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【オライリー氏からの助言】ようこそ21世紀へ#10 堅牢(robust)な戦略の展開

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

オライリー氏のレポート、『Welcome to the 21st century』をまとめています。目次は以下です。

・概要
・二度と戻ってこないものは何か
・今、完全に予想外のことが起こるかもしれない?
・未来からのニュース
・堅牢な戦略の展開
・堅牢ではないもの

前回、前々回、未来のシナリオ、具体的には、感染症そのものがどうなるか、その影響がどうなるかを描いていきました。

シナリオを描いた上で、どのように戦略を展開すればよいでしょうか?

■堅牢な戦略の開発
始めに、戦略とは何か?に関して、チェスマスターの名言が引用されています。

戦術とは、やるべきことがあるときにやることであり、戦略とは、やるべきことが何もないときにやることである。
ポーランドのチェスマスター、サヴィエリー・タルタカワー

やるべきことが何もないときにやること、とは何でしょうか?オライリー氏の考え方を見ていきます。

そもそも、シナリオ・プランニングは様々な可能性を考慮して将来予測することですが、我々はその将来に対して堅牢な戦略を築く必要があります。

シナリオ・プランニングの中で私が好きなアイデアの一つは、あなたが探しているものは「堅牢(robust)な戦略」であり、様々な可能性のある結果に対してよく持ちこたえてくれるものだということだ。将来はシナリオのどれか一つとも一致しない可能性が高いことを考えると、あなたの目標は、どのような結果になったとしても最善の状態になるように、今、どのような行動をとるかを決めることだ。

これは大事です。様々な可能性の将来予測するとはいえ、最終的には全て外れる可能性があります。どのような結果であれ、最善になるように行動する。
ここでテーマは、堅牢、robust、の意味です。

ある方は私に、「現在の環境は、『ロバスト』は確かに柔軟性、適応性、学習への偏りなどを意味しますが、『レジリエンス』も意味します」とコメントした。

ロバストの意味は以下。

ある系が応力や環境の変化といった外乱の影響によって変化することを阻止する内的な仕組み、または性質

レジリエンスの意味は以下。

弾力。復元力。また、病気などからの回復力。強靱さ。

ロバストは変化を強固に阻止することですが、レジリエンスは変化に対して柔軟に変化するイメージです。

シナリオワークの意味合いの中でも最も実行に移すのが難しいのは、いくつかの効率性を犠牲にして、未来のいずれかにでも対応するための余裕を作る必要があるということである。

柔軟性がテーマです。自分が持っているリソースにも限りがありますし、時間軸によっては戦略が大きく変わります。

堅牢な戦略とは、自分のリソースと時間軸を考慮に入れなければならない。
例えば、私は最近、ビッグデータ分野のあるソフトウェア起業家と話をした。
彼のCOVID以前の目標は、会社の収益のうち、サービスよりもソフトウェア・ライセンスからの収益の割合を大きくすることだった。しかし、将来的には利益のない急速な成長を好むVCからの資金調達が継続的に可能になるか不透明であるため、キャッシュフローと利益を提供するサービスの割合を高くすることが、今のところはより強固なビジネスになる可能性があると彼は結論づけていた。

予測のつかない未来のことを考えると、キャッシュフローに注目した戦略を立てる必要があるみたいです。

私自身の長年の戦略的バイアスの一つは、時間が敵ではなく味方である市場を選択することだ。
オライリーの取締役でもあるビル・ジェインウェイが言っていたように、「企業の幸せはプラスのキャッシュフローである」。
オライリーでは、勝ち組市場で1位や2位になることで得られる株式市場の評価を得るために、利益のない成長を電撃的に行うのではなく、うさぎではなく亀を見習って、収益と顧客からのキャッシュフローで事業を確実かつ着実に成長させることを選択してきた。

いわゆるキャッシュフロー経営です。Amazonがキャッシュフローに重きを置いていることは有名かと思います。

以前の記事にも書いた、オライリー・アルファテック・ベンチャーズも同じ戦略です。indie.vcというプロジェクトは、高成長や迅速な撤退に賭けるのではなく、収益性の高い、キャッシュを生み出すビジネスに焦点を当てています。

もしあなたがスタートアップ企業にいて、バリュエーションが暴落し、レイオフがドットコム・バストのレベルに達するというシナリオを考えていないのであれば、あなたは十分に大胆に考えていないことになる。
多くの将来のシナリオでは、買収やエグジットに依存した収益のないベンチャー企業は、廃業するか、せいぜいアクワイア・エグジットで終わる可能性が高い。

スタートアップに対するイメージを改める必要がありそうです。

では強固な戦略とは?

真の問題を解決し、あなたが提供するものを必要としている顧客に真の価値を提供することは、強固なことだ。
新たな課題に柔軟かつ迅速に対応するための知識、スキル、マインドセットを自分自身と従業員に身につけさせることは、強固なものとなる。
今までのやり方では通用しなくなったことからピボットして、新たな機会に全力で取り組む方法を知っていることが強固である。
大きな目標を達成するために、新しい仲間を見つけ、協力していくことは、勝ち負けの競争よりも強固なものになる。

未来のシナリオを描き、
真に価値のあるものを提供すること、常に学習を続けること、ピポットのタイミングを知り新たな機会に全力で取り組むこと、仲間と協力すること、
が強固な戦略となりそうです。

明日は、「堅牢ではないもの」について書きます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/



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