【最終・感染症後の世界】未来をノックする#6 激熱分野 生命科学
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
超有名オライリーメディアの創業者ティム・オライリー氏が、感染症後の世界で必要なテクノロジーについて書いた本、「21 Technologies for the 21st Century」第三部、「The Future Is Knocking」についてまとめています。前回のプロセス制御はうまく噛み砕けておりません。失礼しました。。。
ただ、DevOpsなどIT業界で培われてきた手法が、オライリー氏のいう「物理的な業界」で活用され始めており、再現性を可能にしているということはわかりました。
14. 物理的なものの(再)デザイン
15. ビジネスモデルの革新
16. 材料科学
17. プロセス制御
18. 生命科学
19. 規制・規制市場との関わり
20. より長い時間軸
21. 多様性
前回、前々回で、全てが制御可能なパラメータで行われる農業について記載しましたが、今回は生命科学でもそれが可能という話です。
18. "生命科学"
物理学専攻の私としては馴染み深いフリーマン・ダイソンさんの2000年の講演から始まります。
私たちの歴史の中で、私たちはテクノロジーによって世界を変えてきた。私たちの技術には、グリーンとグレーの2種類がある。
グリーンの技術とは、種子や植物、庭やブドウ畑や果樹園、家畜化された馬や牛や豚、牛乳やチーズ、革やウールなどだ。
グレーの技術とは、青銅と鋼、槍と銃、石炭と石油と電気、自動車と飛行機とロケット、電話とコンピュータである。
文明は、1万年前に農業と動物飼育のグリーンテクノロジーから始まった。その後、約3000年前から、鉱業、冶金、機械などのグレーの技術が支配的になりました。この500年の間、灰色の技術は先を行っており、都市や工場、スーパーマーケットなどの近代世界を生み出してきました。
この区分は、納得する部分多いです。そして、「グレーテクノロジーの優位性は今、終焉を迎えようとしている」そうです。
20世紀に見られたことは、生物学的プロセスをより深く理解し、それを理解した上で、生物学的プロセスを利用し、制御することが可能になったことのほんの始まりに過ぎない。
この分野を「生命科学」と呼びます。
遺伝子工学から神経科学、創薬などあらゆる分野を含めて広い網を張り、21世紀の生物学的革命は、もはや試験管の中で起こるのではなく、シリコンシミュレーション、膨大なデータのクランチング、そして生物学的プロセスをモニターして操作するために使用されるロボット装置の中で起こっていることを観察すべきなのかもしれない。ダイソンのグリーンテクノロジーとグレーテクノロジーの融合こそが、今世紀の最も重要な技術革新を生み出す可能性があるのだ。
前々回の材料工学とも相まって、物凄いことが起こっています。記憶に新しいのは、ノーベル賞を取ったクリスパーです。
この生命科学分野で求められるスキルは多岐に渡ります。あまりに多いため、この著書では割愛されていますが、「科学的手法と科学研究コミュニティとの関わり、生物学、遺伝学、薬理学、化学、物理学」などです。ほんと多彩。この分野に関しては、「シリコンバレーで培ったスキルは役立ちますが、非常に優秀な技術者であっても、学校に戻る必要があるかもしれません」。例が挙げられています。
例えば、マイクロソフト社時代にInternet Explorerの生みの親であるトーマス・リアドン氏は、神経科学の博士号を取得するために学校に戻り、最近フェイスブック社に買収された神経インターフェースの会社CTRL-Labsを設立した。
「伝統的なシリコンバレーのベンチャーキャピタリストの多くは、この世界でどうやって勝負したらいいのかわからない」そうです。
そういった意味で、チャンスが大きい業界ですね。勉強してみよう。
以下で、生命科学における科学研究、ハッキング、起業家精神の間で活躍する人々の一部を紹介されています。
・The Rogue Experimenters
・Chan Zuckerberg Biohub Has Weapon in Covid-19 War
・Some scientists are taking a DIY coronavirus vaccine
・Biohacking Lite
・Revive & Restore | Genetic Rescue to Enhance Biodiversity
ワクワクします。自分が参入可能な部分を見極めます。
オライリーメディアはさすがで、2000年代初頭には、ネイチャー社と共同でバイオインフォマティクスの会議を開催しています。以下お勧めの本です。
『Deep Learning for the Life Sciences』 by Bharath Ramsundar, Peter Eastman, Patrick Walters, and Vijay Pande
ゲノミクス、化学、生物物理学、顕微鏡、医学分析などにディープラーニングを利用する方法について。
『Genomics in the Cloud』 by Geraldine A. Van der Auwera and Brian D. O’Connor
ゲノム解析ツールキット(GATK)、Docker、WDL、Terraなどのオープンソースツールを使用して、ゲノミクスアルゴリズムを操作する方法について。
『AI-First Healthcare』 by Kerrie L. Holley and Siupo Becker
レベル高。テクノロジーそのものから、ヘルスケアという垂直的な市場領域への進行について。
垂直市場で利用可能なプラットフォームコンテンツの詳細については、オライリーのヘルステックのリソースセンター。
めちゃ熱い!!
ライフサイエンス分野のスタートアップに必要なのは、インターネットやスマートフォンなどの消費者革命で必要とされるものとは大きく異なる、深い垂直市場の専門知識だけでなく、シリコンバレーや現在の世代のテクノロジー企業ではほとんど無視されてきた3つのスキルも必要とされている。
あれ?3つのスキルて?再度読み直さないとです。
明日は「規制・規制市場との関わり」に関してです。
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