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VOL.4 確信をもって行動

仕事への価値観

 既に、悩み始めてから5年近く経過していた。その間に仕事への価値観も変わっていた。ロスジェネ世代のサラリーマンは、いわゆる1つの会社に勤める「就社」型で、最後は役員になるのがゲームの勝者のような価値観が一般的であったかもしれない。
 自身に重なった事象だけでなく、社外の方からの助言も価値観を変える要因になっていた。社外の方からは、コンサルが向いている、講演とかを生業にしたり、大学での教鞭もあるのでは、はたまた独立しろ!という人も。共通しているのは、今のところから飛び出せ!真面目にやってきたんだから何とかなる、自分を信じて挑戦してみることだと理解していた。
 社会的課題解決への関心、講演で味わった楽しさ、そして家族への負担を軽減したいという中で、「就職」のアウトラインは見えてきたが、「就社」の段でも、家族への負担を軽減する、これまでの負担の埋め合わせが可能な柔軟な勤務が可能なことを優先する考えとなり、わがままかもしれないが、「基本転勤なし」「基本在宅勤務」そして「裁量労働」といった点を判断材料にすることも見えてきた。

多様化する選択肢

 コロナ禍はこれまでの常識を大きく変えた。加えてWEBの進展もあり、従来の延長線では対応が難しい社会に。でも、裏を返せば大きな変化に対応できれば、より自分らしく生きることができる社会になるかもしれない。
 先頃、ニュースで三井物産も副業を解禁するとあった。大きく変化する時代にあわせて、従来の延長線では得られない知見や経験を、社員も吸収することで、本業にも良い還元をもたらす相乗効果を期待してのことだろう。
 他にも、仕事着といえば「スーツにネクタイ」がロスジェネ世代は、入社時の常識であったが、今やカジュアル化がどんどん進み、スタートアップの会社とかIT系などは、パーカー、デニムにスニーカーも普通。しかも経営層自らそうした仕事着改革を普通に実践。たかが仕事着、されど仕事着、身近な常識でもこれだけ変化しているし、選択肢が拡大している。
 もちろん、在宅勤務、裁量労働、副業・兼業OKもだが、地方移住や個人事業主となっての会社と契約しての業務遂行も広がっている。
 つまり、個々人のライフスタイル、価値観に基づいて適した職場環境に身を置くことが選べる時代になっているということかもしれない。これを可能とするにも、「就職」として自らの職は何かを明確にすることなのだろう。

前職への恩返しと3つのS

 転職するとしても、敵対的な転職は避けたい。世の中つながっているから、どこでまた一緒になるかわからないし、転職した先にも迷惑をかけるかもしれない。四半世紀にわたり育ててくれた会社、感謝しかない。いろんな人にも巡り合えたし、いろんな機会も頂いた。
 転職先を、社会課題解決に関心を持ったタイミングでアプローチをかけてくれたコンサルティング会社にしようと決断。基本転勤なし、在宅勤務、裁量労働、副業も可、中途入社の割合も多い。5年かけて考えて出したことと一致するというありがたい状況に巡り合えた。採用試験時には、心底本音で対応できた。結果も採用となった。本当にありがたい。
 退職の報告を上司に実施。心の奥底から出る感謝の念と、転職を決意に至る経緯を正直に話した。かねてより親交があり信頼をしている上司からの温かい言葉は、今でも鮮明に焼き付いている。恩返しをしないといけない。
 コンサルティング会社に転職することにしたのには、もう一つ自分の中で整理していた考えもあってである。年齢は関係ないであろうが、いきなりまったく違う世界に飛び込むのも臆病になっている、しかし残りのビジネスマンとしての人生も充実させたい。そこで、3つのSに照らしての実現可能性の高さを見ていた。

 ①Slide:職としての基軸をもって、業界をスライドする
 ②Spread:交友関係もであるが、視野を広げる活動をする
 ③Solo:個としての自立、自律する

 3つとも、自身のやりようで可能なことも、事前にわかった。あとは、実践あるのみ。

 転職したことには悔いはない。結果はどうなるかは誰もわからないが、ひとつだけ、明らかになったことがある。「踏み出さなかったことへの後悔という選択肢は消えた」こと。踏み出した以上進むしかない。

 青く澄み切った秋空のもと、50歳手前の新入社員が、楽しみながら歩みだす。転職をしたことで「天職」がつかめるように。

***次回に続く***

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