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シュガースフィア
2023年3月31日 20:08
第五話「他人の空似のアップルティー」1「ケーフィーさん、ヴォルカンって呼んで、ください」「ヴォルカンさん」「ケーフィーさん………」「ヴォルカンさん、愛してますよ」「わ、私も、です、」 二人は甘ったるい、優しいキスをした。2 何故こうなったのかというと、時は3日前にさかのぼる。 今回の死人はドイツ人。ケーフィー。28歳。男性。死因は病死。 今回の死人のファイルを見た時、オレ
2023年3月27日 17:00
1「世界を滅ぼしてほしい?!?」「ああ。よろしく頼む」 素っ頓狂な願いを頼んだ相手は引きこもりの若者だった。しばらく外に出ていないらしい、髪はボサボサで部屋はゴミ屋敷。なんだか臭い匂いもして、俺は居心地が悪かった。「なんだってまた、そんなことを……」 リヴァイヴは困惑しながらソファーに座り込んだ。バフッと埃がたちのぼる。「人類は滅びるべきなんだ。自分たちのために自然を破壊し、環境を破壊
2023年3月24日 16:59
1「私の代わりにこの子親になってほしい?!」「はい。よろしくお願いします」 今回の死者はシングルファザー。つい先日、妻を病気で亡くし、幼い息子と2人きりで生活していたが、自分も数日後に事故で亡くなることになっていた。 幼い息子を1人で残していくのは心残りだと、俺たちに親になることを最期の願いに選んだ。「この子はラウと言います。まだ生まれたばかりで、私のことも認識していないでしょう。こんな
2023年3月23日 13:43
1 私は恋を知らない。生まれてこのかた、病院で暮らしている。しかも隔離病棟。親にも面会できない。お医者さんや看護師さんにも時々、マスク越しに会うだけ。真っ白な病室でいつも1人。味気ない日々を過ごすだけ。 私の世界はこれだけ。これ以上でもこれ以下でもない。 私はこのまま、この世界以外を何も知らないまま、生きていくのだろうか。 そんなある日のことだった。私の世界に2人が現れたのは。「メアリさ
2023年3月23日 10:40
設定資料集登場人物ヴォルカン178cm/65kg8/7生まれ獅子座A型一人称は俺一家の長男として生まれる。不老不死であることが判明し、気味悪がられ捨てられてしまう。それを物好きの伯爵が購入し、執事として育て上げた。礼儀やマナーはここで身についたらしい。執事として汚い仕事やきつい仕事を任され、時には暴力や性行為などもはたらかれていた。リヴァイヴとは幼馴染である。執事時代に愛する人
2023年3月22日 13:08
1「次の仕事はどこ?」 目も眩むような月明かりの夜更け。リヴァイヴはポツリと、俺に問うた。 螺鈿のような輝く髪が風に揺れる。虹彩のまわりが黒い、彼特有の赤い眼は暗闇によく生えた。真っ白なスーツからは傷だらけの首がのぞく。死に損ないの証。死にたかった数。不老不死の呪い。 —そう、俺たちは不老不死だ。「次は日本。女子中学生。1週間後。自殺ららしい」 俺はファイルのページをめくると、無機質