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「新たな地域ファンド組成に向けて、地域事業における3つの金融課題」糀屋総一朗×木下斉

ここ数年お付き合いをさせて頂いている糀屋さんが立ち上げる地域事業向けのファンドについてあれこれと議論をさせていただいているのですが(こちについては近日プレスリリース予定)、それに先立って、対談コラムがアップされています。

様々な場所で貸しスペースを運営したり、大島でゲストハウスを仕掛けたりしてきている糀屋さんの経験の中と、各地での私なりの経験であれこれ議論しています。

人口減少はあくまで結果であって、地域衰退の原因ではありません。というか、そもそもそれを原因だと叫んだところで解決はもはや不可能なので、それに対応した新たな地域形成、産業転換というのが求められています。

さらに転換する、変化するという場合にはやはり地元だけで議論しているのはかなりタフです。変化は誰かしらにストレスを与えることになるからです。そのため、地方プロジェクトの多くは、Uターン、Iターン人材が何らかのプロジェクトの核になっているわけでもあります。外に一度でて見てきたもの、経験してきたことをもって、必要だと確信する変化を牽引していくわけです。

さらに言えば、一発逆転みたいな都合のいいプランはなく、結構地味なことを繰り返していくことは大切で、巨大な1つで全部を解決するよりも、小さくとも複数のプロジェクトをもって解決を図っていくというスケールアウト方向です。

このような問題意識と、各地での事業経験をもって考える、ファイナンス部分での地域プロジェクトの問題が、私は3つほどあると思っています。

○ B/S面(特にエクイティ政策)での戦略がないことで、せっかくの価値を流出させてしまう

地域事業ではP/L面での議論はようやくなされるようになっているものの、そもそも資金調達におけるB/S面での議論がまだまだ未成熟です。地域の同族企業の多くは金融機関からの調達というのが基本であったりするので、資本政策として、資本金などを幅広いところから集める、といったようなことをイメージできなかったりします。

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