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【最終・感染症後の世界】未来をノックする#4 今後必須、材料工学

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

超有名オライリーメディアの創業者ティム・オライリー氏が、感染症後の世界で必要なテクノロジーについて書いた本、「21 Technologies for the 21st Century」第三部、「The Future Is Knocking」についてまとめています。

14. 物理的なものの(再)デザイン
15. ビジネスモデルの革新
16. 材料科学
17. プロセス制御
18. 生命科学
19. 規制・規制市場との関わり
20. より長い時間軸
21. 多様性

前回、前々回の記事でも書きましたが、今後新しいタイプのビジネスが出てくるとしたら、エネルギー関連分野。人類全体が解決に向かう必要があるテーマだからです。「全人類で」というのがテーマです。

そこで、大事なテクノロジーが、今回紹介する材料工学です。

16. 材料科学
材料科学は、Wikipediaによると以下の定義です。

材料工学は、工学の一分野であり、物理学、化学等の知識を融合して新しい材料(素材)やデバイスの設計と開発、そして評価をおこなう学問である。

オライリー氏が取り上げている本、『The Alchemy of Us: How Humans and Matter Transformed One Another』(英語)によると、「材料工学は原子がどのように相互作用するかの研究である」。

私たちが床から落ちないのは、セーターが青いのは、照明が動くのは、原子同士がどのように相互作用しているからです。原子がどのように作用するのかを知ることができれば、原子の作用を変えて新しいことをさせることもできるのです。

まさに、錬金術(AIchemy)ですね。材料工学関連で検索すると様々なニュースが出てきます。

材料科学を追いかけていると、「研究者がコロナウイルスを殺すことができるエアフィルターを作成」、「『グラフェンアーマー』で太陽電池の性能を向上」、「世界で最も軽い電磁波シールド材料」などの記事で埋め尽くされている。これらはすべて材料科学の話である。より安価な電気自動車や長持ちする携帯電話に必要な電池技術の進歩、軍用機のステルスコーティング、新種の接着剤についての話も同様だ。量子コンピューティング、農業、ファッション、ヘルスケア、食品の進歩も、一部は新素材に依存している。
材料科学は、イノベーションの基本的な基盤の一つだ。無視するのは危険である。

ニュースではよく見ますが、どこが抑えるべきポイントかを把握する必要がありそうです。
特に農業がわかりやすいため、オライリー氏は農業の話を詳しく議論しています。

Plentyという、"管理された環境で農業を営む会社 "がある。彼らは農業技術を売っているわけではない。彼らの製品は、レタス、ケール、ルッコラ、その他の葉物野菜で、垂直農園で育てられ、ロボットによって収穫され、スーパーで売られている。彼らは農業を一から考え直し、バスケットボールコートほどの大きさの垂直農園で食料を育てている。ここでは、PlentyCEOとの会話の中から、いくつかの豆知識を紹介しよう。

垂直農園、というのは聞きなれない言葉ですが、垂直統合モデルを使った農業のことだと思います。垂直統合モデル、水平統合モデルに関しては、以下の記事がわかりやすいです。

では、彼らの豆知識(こういうと小さく聞こえますが、、、)とは?

"我々は人々がいる場所の近くに農場を置く農業ユーティリティーを構築している"
"参入障壁はゼロ。通常の食料品店の価格で我々と同じことをすることは難しい"
"伝統的な農業と比べて1%の土地と5%以下の水を使用"
"世界で最も効率的な照明システムを開発した"
"葉物野菜は100%ロボットで収穫"
"遺伝子型ではなく表現型で、より美味しい製品を作っている。 私たちのアルゴリズムは、最適な光、温度、栄養素、水、ストレスを制御して、最高の味を生み出す。これが、当社の再購入率が業界よりもはるかに高い理由"

オライリー氏が言うには、特に大事なのは最後の発言です。

アルゴリズムの最適化はシリコンバレーでのデジタルの領域の手法そのもので人々に愛される製品を作る方法を、テストの繰り返しとアルゴリズムの再現性によって、生産に応用しているのだ。

テストの繰り返しというのは通常の農業でもやられている気がしますが、それをアルゴリズム化して再現性をもたらしたことが大きいのでしょうか。オライリー氏が以下のようにまとめています。

天候や景観の変化に頼るのではなく、すべての変数をコントロールできる環境を作り、何が最高の製品を生み出すのかが分かるまでテストし、厳密にコントロールして効率的で再現性のあるプロセスを作り、全く同じ結果を得ることができるようにするのだ。

以前記事で取り上げた、DevOps等のスキルを、農業のような「物理的な領域」に活用することにより、新たな分野が生まれていきます。

他の分野での可能性を調べていきます。

次回は、「プロセス制御」について

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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