【続・感染症後の世界】ニューノーマル時代に大変革を迎える分野#5 AIとの共同【焦る】
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
記事を書きながらものすごい焦燥に駆られています。自分の仕事の仕方、コミュニティー運営の仕方は極めて前世紀的です。何とかしないと。
超有名オライリーメディアの創業者ティム・オライリー氏が、感染症後の世界で必要なテクノロジーについて書いた本、「21 Technologies for the 21st Century」の第二部、「New Normal」についてまとめています。
7. 私たちが知っているようなオフィスの終わり
8. クラウドコンピューティング
9. アジャイル、スケーラブル、レジリエンスの高いデジタルインフラと運用
10. 働く人としてのAIとアルゴリズム
11. 市場の調整
12. センサーとモノのインターネット
13. ロジスティクス
前回の記事は以下。
今回は「働く人としてのAIとアルゴリズム」についてです。
10. 働く人としてのAIとアルゴリズム
AIに関しては多くのニュースを見ると思います。気になるのが、AIにより自分の仕事は無くなるのか?という点ではないかと思います。
以前書いた記事で、AIと協力して仕事をする可能性について書きました。
オライリー氏も「注目すべき最も重要なトレンドは、人間と機械の間の新しい種類のパートナーシップの発展である」と書いています。いわゆるGAFAのオンラインサイトでは、アルゴリズムシステムが仕事の多くをしていますが、これらのシステムは人間と機械のハイブリッドです。
この人間と機械のハイブリッド化は、多くのレベルで同時に起こっている。例えばグーグル検索。ユーザーが検索結果をクリックするたびに、アルゴリズムがユーザーの好みを理解するのに役立つデータを提供している。
そう、我々が認識していないところで、機械と共同で働いています。
グーグルのプログラマーは、自社のソフトウェアロボットの作成者だけでなく、その管理者でもある。ロボットのパフォーマンスを検査し、パフォーマンスを向上させることができると判断した場合には、ソフトウェアのアップデートという形でフィードバックを与え、新しい、より良いロボットが開発された場合には、以前のロボットを解雇する。
今後、人間と機械が労働者として共存するにつれ、ソフトウェアワーカー(AIのことと思ってください)を管理するための技術、原則を身に着ける必要が出てきます。仕事に対する認識を改めなければいけません。
プログラマーはソフトウェアを作っている労働者なのか、それともソフトウェアワーカー(AI)を監督している管理者なのか?両方だ。
さて、このことに気付いてAIを導入している企業と、20世紀型のワークフローを使用している企業との間には、大きな違いがある、とオライリー氏は書いています。アマゾンの例が出てきます。
物理的な書店とアマゾンを比較してみよう。
物理的な書店では、顧客は店員に「どこで何を見つけたらいいのか」「おすすめの商品を教えてほしい」と尋ねる。良い本屋と悪い本屋の違いは、本を買う人の好みと、お勧めをしたり、どこに何が棚に並んでいるかを知っている店員の知識にある。お客さんが欲しいものを選んだら、店員さんがお金を受け取り、本を梱包する。地元の小さな書店のウェブサイトは、これとほぼ同じだ。
一方、Amazonでは、すべての本を在庫として持つことが目標だ。ロボット店員(検索エンジン)が、何が在庫にあるかを伝え、顧客をその場に連れて行く。別のロボット店員がお勧めの商品を紹介する。別のロボット店員が顧客のお金を受け取り、倉庫(コンベヤベルトと梱包ステーション、ロボットと人間の両方が在庫を移動するソフトウェア制御システム全体で構成)に指示を出し、配送サービスへと送り、パッケージは分単位で追跡される。
オンライン小売業者を効果的に管理するために必要なスキルは、実店舗の小売業者に求められるスキルとは全く異なる。
すごくわかりやすい話ですね。実店舗の運営のやり方とよくあるウェブサイト経由を使った運営のやり方はほとんど同じですが、AIをフル活用すると全く異なる運営のやり方が必要になります。
20世紀の企業では、管理者はデータを収集、分析し、意思決定を行う。
21世紀の企業では、プログラマーやAIモデルの開発者が、日々の意思決定や日々の業務を行っているシステムを理解し、デバッグするための手段として、データを収集・分析する。
システム自体は、ユーザーからの要求に自動的に反応し、他のプログラムや機械のどちらかが実行する可能性のある業務プロセスをトリガーにして、自律的に動いている。
「自律的」が大事なキーワードです。自律神経系、とオライリー氏は呼んでいます。自律神経系は、我々の知性と制御から独立して動作するシステムで、何かがうまくいっていないように見えるときにのみ介入することを前提としています。AIシステムは自律神経系です。
昔ながらの新聞とグーグルを比べてみよう。新聞社では、編集者や記者がどのような記事を書くか、何を特集するかを選ぶ。
グーグルでは、利用可能なものはすべて一掃することが目標であり、何を特集するかの選択は、ユーザーからのフィードバックに無意識のうちに反応するアルゴリズムによって自動的に行われている。
今、とても焦っています。自分の仕事の仕方が前近代的すぎる。
上記の例での勘違いが、よくあるそうです。
わかっていない人はグーグルの管理者が、何を取り上げて何を抑制するかを決定していると考えている。そうではなく、グーグルは、何が結果の最初のページやフィードのトップに表示され、何が下に押し下げられるかを決定するシステムを構築しているのだ。何のために最適化するかの目標をシステムに与え、システム自身が決定を下すのだ。
進化生物学の言葉で言えば、システムに「選択の対象」を与え、進化の力が、システムにその対象の方向につながる選択をさせる。
グーグルの場合、そのターゲットはもともと「ユーザーがクリックして満足して去っていく結果」と定義されていた。
フェイスブックの場合は、元々は "ユーザーが最も夢中になっている時間を過ごすであろう投稿や友達 "というようなものとして定義されていた。
そして、グーグル・フェイスブックは、アルゴリズムが自分たちの想定と違う結果を出した時に、自分たちのシステムがなぜそのようなことをしているのかを理解し、別のことをするように教えていくのです。
従来のプログラミングでは、ソフトウェア開発者が機械に明示的な指示を与えていたが、AIではシステム自体が訓練されるのです。
「現在では、デジタルメディア企業や金融業界が、このアルゴリズムワーカー革命の最前線だが、今後はあらゆる業界で成功の鍵となるレバーになりつつある。」とオライリー氏は述べています。
咀嚼できていない部分が多いですが、まずはコミュニティーのAI運営をしてみます。
少し技術的ですが、以下の本がおススメ。
Aurélien Géron 『Hands On Machine Learning with Sciki-Learn, Keras, and Tensorflow』
明日は「11. 市場の調整」について書きます。
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