ、落ち着いて。そのうち何か見えてきますよ。見えないものと言えば、最近、人間界ではなんとかウイルスが流行っているようですね」
「ああ。なんでも世界中で28万人近くなくなっているらしい。ま、オレの見立てじゃ、インフルと変わんないけどな。インフルによる死者のほうがはるかに多いしな。そもそも死因は血栓とか内臓疾患、老衰に近かったりするからな。でもこの、正体がわからない、治療薬がない、ワクチンがないってことが不安と恐怖を呼び込むのさ」

「日本では肺炎だけで年間10万人亡くなっているそうですね」
「おう。またこの新型コロナの恐怖とともに5Gとかワクチンによる人類家畜化計画、とかいろいろ見えない情報が飛び交ってて、なんだかよー、世界中、闇だらけだよ。あ、あんたのせいか」
「それは、人が自ら作ってしまう心の闇でしょう。こころを閉ざしてしまって、光ばかりを求めたりせず、目をしっかり開けていれば、暗闇も次第に見えてくるものです。
こんな話があります。ある時、村の娘が海に身を投げたために、漁師たちは真っ暗な夜の中をたいまつをかかげて、必死になって捜索したそうです。しかし、その船の周りは本当に真っ暗で何も見えません。するとその首領が、皆に向かって叫びました。「たいまつを消せっ!」と。皆は訝しく思いながら、たいまつの火を一斉に消しました。するとどうでしょう。それまで漆黒の闇だった海が、月明かりにはっきりと浮かんできたのです。娘はそうして無事助けられたそうです」

「ふーむ。闇を観るなら、光を消せってか。そうだな。だいたい世の中が暗くなると、誰かが決まって必ず、たいまつを持ち出して、人を導こうとするよな。んで恐怖に囚われていた人間は、そいつについて行ってしまう。恐怖ってのは本当にマインドコントロールの材料としてはうってつけだな」
「そうですね。たいまつの光に惑わせられることなく、まずはその闇を自分の目でこころでしっかりと観ることが大切ですね。例えそのたいまつの明かりがとても魅力的だとしても」
「そうだな。いいこと言うじゃないか。闇さんよ。人間は愛とか希望とか平和って言葉が大好きだからな。ついそっちに引き寄せられちまう。でも本当はそれらは導かれるものではなく、自分の内に見出すものだよな」

「そのとおりです。闇に不安や恐怖を覚えたものは、光を求めるだけでなく、さらなる闇を探して、今ある闇はその別の闇のせいだと訴えることもあります。その場合もその闇が本当に何も見えない闇なのか、しっかりと目を開いて見てほしいものです。それを拒否するだけでは、本当の実態が見えてきません。愛や光や平和に敵対するもの、という固定観念や先入観によって、見えるはずの闇が見えなくなってしまうのです」
「うむ。5GとかAIとかワクチンとか。見えない恐怖にみな目を閉ざしはじめてきているからな。その実態から目を背けて、人類は新しい世界へ覚醒するとか、愛に目覚めるとか言ってても仕方ないからな。実際、新型コロナの自粛によって人々は家にこもったせいで、今までいなかったイルカが海に戻ってきたとか、ベネチアがきれいになった、空気が澄んできれいになっただとか言われているけど、そればかりを見て、人類の科学的発展を否定し、自然回帰みたいなものを提唱するのはちょっとおかしいね。これから先ずーっと家にこもってばかりいられないことはわかっているのにさ。原始回帰。それがただのあかちゃん帰り、ではしょうがない」

「私には人間の社会のことはよくわかりませんが、ひとつだけ言えることは、人は闇を恐れてばかりいては、進歩しないということです。闇をみつめ、闇の中で耳を澄まし、自然の大いなる流れを感じ、自分の内にある光、愛といったものに気づく。そのきっかけにはなったんじゃないでしょうか」
「ふむ。それはバーチャルじゃない本当の光、愛だな。あ、だんだん目が慣れてきたようだよ、オレ。それに、なんだか怖くなくなってきた」
「いいことですね。耳を澄ましてみてください。私の声ばかりではないものが聴こえてくると思いますよ」

「・・・あ、なんだろう。この懐かしい音は。なんだか、安らぐなあ。ほっとする」
「わたし、『闇』は門に音、と書きます。本当の音への入り口ということです。心で聴く音です。さあ、あなたは今、闇に閉ざされて、真っ暗な中にいるでしょうか?」
「ああ聴こえる。おれの心の声が。そして世界に生きているありとあらゆるいのちの声が。ああ。あかるい。あかるいよっ」

夢から覚めると、すでに闇は消えていました。とさ

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