見出し画像

直感を信じない採用。採用だけを信じない採用。

採用活動をしていると「最後は、直感を信じよう」という言葉を聞きます。私も良く使ってきました。しかしながら、最近の私は「直感ほどあてにならないものはない」と思うことも増えました笑。

この「直感」はやはり大事なものであり、この「直感」の背景には、多くの場合「経験」が存在しており、もう少しその経験をかみ砕くと、何かを見て、判断して、行動して、結果を見て、何らかの気持ちを味わう、という一連のプロセスを複数回繰り返したことによる自分の判断材料のようなイメージを持っています。これは今目の前にある仕事云々ではなくて、おそらく人類が過酷な自然環境の中で生き延びるために養ってきた力なのではないかな、と思っています。

しかし、採用という仕事においては、直感を頼りにするのはいささか危険な気がします。

こんなことがありました。

  • 直感的に「?」と思った方を総合的判断で採用してしまって、入社してしばらくして、その通りの(悪い)ことが起こって退職してしまった。

  • 第一印象とコミュニケーション能力の高さなどから「直感的に良い」と思った方がリファレンス取ってみたら散々だった。

直感が成功したり、失敗したり。

だからこそ、インタビューでの確認項目を工夫・整理したり、トレーニングしたり、面接だけではなくて適性検査やリファレンスチェックを活用したり。採用業務にあたる誰しもが頑張っています。

最近は「人が人を見る限界」についてよく考えます。
そして「謙虚になろう」と心がけています。

(バイアスとの旅からは逃れられない)人が人を正しく評価するには限界がある。適性検査の結果と入社後の活躍の相関関係を示すデータは世に中にあると思いますが、面接結果とそれを示す納得性の高いデータは果たしてあるのでしょうか。ケーススタディの結果との相関関係は導き出せるかもしれませんが、いわゆる「面接」との関係性はとても難しい気がします。

だからこそ、謙虚になって、直感やバイアスを消し去る努力をするしかないのかな。と心に留めるようになりました。Fact Based Hiring。面接の「うまさ」ではなくて、事実何をやってきたのか、に焦点を当てる。転職履歴、具体的にやってきたことの事実、結果、適性検査、リファレンス、いずれもFactを大事にする。

もう一つ、より大事なこと。

採用した方を「どんな器」が迎えるのか。

器:会社のカルチャー、上司や同僚、マネジメントシステムなどを意図しています。

面接やリファレンスを進めると時折「あの人癖強いよね」というコメントを聞きます。しかし、その癖ある方が確実にパフォームしている環境が存在します。癖を吸収してしまう環境。それはフィット感の問題ではなく、器の問題なんじゃないか、と考えています。

私は採用の仕事の前に、OnBoardingやEnablementの仕事をやっていました。入社された方がどうしたら組織で活躍できるかを考えていく仕事です。それ故、採用・育成をいったり来たりして考える癖がつきました。

しかし、「育成の仕事」をしていると、うまく行かなかった時に、「いやいやそもそも採用がさー」というコメントも良く聞きます。それも正しいでしょう。

人材に関する問題が起こった時に、どこに問題があったかを特定することはとても重要ですが、一番やってはいけないのは「採用だけ」「育成だけ」「組織風土だけ(マネジメント含む)」で切り分けて考えることかなと思います。木を見て森を見ず。時折、社員のエンゲージメントを高めるには?という相談と共に、社内のイベント企画しています、というお話を伺うことがありますが、社員のエンゲージメントが高い状態とは、会社と社員の成長が=である。会社の成長を社員が喜べる状態にある、ことだと思っており、個別の議論で解決できることはとても限定的です。

採用・育成・組織風土、これらをつなげて考えることで、「器」が大きくなっていって、一層ダイバースされて、多くの方が活躍できる、採用ミスマッチが少ない組織になるんだろうな、と思っています。


この記事が参加している募集

人事の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?