彫刻の森美術館 開館55周年記念「舟越桂 森へ行く日」
最初は例によってグダグダ話。展覧会の詳細は「目次」の「舟越桂 森へ行く日」からGo!
今日は日帰りで箱根へ赴く。新百合ヶ丘からロマンスカーに乗る。新百合ヶ丘に停まるダイヤが増えて助かるね。なぜか帰りはあんまりないんだけど。
乗るのは1号車。昔展望席に乗ったこともあったな。今日の車両には付いてない。前の方の席はガイジンさんだらけだった。ツアー客なのかな。
発車後しばらくするとどこからかおっさんの奇声が聞こえてきた。「おぁっあ〜!」「ぃよっ〜」(解析不能)
なにこれ? どうも運転士さんが発している声のようだ。指差し確認もしてるので走行中の安全確認なんだろう。「ヨシっ!」と同じで声を出すマニュアルになっているのだろうか。にしてもうるせえww。
相模大野で運転士が代わると今度の人はなにも声を出さない…。さっきの人は自主的なのか? ちなみにその運転手さん、降りる時に前のお客さんたちに手を振っていた。知り合いじゃないだろう。いつも挨拶して交代するのかな。もしや鉄道マニアの間では有名な方なのか?
波乱の幕開けであった…。
彫刻の森美術館も2年ぶりか。ハイアットリージェンシーに泊まった時に寄ったはず。しかしこの時はウルトラクソ暑くてほとんど身動きできなかったため記事にしてなかったみたい。あんなに暑い箱根は初めてだったよ。
チケット購入。だが…
彫刻に特化した美術館は珍しいようで各地にぼちぼちあるのかな。
岩手にあるのはいつか行ってみたいと思っている。
ここは復活してくれないね
「舟越桂 森へ行く日」
今回ここへ来た最大の目的。残念ながら今年亡くなってしまった舟越桂さんの回顧展(生前から計画されていたのにそうなってしまった)。本来はもっと早く来たかったんだが前回の暑さがトラウマで涼しくなるまで待っていた。
思ったより展示数は少なかった。写真撮影も不可。展示会場は入口エスカレーターから降りたところの建物内。一階、中二階、二階。企画展はここで開催されることが多い。
一階入ってすぐに生前の舟越桂さんのアトリエを再現したと思われる展示があった。
そこで御本人が彫刻作品をチェンソーやのみとハンマーでクスノキから切り出す様子やインタビューのビデオが流されていた。
たしかテレビ(テレ東「新 美の巨人たち」だ)でこれを見た覚えがある。彫刻の人物の目を斜視にするのは鑑賞者と視点を合わなくさせ、どこかもっとも遠いところを見ているようにするため。もっとも遠いところとはどこだろう、それは自分自身の内面かもしれない、世界を知るには自分を知ること…みたいなお話だった。
左と右で角度を変えるのは、意識はないかもしれないがピカソの影響もあるのかも。中2階展示室にあった「『おもちゃのいいわけ』のための部屋」のショーケースに革装丁の本が並んでいて背表紙には「PICASSO」と書かれていた。ハリボテでなくほんとの画集じゃないかな。御本人の選書ではないかもだけど、二十世紀に活動してピカソを意識しない芸術家はいないだろうし。
インタビュービデオで改めて印象に残った(すっかり忘れていた)のは、「(彫刻をする)若い人も、人物なんてもう古いとか言わずに、まだまだ新しいことが出来るんだよと私の思いが伝わって欲しい」ようなことを最後に言っていたことだ。
そっか、ギョーカイでは人物彫刻はもうオワコン扱いなのか。しかしこれ動物彫刻を作り続ける三沢厚彦さんへの当てつけか?(後で出てくるように一緒に仕事したり仲良しらしいけどね)
私が舟越桂さんの作品を最初に(それと知らずに)見たのは、ほとんどの方がそうであるように『永遠の仔』の表紙だった。もちろん最初の印象は「キモっ」。小説の内容はさっぱり覚えていないが不思議な彫刻のイメージはまだ残っている。
この表紙の彫刻も一階に展示されていた。
《砂と街と》1986年
その後、桂さんのお父さんであるやはり彫刻家の舟越保武さんの作品に出会って、いろいろ調べていくうちにあの彫刻は保武さんの息子さんの作品なんだと辿り着いた。
舟越保武さんこそなにも奇をてらわない普通の人物像を作っていた人だ。私なんかはそこに感動してすっかり虜になった。岩手まで追いかけたよ。
舟越保武さんの人物像は特にモデルがいなくて(すべてかどうかは知らない)、だからこそ表面上の普通さの中にあなたの知っている実在する誰かの深い内面を伺えるような複層的なリアルを逆に感じて驚いたものだ。
桂さんは同じ彫刻家になって偉大な父を意識しないわけにはいかなかっただろう。ビデオの発言は親子二代で人物像彫刻を続けてきた矜持と取れる。つまるところ父親讃歌?
「(自分の作品は)どこから見ても視線が合わない、とひとからよく言われる」と桂さんはビデオで語っていた。
私も作品をじ〜〜っと真正面に構えて見つめ続けてみた(危ない客だと思われてたかも)。たしかになかなか目を合わせてくれないのだが、微妙に顔の位置や角度を変えていくとふっと視点の合う瞬間があった。彫刻と自分がシンクロした? 気のせいかも知れない(ますます危ない客だ)。
二階の展示はおっぱい天国。一体を除いてすべて上半身丸出しの女性像。巨乳あり美乳あり。乳首は…すいませんもうやめておきます(ほんとに怪しい客だ帰ってくれ?)。
舟越桂さんの木彫作品は、お顔を除いて木を彫った跡をけっこう残している。ヤスリを掛けて滑らかにする(特におっぱいなんか)ことも容易なのに敢えてそうしてないんだろう。
マイヨールは(石だけど)この上なく滑らか〜
父舟越保武さんは石を切り出し、とても滑らかで(石なのに)温かみのある肌を作っていた(色も付けずに)。保武さんが木彫をしてたのかはよくわからないが、桂さんも最初から木彫を作っていたわけではなかったそうだ。あの「目」も初期作品は空洞?のままだった。
この辺の情報は、予習と思って買っていた芸術新潮の舟越桂追悼号で知った。結局復習になってしまったけど。
会場にあった桂さんのドローイングは、彫刻を作る前の設計図的なラフ絵か。それだけでなくかなり絵としてのクオリティが高いと思った。父保武さんのドローイングも岩手にいくつかあったが、ありゃほんとに大雑把な下書きで、絵の顔と彫刻の顔がぜんぜん違ってたりしたっけ。桂さんのはほぼ同じ顔になってた。そして着色されている。桂さんの場合彫刻作品もカラフルだ。絵が描き込まれているものもある。
肩に山を生やしたり⛰️、胸に海を作りそこにボートを走らせたり🛥️。シュールである。
胸が海になった作品は千葉で見た。これは写真も撮れた。
シュールついでにおっぱいが3つも4つもある女体像作ってもよかったのにダメですか。首が2つあるドローイングはひとつあった。ここにはなかったが彫刻作品にもしている。
でも古代彫刻でおっぱいがたくさん付いてる像があったよね。豊潤の神だったかな。
確認したらインドの神様かと思ったらローマなのか。ディアナとかアルテミスなんだ。月の女神としてお馴染みだがおっぱいたくさんのイメージで描いてる画家はいない気がする(話が無事おっぱいで着地した)。
彫刻の森散策
せっかくだから他の作品も見て回るか。もうひとつの特集は後回し。
何度も来ているところだが多少なりとも彫刻への知識が付いた後で回ってみると新たな発見も。
あ、佐藤忠良さん、こんな細い顔の像も作ってたのか。
これぞオレンジ色の憎いやつ🔥(わからないナウなヤングはググってね!)
せっかくだから足湯も入っていくか♨️
ぬるっ!(ヌルヌルしてるんじゃなくて温度がね)。足湯ってたいがい熱めなもんだが。
更にせっかくだから何度も来たがピカソ館も寄っていくか。写真撮れないけど。
お皿なんかはヨックモックでは撮れるようになったのに。
パブロ・ピカソ
《画家とモデル 156シリーズ》
版画作品。前にも見たかな。もう老人のドロドロ妄想。春画みたいに女性器が剥き出しで描かれてるし18禁だろこれ。
名作コレクション+舟越桂選
もうひとつの特集企画。あんまり期待してなかったけど展示品は粒揃いだし写真も撮れておもしろかった。
以下は三沢さんらと共創らしい。
いやもうお腹いっぱい。でも腹減った。
おまけ お昼ごはん
登山鉄道の駅までの途中にあった喫茶店に入った。北九州で食べられなかった焼きカレーに惹かれた。これまたせっかくなので(何度目だ)。ドリンク・デザート付きのセットにした。
出てきたオレンジジュースは生搾りなのかな。泡立ってた。特に期待してなかったけどおいしい🍊
焼きカレーって、要するにカレーチーズドリアだよね。おいひいけどアチチで食べるのに時間が掛かるハフホフ。
デザートは日替わりケーキにした。これも期待してなかったけど、出てきたパウンドケーキは悪くなかった。薄かったけどこれは値段を考えれば仕方がない。ほんのり温かかったのが驚き。こんなの初めて。
支払いは、読み取り機があったので「なにが使えます?」と聞いたら「なんでもどうぞ!」 サッとiDでチャラランと払った。
お客さんは半分以上ガイジンさんだったと思う。店のおねえさんは完璧に対応してたし、さすが箱根であった。
Google MAPでも高評価。納得。
さてひとっ風呂浴びて帰るか♨️
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