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サラリーマンは投機か? Vol.1

サラリーマンは、ハイリスク・ローリターン?

 刺激的な表現ですみません。しかし、冷静になってみるとそうかもと思うところもあるかもしれません。サラリーマンをとりまく環境も、バブル崩壊からのデフレ経済、終身雇用という幻想が消えるも65歳、70歳までの雇用延長と、企業にかつての「ゆとり」と「おおらかさ」は薄れているようにも思います。
 そうしたゆとりとおおらかさの減少は、大企業でも現実に。今は、一社就社の定年までの終身雇用に身を任せるのは、「長期・一点集中・持ち出し」の投機的行動かもしれません。つまり、投資対効果は合わないハイリスク・ローリターン。

かつては、ローリスク・ローリターン?

 昔のサラリーマンは、リターンは高かったか?と言われれば、ローリスク・ローリターンであったと思う。特に、安定志向の強い日本では、ローリスクの面が強調され、良い大学を出て良い企業(特に大企業)に入れば、リスクは少ないとされ、欲張らなければ”まずまず”、言えば「安定」の幻想に浸れたし、実際に多くはそうであったと思う。
 サラリーマンにとって、リターンの拡大は「出世」。犠牲を多く払って、役員そして社長という人生ゲームのすごろくのような世界での「勝者」になることができれば最高であるが、仮になれなくても、大企業などは手厚い福利厚生もあり、役員になれなくても「ゆとり」と「おおらかさ」から数ある子会社等への事実上の「天下り」、交際費もそれなりに使用できて人それぞれのあがりを享受できた。そんな時代もあった。

投資的視点で見てみると

 今は、貯蓄から投資への流れの中、多くの方が投資に興味を持ち金融商品等に投資をしている。投資の仕方は人それぞれであるが、王道と言われる投資法は「長期・分散・積立」と言われる。サラリーマン人生を投資に例えれば、社会人となって、おおよそ40年ほどを過ごす、それこそ「長期」の投資行動。でも、就職ではなく就社の思考で、社会人となり1社に就社し、定年までとして頑張ることは、「長期・分散・積立」の行動と合致しているか? 特に「分散・積立」の点では異なっているかもしれません。
 「大企業だから潰れない」は、正直幻想。日本でも、かつての大企業も時代の流れについていけず、倒産の憂き目に合うこともしばし。ロスジェネ世代には、あの山一証券が、あの日本長期信用銀行が、まさかの事態をニュース等で見て衝撃を受けた記憶があると思います。他にも「リストラ」の流行等、常にいつ自分の身にも起こりうるリスクに囲まれています。1点買いは、結果自身の人生までも投機にしてしまう行動かもしれません。

分散投資

 では、長期のサラリーマン人生のおいての「分散投資」は何か? 昨今では、金融商品や不動産投資を通じた不労所得を得ることも流行っている。これも一つの分散投資。収入の源泉を1つにしないためのリスク回避策。でも、金融商品でそこまで得られるか、不動産投資も空き家リスクもあるし、そもそも投資の頭金が…という声もあるでしょう。わかります。自分もそうですし、経済的自由を獲得したFIREという方々に憧れることもあります。
 でも、サラリーマン人生そのもの、収入の源泉を分散させることができれば、1点集中のリスクからの回避が可能かもしれません。
 例えば「副業・複業」です。自身の居場所を複数確保し、分散投資の源泉である収入の複数化ができる面では、誰もが取り組める分散投資です。企業も副業解禁をどんどんしています。この流れは今後も拡大していくでしょう。なぜなら、複雑化するこの時代に、多様な視点を取り込むことの効果を企業も重要視しているから。いかに、自分自身の知見を拡張することが、自分だけでなく企業にとっても有益か、双方にとってもWIN-WNの構図になりると思います。副業へのハードルを下げ飛び込みやすくしています。いきなり、自身の収入のポートフォリオをバランスよく分散はできなくても、少しずつバランスが是正していけば良いかもしれません。100%から90%対10%でも。もちろん、自身の収入総額も増えますし。

今は、積立ではなく持ち出

 投資の視点で、もう1点重要なのは。「積立」。かつては、1社就社で、その企業の文化に染まり、社内営業や接待をしてでも「社内だけで通用する信用・人脈」という積立をすることで、それなりに積みあがっていました。もちろん、勤務態度やそれなりの実績は必要ですが。それでも、その企業だけで通用する「信用・人脈」を積み立てれば、例え役員や社長になれなくても、それなりのポジション、定年後の再雇用先(天下り)先も確保されてきたと思います。でも、今はどうでしょうか?
 正直申しますが、一部の例外除けば、ほぼ消滅しているに近いでしょう。むしろ、自身の「魂」「体」を擦り減らすように「持ち出し」、場合によっては「人」を売ってまでの出世に向けた行動に出る人もいます。その持ち出しに対するトレードオフで成立するリターンを享受することができるのはどのくらいでしょうか。

***次回に続く***

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