Ethiopian Football News (vol.8)
こんにちは、シュウです。
やっぱり子どもの笑顔には心が癒されますね!
今回は、地方での活動の話がメインになります。
お楽しみください!
2017.2.27
エチオピア滞在7ヶ月目
先日、久々にスーツケースを開けてみると、昨年まで勤務していた校長先生から頂いた色紙が出てき ました。それには「才能は 努力を継続する力である」と書いてありました。最近、自分のやっている活 動に意味があるのか、ただの自己満足ではないのかと、寝る前などに考えていました。気が付けば、あ と1カ月で今年度も終わりを迎えますが、4月になったからといって、特別に何か変わるわけでもなく、 いつもと変わらない生活や日常が待っています。でも、校長先生の言葉の通り、腐らずに続けることが 今の自分に必要なことだと感じます。今が成長するチャンスと捉えて頑張ります。 さて、今月は楽しかったエジプト旅行の話題からお届けします。
1. エジプト旅行
1月27日から8日間、任国外旅行でエジプトに行ってきました。今回は、首都カイロと紅海に面してい る港町ハルガダを観光しました。エジプトと言えば、やっぱりピラミッドということで、見にいってき ました。実際に目の当たりにしてみると想像以上にピラミッドは大きく、逆にスフィンクスは小さかっ たです。ご存知かも知れませんが、スフィンクスの視線の先にはケンタッキーがあります。タイミングよく、お腹が空いていたため、無性に食べたくなるあの味と、そこで半年ぶりの再会に感動しました。 笑
カイロ市内は近代化が進んでおり、夜なのに街がとても明るく、レストランなども夜遅くまでやって いて、夜の11時を回っても、街に活気がありました。そして、世界3大うざい国の中のひとつであるエ ジプト・・・そう言われているだけあって、買い物ではあり得ない高い値段を吹っかけてきたり、客引 きがしつこかったりするので、うざいと感じる人も多くいるのも何となく納得。また、国民の多くがイ スラム教徒なので、大きなレストランでもお酒がほとんど飲めず、街をあるく女性たちは肌を露出しな いように被り物をしていました。
3日目の夜から、ハルガダに移動して人生初のダイビングをしました。紅海は、河川の流れ込みがな いため透明度が高く、世界3大ダイビングスポットのひとつと言われています。それを聞いてテンショ ンが上がり、また紅海の綺麗さにも感動しましたが、この時期は海から上がるとめちゃくちゃ寒くて、 ダイビングは1日だけで十分でした。ハルガダは港町ということもあって、魚がたくさん捕れ、海のな いエチオピアからすると魅力の塊でした。また、その頃にCAFアフリカ選手権が行われていて、ちょう ど準決勝がパブリックビューイングされていました。エジプトは、決勝まで進みましたが、惜しくもカ メルーン代表に1-2の逆転負け。8回目のアフリカチャンピオンは、次回へとお預けとなりました。
最終日にHiltonホテルに入っている日本食レストランでも日本食を爆食い・・・日本人スタッフさん から「協力隊の方ですか?」と聞かれ、先輩隊員たちも同じように爆食いしてきたのだなと安心しました。十分に英気を養い、今後の活動も頑張れそうです。
2. グラスルーツの活動 in アルバミンチ
今月20から25日までの5日間、エチオピア南部に位置する都市アルバミンチに行きました。そこにあ るアルバミンチ大学付属小学校で、グラスルーツの活動を行いました。今回は、初日にオリエンテーシ ョンと体育の先生向けにグラスルーツに関するセミナーを実施しました。子どもたちは、オリエンテー ションが終わってから「明日、どんなこと教えてくれるの?」と目をキラキラさせていました。写真のときも素敵な笑顔、「一緒に楽しみもう!また明日!!」と握手やハグを交わしました。その後、教室 を借りてセミナーを実施。この学校には、体育担当の先生が2人いて二人とも参加してくれました。英語でのセミナー、頑張りました・・・。英語力、もっと向上させたいですね。笑
でも、二人ともサッカー経験者でありながらも、前のめりになって話を聞いてくれて、とても嬉しかったです。セミナーが終わってから「色々と教えてくれて、ありがとう」というコメントがもらえて、ホッとしました。
その日の午後、用具を借りて準備しました。しかし、さすがエチオピア・・・事前の打ち合わせでは、新しいボールを7つとマーカーコーン40個、ビブスの代わりにユニフォーム20着貸してくれるとなっていました。実際に行ってみると、ボロボロの穴の開いたボール6個、マーカーコーン30個、ユニフォームに至っては新品だったから貸さないという。自分が甘かった・・・マーカーやビブス、持って来れ ばよかったと反省しました。そのため、ビブスは諦めましたが、マーカーコーンとボールは現地にあるものを使って作ることにしました。予想以上にいい出来だったので、満足。「なんか、イメージしてい た協力隊しているな」と思いました。
1日目と2日目のサッカー教室には、3年生の38人が参加しました。学校から少し離れた芝生のグラウ ンドを使えることになり、当日の朝、向こうの方から子どもたちが手を振りながら笑顔で走って来まし た。全力疾走してきた男の子たちは、ぜーぜーいいながらも「サラムノウ!」とあいさつしてくれまし た。普段使えないグラウンド、ボールを目の当たりにして、飛び切りの笑顔・・・今回も素敵な笑顔を たくさん頂きました。サッカー教室の内容は、ウォーミングアップから始まり、まずゲーム、そして、 ドリブルとパスの練習(1日目はドリブルのみ)、最後にゲームという流れで行いました。驚くくらい 、男の子たちが巧くてびっくりしました。女の子たちも一生懸命ボールを追って走っていました。本当に、「子どもの笑顔っていいな」と改めて感じました。
3・4日目に行く前に、アルバミンチをもう少し紹介させてください。アルバミンチは、現在、観光開 発が少しずつ進められている街です。と、いうのもこの地が持っているポテンシャルの高さが半端ない です。アルバミンチという名前は、アルバ=40、ミンチ=スプリングス(水源地)ということで、40か 所も水が湧く場所があります。そのため、大きな湖があり、しかもカバやワニが生息しています。空い ている時間にカバを見に行きましたが、予想以上にたくさんいて驚きました。水源の近くには、ヒヒの 群れがいたり、イノシシがいたりとプチサファリ状態でした。また、エチオピアの観光は「北は遺跡、 南は民族」といわれるだけあって、南部地域には、たくさんの民族が生活しています。一番有名なのが 、ムルシ族といって女性が下唇にお皿のようなものを入れている民族です。今回は、時間の関係上見に 行けませんでしたが、機会があれば行きたいと思います。バナナやパパイヤ、マンゴー、アボガドの木 が町中に生えていて、チマキが本当に美味しい!海がないエチオピアでは、貴重なティラピアなどの魚 も食べられる!まだ、入れないが温泉らしいものも出る!カバやワニ!南部の諸民族集がある!という ことで、これから熱い地域ということが伝わったでしょうか。エチオピアに来た際は、是非アルバミン チへ!!
観光斡旋を終えたところで、そろそろ3 4日目の様子を紹介します。この2日間は、4年生の42人を対象にサッカー教室をしました。3年生に比べると、女の子の方が男の子より背が高い子が多く、成長過程を感じました。また、身体の大きさだけでなく、さすが4年生といった感じで、話を最後まで聞けることや素早く並ぶことができ、片付けも何も言わなくても進んでやってくれて助かりました。人間ってこうやって成長していき、社会性を身に着けていくのかと思いました。また、エチオピアでもしっかり 躾ればできるのだということも分かり良かったです。そして、練習やミニゲームにも楽しみながら取り 組んでくれて良かったです。気持ちよく活動ができました。アムセグナンロ!!
活動後、アルバミンチ大学のスポーツアカデミーに配属されている同期隊員に誘われて、アルバミンチスタジアムにアルバミンチFCの練習を見に行きました。また、このスタジアムがすごく地の利が活か された形になっています。山の傾斜を利用してスタンドを作るという斬新な発想・・・「まじ、すごい !」の一言です。笑
練習を見ていて気付いたのですが、プロの選手が練習している奥にもサッカーが できるスペースがあり、小学生から17歳前後の青年までがそれぞれでチームを作ってミニゲームをして いました。そこでサッカーをやっている少年たちの目の輝きといったら・・・。現地の人に聞くと、夕 方日が暮れるまで彼らはずっとサッカーをしていると言います。また、驚かされたのが「彼らにはコ ーチがいない」と言います。どういうことかと聞いてみると「ここでは、自由にサッカーをする場所が あり、また、隣のピッチではプロ選手が練習している。少年たちは、プロの選手がどんな練習をしてい るのか、いつでも自由に見ることができる。そして、彼らは、それ見ながら自分たちで練習や試合をし ているのだ」と言っていました。私は、これは素晴らしい環境だと思いました。よく見てみると、同時 に8か所くらいにうまくスペースを分けてミニゲームをしていました。その周りには、試合の順番を待 ちながら、試合や練習をジッと見つめている少年たち。なるほど、だからサッカー教室の3年生がめち ゃくちゃ巧かったのかと納得していると、後ろから「シュウ!シュウ!!」と、サッカー教室で会った 3年生たちが声を掛けてきました。「何か、リフティング見せて」というので小技を披露すると、すぐ に真似してやろうとしていました。首都では、街の開発が進み、サッカーをするスペースが限られてきているけど、アルバミンチにはまだまだ広場がたくさんあって、子どもが思いっきりボールを蹴る環境 がある。現在、エチオピア代表にもアルバミンチ出身の選手が数名います。ここにエチオピアサッカーの「可能性」、「未来」を感じ、ワクワクが止まりませんでした。アルバミンチ、観光だけでなく、サッカーも熱い!!
3. カメルーンのクラブチーム
スタジアムでいつも仕事をしていると、外からボールを蹴る音・ 休憩がてら外に出てみるとエチ オピアのDEFENSE(軍隊のチーム)が練習していました。同僚に話を聞いてみると、週末にカメルー ンからくるクラブと試合をするというではありませんか アフリカの他の国のクラブチームを見られる チャンということで、ワクワクしながら週末を迎えました。
そして、週末を迎えるとカメルーンからは、Yong Sport Academyというチームが来ていました。一応、CAFの国際試合のようで、試合前にはセレモニーなど行われました。カメルーンは、今年行われたア フリカ選手権の優勝国で、カメルーンのクラブはどんなサッカーをするのかとても興味がありました。 試合結果から言いますと、コーナーキックから得点をあげたDEFENSEが1-0で勝利を収めました。 試合を観戦した感想は Yong Sport Academyは、きちんと ビルドアップしながら攻撃を組み立て、守 備面でも連携が取れていました。ボランチ13番の選手が攻守に渡っていい仕事をしていました。しかし 、決定機がなかなか作れず、シュートを打つ場面は多くありませんでした。一枚、足の速いFWがいれ ば攻撃の幅が広がって、もっと面白いチームになるのではと思いました。一方、DEFENSEは、チーム 名とは異なり、アタッキングサードで迫力やスピード感がありました。ロングボールをDFラインの背後 にどんどん蹴って走るというスタイルで、2トップの選手の足がとても速かったです。ただ、簡単なパ スミスやコントロールミスでボールを失うシーンが多くありました。U-17代表と同様に、基本的な技術 (ボールを蹴る、止める)の部分に課題を感じました それぞれ一長一短ありますが、ここまでスタイ ルの違うチームが対戦すると様々な視点で試合を見ることができてよかったです。とても、いい機会に なりました。
4. ドイツ人によるコーチングセミナー
エチオピアサッカー連盟は、ドイツサッカー連盟の協力を受け、指導者養成のプロジェクトを行っています。その中のひとつの活動にライセンス保持者のためのコーチングセミナーがあります。日本で言 う、リフッレッシュ講習会みたいな感じです。せっかくの機会ということで、セミナーにお邪魔しまし た。今回の話のテーマは、ウォーミングアップについて話していました。「エチオピアのクラブは、ウ ォーミングアップをやり過ぎている、あれではフィジカルトレーニングだ。だから、試合終盤でスタミ ナ切れを起こすのだ」と、かなり勢いよく切り込んでいったなという印象です。そして、いくつかトレ ーニングを紹介して、翌日に受講生が高校生を使って指導実践をするという形式でした。エチオピアの プレミアリーグで指導しているコーチも参加していたので、どんな指導をするのかとワクワクしながら 当日に見学しました。しかし、スタジアムのスタンドから眺めていたのですが、練習のテーマやねらい がわからない・・・、隣でドイツ人は、「なんだ、あれは?あんなの教えてない!!」と怒り出し ・・・それをみかねたエチオピア人の指導者養成担当の人がピッチに降りて、内容を確認し、こちらに 戻ってきました。そのコーチは、「昨日、教わった練習はわかっている。でも、自分のテイストを少し入れた」という。うん、確かに自分のテイスト、大切だと思うが・・・オーバーラップのトレーニング だよね?上から見ているとラグビーのトレーニングになっているど・・・と心に思っていたら、ドイツ人が「これだよ。だからダメなんだよ。選手に基本をしっかり身につけさせるために、正しく伝え、 覚えさせ、それを繰り返す。テーマは、“テーマ”なのだから、きちんと押さえないで自分のテイストと か教えられたら、選手は迷惑だ!!」と、あきれ顔・・・。果たして、2027年にエチオピアでプロライ センスコースは無事に開講されるのでしょうか。ドイツ人の彼には、たくさん働いて、頑張ってもらい ましょう。
5. 最後に
今回のレポートの冒頭部分は、2月初旬に書きました。先輩協力隊から「半年くらい経つとモチベ ーションとか下がるから」と言われた意味が、いま見返してみるとなんとなく分かる気がします。現在 は、逆に自分のやりたい方向性がしっかり見えてきています。このモチベーションを保つのは難しいで すが、気が付けば、残り1年4カ月間、悪戦苦闘しながらも一歩ずつゴールに向かっていけたらと思いま す。 現在、エチオピアにサッカー関係の隊員が増えてきているので、サッカー分科会を立ち上げようと動 き出しています。また、機会をみて紹介できたらと思います。
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