著者の私見が絶妙なスパイス〜アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方 ヨーロッパ編
いわゆる芸術、美術の鑑賞や歴史をテーマにした本はまさに星の数ほどあるわけだけれど、本書はそうしたものとはかなり色合いの違う内容。
たとえば、こうした書籍もそれはそれで有用なのだけれど(実際わたしも買ったし読んだし)
なんかのっぺりとした印象なこともあって、そこから先へ一歩踏み込む機会になることは多くない気もする。(とはいえ、これはこれで十分役立ったし楽しめた)
その点、本書はいい具合に著者の視点、感性、私見がいいバランスで(強めに)入っていて、読みながら作品や制作者に対する臨場感が高まってくる。(ありていにいえば、ワクワクというやつ)
まさに「入り口」を提示してくれ、そこに誘って(いざなって)くれている好著。
けっこうマイナーなアーティストにも紙面が割かれていて、そのへんも「お、そんな人がいたのか」と、掘り出し物感覚をくすぐられる。(周辺、背景もうまく散りばめられて、それが対象をより立体的に浮き上がらせてくれる)
こうして章立てをみるだけでも本書のユニークなところが垣間見える。
第1章 20世紀アートの幕開け
第2章 写真の誕生、そして決定的瞬間
第3章 徹底した客観描写
第4章 変貌し続けたボウイ
第5章 ぼくを深く魅了する画家たち
第6章 マルセル・デュシャンの登場
え?なぜボウイ(デヴィッド・ボウイ)で1章割かれてるの?とか。(その他にもピストルズやブライアン・イーノ、ビートルズなんかも)
素直に、非常に面白く楽しめました。(これはメルカリ行きにはならず書棚へ)
タイトルにあるように、まさに「入り口」へ誘って(いざなって)くれる、素敵なランダムネスをふりまいてくれる良書。
今回読んだのは「ヨーロッパ編」。
もちろん「アメリカ編」もさっき買ってきました。
またまた楽しみです。
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