【AIと企業戦略】コストリーダーシップ戦略を取るために。とにかく自動化。『ダブルハーベスト』CHAPTER3#3
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
いよいよAIの実装に向けて動いていきましょう。最適な本、『ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』を見ていきます。
是非ご購入ください!!
目次は以下です。
【Prologue】勝敗を分ける「何重にも稼ぐ仕組み」──ハーベストループとは何か?
【Chapter 1】AIと人とのコラボレーション──ヒューマン・イン・ザ・ループ
【Chapter 2】AIで何を実現するかを見極める──戦略デザイン構築のための基盤づくり
【Chapter 3】戦略基盤を競争優位に変換する──戦略デザインとしてのAI
【Chapter 4】データを収穫するループをつくる──ハーベストループでAIを育てる
【Chapter 5】多重ループを回して圧勝する──ダブルハーベストこそ最強の戦略
【Chapter 6】ハーベストストーリーを実装する──AIプロジェクトマネジメントの考え方
【Epilogue】地球をやさしく包む「最後のループ」──SDGsとハーベストループ
いよいよCHAPTER3!昨日の記事は以下です。
■【Chapter 3】戦略基盤を競争優位に変換する──戦略デザインとしてのAI
昨日より、まずは一回目勝つためにはどうすればよいかを見ています。AIによりもたらされる最終価値を競争優位に変換する必要があります。
最終価値 競争優位
①売上増大 → 広告市場の独占。急成長の原動力(それによりシェア拡大)
②コスト削減 → コストリーダーシップ戦略。マイクロプロダクト化
③リスク/損失予測 → サブスクリプションモデル。フィンテックモデル。
④UX向上 → マーケット内の最高のUX。カスタマーサクセス上の圧倒的な勝利
さて、①を昨日見ました。ユニットエコノミクスがキーワードでした。ここをもう少し深堀りされています。
・「客単価のリアルタイム最適化」が急成長の原動力に
ユニットエコノミクスは定額課金のサブスクリプションモデルと相性が良いそうです。定額でお金が入るので、予測がしやすいです。
LTVが上がり、カスタマーサポとなどの施策によって解約率を抑えることができれば、広告市場を独占できるだけでなく、他社に対して強気に出られる。典型的な例がインド初のホテルチェーン、OYOである。
本書にもあるように、OYOは他の点で失敗しましたが、LTVの観点から見るとすごいビジネスモデルです。ホテルは、予約状況に合わせて宿泊料を上下させ、空室率をいかに下げるかがカギです。満室だと単価を上げることが可能で、部屋数×単価をどれだけ上げられるかが大事です。
OYOは、参加のホテルの客室単価をリアルタイムで最適化できるので、他のホテルよりも収益力が高い。その結果、他では躊躇してしまうような物件でも、どんどん買うことが出来る。
AIにより売上を増大させて資金力をつけて、どんどん物件を買う。さらに、需要予測精度が上がると、最終価値③のリスク/損失予測により、物件を買うかどうかの検討もすぐにできます。①と③のかけ合わせで、一気に駆け上がった感じですね。
本書によると、ホテルを大量に買い入れた後の現場のオペレーションの品質が追い付かずに、ブームが沈静化してしまいました。
次は②のコスト削減を見ていきます。
・価格破壊で圧倒的な優位を築く
これはわかりやすいかもしれません。無駄なコストが削減できると、コストリーダーシップ戦略が取れます。
例えば特許調査。依頼を受けて、他社よりも10倍以上早くできるAIが開発できれば、調査コストが10分の1になり、他社サービスの5分の1で売っても、利益が2倍となります。
コストの下げ幅が大きいほど、価格破壊の衝撃は大きくなる。せっかくAIを使うのだから、1割、2割削減を目指すよりも、10分の1以上を目指すと競争優位を築けることになる。
・小型化して市場の拡大を目指す
②に関して、もう一つは、マイクロプロダクト化という戦略もあるそうです。マイクロレンディングとか、イメージ湧くかと思います。
例えば銀行。お金を貸す際に、本人確認が必要です。そこにコストがかかるため、数百円とかは貸しません。ここにAIを使って本人確認等を自動化すれば、少額のお金を貸しても採算が取れます。そうすると、ターゲット層が広がります。
象徴的な例が、レモネードだ。同社はチャットボットを導入して保険加入手続きを自動化・簡略化した結果、月5ドルからのレンタル保険という極めて安価な保険商品を提供できるようになった。
これ、結構衝撃的のようです。PC、カメラ、ヘッドフォンなどの少額のモノに保険かけるのは難しく、メーカーの保証期限が過ぎたら、修理代は実費負担ですよね?これに保険が掛けられるわけです。
オペレーションの効率が上がり、コストが下がると、商品やサービスをマイクロ化しても採算がとれるようになる。結果として、それまでターゲットでなかった層まで市場が広がる。マイクロレンディングやP2Pレンディングと呼ばれる世界がまさにそれで、アジアやアフリカをはじめ、銀行口座をもたない人たちがたくさんいる地域では爆発的に広がっている。
この小型化は、金融商品以外にも応用可能です。
会社の業務には1人月にも満たないような、細かいタスクがたくさんある。例えば、議事録の作成が自動でできるようになれば、AIに任せることが出来る。あらゆる会社の議事録作成を束ねれば、巨大な市場が出来上がるだろう。
このように、マイクロプロダクト化して、まだ一般に自動化されていない領域に入ると、ループ構造を作るときに役に立ちます。
自分のタスクを細かく区切ってみましょう!
草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/