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「空間デザイン」ってなんなん?

以前に空間デザインに関わる人の「肩書き」がたくさんある、というnoteを書きました。

そんな話題を、ご縁があって時折お話しする機会のある、建築設計者のための求人サイト「A-worker」の運営の方としていたところ、先方が定期的に開催しているA-talkという音声配信イベントでその話しませんか?という流れになり、参加してきました。

今日はそのイベントの録音データをいただけたので、ここで公開したいと思います。(音声データは記事最後にありますので、そこだけ興味のある方は目次から「音声データ」へ飛んでください)

まずは話の大筋を簡単に書いておきますので、読んでいただいてからお聞きいただけるとわかり易くなるかと思います。

「空間」とは何か。

辞典を引くと「モノがなく空いているところ」「上下・四方の広がり」とあります。
また、哲学的には「時間とともに世界を成立せる基本形式」とも。
ここから解釈すると、空間をデザインすることとは、例えば道路に電柱をどのように配置するのか?を考えることも含まれることになります。

しかし、今話題にしようとしているのは、「空間デザイン」という言葉が、一般的にどういった仕事として捉えられているのか、ということなので空間の概念についての話は一旦は傍に置いておきます。

空間デザインという言葉はいつ頃から使われているのか。

トークに参加するにあたり、手ぶらでおしゃべりを始めるわけにはいかないので、手始めに「空間デザイン」という言葉がいつ頃生まれたのかを調べることにしてみました。
といいつつ、イベントまでの時間制限を言い訳に、しっかりとした調査をしたわけではないことを保険にさせてください。

言葉の出自について、昔のことを調べるには書籍に頼るしかないので、書籍のタイトル検索をして調べました。
図書館で司書の方に相談し、膨大な蔵書の中からレファレンスしたわけではないので、おそらくもっと関連書籍はあるでしょう。
その小さな調査範囲でわかったことは、1970年代以降に、主に商業空間のデザインを指して「空間デザイン」という言葉を使った書籍が多くみられたということです。

この背景には「見世」として職住一体の建築が大半を締めていた時代から、テナントビルやショッピングモールのようなビルティングタイプが生まれ、スケルトンとインフィルを別々に扱うことが増えたことが一因ではないかと思います。

建物内に入れ子になった、内部であるのに外皮も持つ空間が存在する。
この空間はそれまでに使われていたインテリアデザインの概念のみでは設計が完了しない。それではこれは何のデザインというべきか?

新しい言葉で表現する必要があり、そこに「空間デザイン」という言葉を当てたのではないかという推測です。この辺りのことはもっと掘り下げて調べると面白そうなので、折を見てやりたいと思います。

「空間デザイン学科」はいつから存在する?

  • 70年代から「空間デザイン」という言葉が使われていて、それに従事するデザイナーがいたことは分かりましたが、1978年生まれの自分からすると、学生時代(1990年代後半~2000年代前半)にはその言葉はまだ一般的でなかったように思います。そこで、書籍の次は大学の学科の名称に着目してみました。

    現在は存在する「空間デザイン学科」ですが、いつからその名称で存在していたのか。関西限定ですが数校調べてみました。

  • 大阪工業大学空間デザイン学科 創設2006年

  • 修成建設専門学校 空間デザイン学科 創設2004年

  • 大阪電気通信大学 空間デザイン学科 創設2024年予定

他にも大阪芸術大学や京都芸術大学にも「空間デザイン」と名のつく学科がありますが、ウェブ検索では創設時期に調べ当らず。どなたかご存知でしたら教えてください。

私は大阪工業大学の出身ですが、在籍時期には空間デザイン学科はなく、建築学科を卒業しました。
その大阪工業大学が博士課程を2010年に増設したことや、電気通信大学のように、これから先にも新たに学科を創設する学校があることから、「空間デザイン」というジャンルが専門的に学ぶものであると、社会的に認識がされたと考えて良いのではないでしょうか。
つまり、まず実務として「空間デザイン」と名のつく仕事が増え始め、認知度が高まり従事する人が増えてきたので、それを専門に学ぶ学科ができた、という順序になります。

空間デザイナーの仕事

トークの主催者のA-workerさんから「空間デザインと建築の違いはなんですか?」という質問がありました。

ここで冒頭の話に戻ります。

「空間」は「モノがなく空いているところ」ですから、空間デザインとはあらゆる空間をデザインすることです。
なので「空間デザイン」そのものがあるのではなく、空間デザインの中に、「建築」や「インテリア」「プロダクト」などのジャンルがあるということになります。

ですから「空間デザイナー」と名乗る人は、一つのジャンルを100%の密度で手がけるというより、色々なジャンルを横断していると理解するのがわかりやすいと思います。

それでも「空間デザイナー」がわかりにくいのは、ではどのジャンルをどれくらいの比率で手がけているのか?ということが見えにくいからだと思います。この比率については、当然「人それぞれ」であるので、詳しく知りたいという場合は本人に直接話を聞くほかないのかもしれません。


という感じの話をイベント内ではしています。

「大枠を書く」といいつつ、この長さではほとんど内容書いてしまっているのでは?と思われるかもしれませんが、音声聞き直してみると、話題は枝葉のように広がっていたので、まだ余力が残っていたら(笑)是非聞いてみてください。

音声データ

※ポッドキャストアプリで投稿し、リンクでご案内しようと思ったのですが、すぐに登録できなかったので、一旦noteの音声配信記事にしました。
別記事に飛びます。




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