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ヘルドッグス(ネタバレ)


公開 2022年 日本

監督 原田眞人

出演 岡田准一、坂口健太郎、松岡茉優、北村一輝、大竹しのぶ、MIYABI 他

よく行くスーパーのお気に入りJK店員とデートに行けると思ったらよくわからん奴らにJKを殺されて激昂した警官が、何年もかけて犯人グループを皆殺しにした結果特殊警察の目にとまり極道の潜入捜査官になったでござるの巻。

すっかり日本アクション映画の無双キャラが定着した岡田君。実際に3つの格闘技でインストラクター資格を持つガチで芸能界一強い男である彼は、「ザ・ファブル」に続き今作でも主演にして格闘デザインも担当している。

岡田君ほんとにイケメン。顔男前だわ髪型かっこいいわ声いいわ演技うまいわ人殺せるレベルで強いわ歴代ジャニーズでもキムタク長瀬に並ぶ重要無形文化財。

無双映画大好きっ子なら楽しめないはずがない作品でした。まあでも無双シーンだったら「ザ・ファブル」の方が多め、そして多分佐藤の方が強いけど、ストーリーのわけわからん感じと岡田君のかっこよさではこっちの方が好き。

てか何よりも松岡茉優。最高。以下ネタバレ注意。



1.PとJK(Lv.100)

無精髭を生やし、肩にトライバルタトゥーを彫った姿の岡田君演じる主人公・出月梧郎が日本だか外国だかわからん養鶏場でカタコトの男を始末するところから映画は始まる。カタコトの男はマッドドッグといって、数年前新宿で4人が殺されたスーパー強盗殺人の犯人グループのリーダーだった。
被害者はパートの主婦1人と女子高生3人。その中には当時新宿交番勤務でスーパーの常連でロリコンだった出月と仲のいい女子高生も含まれていて、しかも事件の日は彼女とデートの約束を取り付けた日だったのだ。
逮捕はされたものの証拠不十分で不起訴となった犯人を抹殺すべく闇に落ちた出月は、数年かけて犯人を次々と始末した。恋愛で一番楽しい時を奪われたのだから当然である。マッドドッグは最後の一人だ。

そんな出月に目をつけたのが組織犯罪対策部特別捜査隊の阿内(酒向芳)だった。阿内は出月を拘束し、関東最大の暴力団・東鞘会に潜入することを命じる。極道潜入捜査官である。

阿内さんが東鞘会の組織図について説明してくれるんだけど、この映画全編通して早口でしかも食い気味で喋るからずっと「ちょっと何言ってるかわかんない」の富澤状態だし多分阿内さん自分でも何言ってるかわかってない。
とはいってもストーリーは正直二の次で役者の芝居とアクションを楽しむような映画だから話は大体こんな感じかなあ〜程度で十分なんじゃないですか?知らないですけど。

2.本当はサイコパスじゃないだろお前

出月は兼高将吾という名前で東鞘会に潜入。
裏仕事専門部隊ヘルドッグスの一員となった兼高は、床屋が好きすぎて事務所に床屋を作ってしまった男こと土岐(北村一輝)の指揮のもと「空腹の感覚はないけど人間ぽさ出すために飯食ってます」というサイコパス室岡(坂口健太郎)とコンビを組み、持ち前の殺人術であっという間にいい感じの立ち位置まで行く。最後まで行く。

東鞘会の三次団体・三神組の三神(はんにゃ金田)は、親友だった室岡を取られたので何かと兼高に突っかかり気味。事務所の暗証番号も勝手に変えて教えなかったりする。でもまあインテリ系ヤクザでかなり弱そうだから大丈夫だ。問題ない

タイ出張の祝勝会を終え、行きつけのマッサージ屋に向かう兼高。店主の衣笠(大竹しのぶ)は、阿内と兼高の連絡係であり、東鞘会理事長・大前田の専属マッサージ師でもある。

一方室岡は幼馴染の杏南と偶然再会。同僚にも教えていないという隠れ家に連れ込んでセックス。でも射精はできないらしい。だだっ広い部屋には派手な神輿やテントが張ってあって、この中で寝ると傷の治りが早いとのこと。お前さてはサイコパスっていうか中二病だろ。

3.「敬い」の献上品

何やかんやで先代氏家の息子ジョージに命を狙われている会長の十朱(MIYAVI)は護衛をつけることに。ジョージは後継者争いの末、六代目会長代行神津太一を暗殺し今も東鞘会を潰そうと目論んでいるのだ。知らんけど。

護衛の白羽の矢が立ったのは誰あろう兼高と室岡。
「歩き方で銃の種類がわかるぜ」という、いかにもな感じの特攻野郎Aチームとローテーションで護衛をすることになる。
オペラ歌手こと熊沢組熊沢(吉原光夫)に案内され初めて十朱と顔を合わせる二人。十朱はスラッとした長身に細身のスーツ、斎藤一のようなオールバックに前髪チョロチョロヘアー、常に手袋をしていて健身球をコロコロやっているクソナルシスト野郎である。まあ本職は世界的ミュージシャンなので仕方がない。

「最近どう?健身球コロコロってやってる?」

1人だけゲームのキャラクターみたいな異様な雰囲気の十朱に若干引き気味の兼高であったが、自分で蹴って割った瓶の破片を自分で拾ったり、美術館を巡ったり、廃墟に行ってポエマーになったりと不思議っ子ナルシス君な一面を見るにつけ「可愛いとこあんじゃん」となる。てか家に送っただけで4万もチップもらえるし。やったぜ。

あくる日、西の暴力団・華岡組の俵谷(田中未央)に資金を渡す会合が行われる。緊迫の用談を終えホステスたちとカラオケ大会に興じるおっさん達であったが、目ざとい兼高がルカという新人ホステスの違和感に気づく。案の定殺し屋だったルカを難なく張り倒して、みんなで拷問するため処理場とかいう物騒な廃墟に連れていくことに。こわ〜

その頃、氏家と俵谷の癒着を疑う土岐は、俵谷に渡した資金のジュラルミンケースに盗聴器を仕掛け別行動。裏社会にも詳しい愛人恵美裏(松岡茉優)理事長大前田(大場泰正)、そしてなぜか三神も合流。

処理場の管理人は番犬と呼ばれる足を引きずった村上淳。涙目の殺し屋のルカ(中島亜梨沙)をノリノリで拷問するオペラ歌手と中二病君だったが、全然口を割らない。何やねんと思ったらルカには発信機が仕掛けられていたのだ。

ルカ「てめーは もう・・・~~~~てめ──は もう~~~~~てめえはもうおしまいだぁあ────っ!!」(言ってません)

そんなわけで処理場に殺意Max Heartの武装集団がやってくる。「ひどく愉快な気分だ」とか言ってついてきちゃってた十朱もいるしで一転して大ピンチの兼高たち。

一方土岐たち。恵美裏に「何で呼んだの?」とか言われて招かれざる男の三神だったが殺し屋に発信機が仕込まれていることを見抜いた。有能。もう加勢は間に合わないので清掃班を処理場へ向かわせる。

死闘の末、何とか暗殺チームを退けた兼高たちだったがルカのイタチの最後っ屁で熊は死んだ。てめーは もう・・・(略
拷問してる時ウンコ出す時の話なんかするから。
兼高たちは休む暇もなく三神に連れられ氏家の隠れ家に向かう。道すがら、杏南と一緒に行った犯罪被害者&加害者親族の会で聞いた「出月吾郎」の話をする室岡。スーパーで殺された4人の被害者の家族にはひと月おきに20万の現金書留が届くという。おいおい。俺のことじゃねえか。

4.お葬式

氏家をサクッと殺して、東鞘会本部では熊沢の密葬が行われる。空席になった会長秘書には兼高が就くことになった。組長が処理場にノコノコとついていった(しかも悦に入って)ことで激おこの土岐は、上司だけど十朱に腹パン。あなたのせいで熊は死んだと叱責。兼高が秘書に選ばれたことが面白くない三神は、いつものように兼高につっかかる。その場に居合わせ「三下のサイコボーイ」と言われた室岡はキレて三神を殺してしまう。ええ…?「死刑囚のせがれの三下サイコボーイって言ったよな」いやそこまで言ってないし普通に。とはいえ三神は室岡の上司なので、大前田の側近の十字傷がドスで殺しにくる。葬式では熊沢の好きだった歌をみんなで合唱。めっちゃ刺されながらも十字傷を返り討ちにした室岡は組のお尋ね者になった。悲しみの兼高は彼を逃す。余談だが三神は兼高が警察の犬であることを(偶然だが)掴んでいた。有能アンド有能。色々と惜しい男だったなあ。

阿内に呼び出された兼高。氏家や俵谷の一連のアレは警察側の差し金による陽動だったという。場所を兼高の部屋に変え、実は十朱も元潜入捜査官だったことを発表中、兼高とデキていた恵美裏が部屋に入ってきてしまう。咄嗟に銃を向ける阿内だったが、女の顔を見て呆気に取られる。なんと恵美裏も潜入捜査官だった。ここの恵美裏の笑い方デスノートのフジタツ月で好き。アンダーカヴァー呼びもいい。恵美裏はかつてタンザニアの自然保護区密猟対策チームにいた獣医?で、アフリカゾウに感情移入した結果ヤクザの象牙ロンダリングを潰すためアンダーカヴァーになった。何かやたらと象牙の話してたもんな。
そんなこんなで土岐は恵美裏が、大前田は息子の復讐のため衣笠が、そして秘密ファイルの奪還と十朱の始末を兼高が行うことになる。

「息子は何で殺されたんでしたっけ?」と大前田に尋ねる衣笠。孫娘に手を出したからだと答える大前田。でも言い寄ったのは女のほう。てか殺した奴の親だって知ってて雇ってたの?どういうお笑い?映画とかでよく見る十字架のネックレスに仕込まれた尖ったやつで首を刺してミッションコンプリート。
vs土岐は、兼高と恵美裏の逢瀬を知っていた土岐が激昂して少し難航したが、毒注射器をぶっ刺してミッコン。

兼高も邪魔な特攻野郎Aチームを何とか倒して十朱と対峙。十朱は自分が潜入捜査官であったことを告白。兼高も同じであることに気づいたようだ。「世界の半分が欲しくはないか?」という十朱だったが、「自分、犬なんで。失礼します」と断る兼高。

「仕事なんで。失礼します」

そして顔を狙わない紳士の銃撃戦ののち、得意の絞技で十朱を落としMC。

5.しっちゃかめっちゃか

土岐に殴打されて伸びている恵美裏の元に、室岡が現れる。
中二病君は恵美裏に銃を突きつけ「好きじゃないけど、死の接吻」つって顔を近づける。唇が触れ合う直前、めちゃめちゃ低い声で恵美裏が
「私を殺したらタッカがあんたを許さないよ」。かっこよすぎだろ。「兼高は私の男だよ」。兼高呼び!男呼ばわり!さすがヤクザの娘。言い方鳥肌。

中二病君に呼び出され、いつかの十朱ポエムを聞いた廃墟にやってきた兼高。恵美裏が人質にとられている。
サイコ室岡の質問コーナースタート。

Q.出月さんは、極道潜入捜査官ですか?
A.そうです

Q.俺と一緒に組に戻ってくれますか?
A.組はもうないので無理です

Q.俺は出月さんにとって何だったのかねえ
Q.それは質問ですか?
A.単なるつぶやきです

「お前は俺にとって森の王だった」と、十朱ライクのポエムを詠む出月。ここに来ると皆ポエムを読みたくなってしまうらしい。
室岡は恵美裏に銃を突きつける。

Q.親の仇をとっていいですか?
A.もう終わったんだよ室岡

Q.俺とこの人とどっちが大事なんですか?
A.室岡の眉間を銃でバーン!

出月は倒れた中二病君を見下ろしながら、
「マッド・ドッグで始まり、ヘルドッグで終わる」

いや、
「まさにヘルタースケルター。つまり、しっちゃかめっちゃか」
みたいに!(なってない)

ラストは、室岡と出月が出会った日(三神もいた。“死の接吻”は彼の入れ知恵だった)のワンシーンで終わり。 


感想


かなりよかった!
とりあえずアクションがシンプルにかっこいい。
護衛候補を秒で張り倒すシーンとか、車内の「室岡はどこだ?」シーンとか、Aチーム処理シーンとか、岡田くんひたすら無駄な動きなくてすごい。ガチの格闘技オタクは伊達じゃない。

坂口健太郎も殺し屋のルカとニヤニヤしながら闘うシーンとか、戦闘狂な感じがそれなりにはかっこよかったけど、最後は三神を殺したり弱いものいたぶりのメンヘラサイコパスになってしまって残念。

それより何より松岡茉優がめちゃくちゃ良かったですね〜

まあ、どの作品でも良いは良いんだけど、最近の松岡茉優では一番良かった。まずヤクザの愛人の松岡茉優っていうのが最高だし、あの顔で肩から背中にかけて刺青が入ってるのアニメの世界。オシャレなのかよくわからないゆるダボ服もなんか良いし、憎っくきヤクザと恋仲になっちゃう欲に正直なとこもあるなんて完璧じゃん。お互いアンダーカヴァーでよかったね。

あと個人的には三神も好きでした。

はんにゃの人意外と演技うまくて、三神でしかなかった。三神みんなに嫌われまくってたけど(あの仲間思いの十朱でさえ「目障りだった」って…😭)、発信機見抜いたのさすがだし、兼高の正体にも迫ってたのになあ…。そもそも土岐は三神のこと買ってたっぽいし、最後室岡をキレさせちゃったのが不運だった。タイミングさえ合えば土岐と天下取れてたかもなあ。合掌。キスオブデス。

最後、室岡を撃ち殺した後自分のこめかみに銃をあてて自殺しようとするのを、恵美裏が無言で手で遮るのよかったなあ。
原作的にも続編ありそうな感じなので、もしあったら2も恵美裏さん続投でお願いします。もちろん生存ルートで。

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