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蛙の子は蛙 先生の子は先生

ご縁をいただき、去年から家庭教師をしている。亡くなった私の父は教員で、私は父にそっくりなのに、学生の頃は自分は教師にはならないと決めつけていた。実際、会社員時代はプレゼンは苦手で、しゃべっていると緊張して、どこまでしゃべったか忘れてしまう、だから教えるなんて無理無理無理。ずっと、そう思っていた。

ところが、昨年中国人の中学生二人の受験勉強の家庭教師を頼まれ、意気に感じ人助けと思い、コロナで時間もあったので、毎日4-5時間一緒に勉強した。いくら受験でお尻に火がついているとはいっても、子どもなのにこんな長い時間集中して勉強してくれ本当に驚異的だと思った。しかも完ぺきでない中国語で、日本の学校の勉強を教えている。1対1、1対2なので、集中してなければすぐわかるし、いやだったらやめることもできるのに食いついてくる。教えたことの歩留まりは、確かに期待通りではないことが多かったが、でも楽しんで勉強してくれてる感じがして、最後まで乗り切れた。

去年の様子を聞いて、友人に新しい日本人の生徒さんを紹介していただき、今年は春から、中国語や英語を教えている。やっぱり、今年もどうして私の授業をこんなに一生懸命聞いてくれるのか不思議だと思いながらやっている。直近は昨日が試験日のHSK3級の勉強を一緒にやっていた。なぜ、HSK3級かというと、これに合格すると、その子の進路に有利になるのではという期待があっての決め打ちの3級だが、よっぽど語学マニアで語学の勉強自体が得意な人でなければ、初学者にはちょっと難しいレベルだ。

だから、普通に考えてすぐ合格するかといわれれば、ちょっと厳しいが、初級の語学と言えばとかく無味乾燥なものなのに、一生懸命一緒に勉強してくれることに毎回感動している。しかも、その子はちょっと前までは勉強があまり好きではないと聞いていたからなおさらだ。まあ、私はその子を中国語沼に引き込むつもりで教えているし、その子も好んで、沼にはまるおタクになりたいと志願して、私に習い始めたわけだから、単なる勉強とはちょっと違うし、お互い望み通りだが。

これまでの中国語学習の主な柱としては、その子が持っていた、超入門! 書いて覚える中国語ドリルで基本のきを勉強し、それからざっとHSKの教本をやった。自分でプレゼンをするのは苦手なのに、教科書という手がかりがあると、まあ、自分よくペラペラしゃべること!いろいろ補足することが次から次に頭にのぼる。実は、自分はコツコツ自習したりするのは苦手で、自習本を読み切ったりするのは苦手なので、教えるのででも1冊本を終わると感動するし、自分が勉強したような満足感。

それに、教えてみたら、やっぱりHSKとかの対策本をきっちりやるのっていいなあと思った。HSKの場合は書いてある範囲で大体出題されるのだろうから、お得だ。自分も、数年前いい加減に受けたHSK6級の点数が不満なので、馬鹿にせず、ちゃんと教本を読んだり、過去問集をやったりしてみようかなと思った。

やってみたら、興味を持たせるためかHSKの教本は生活に即した例文が結構あって、例えば、A:你为什么刚才不说,现在才说?B:不好意思,我忘了。(A:なんで、さっき言わないで、今頃言うの?B:ごめん、忘れてた。)みたいな会話文。「これは大体お母さんが子どもか旦那さんに言う常とう句ですね。お母さんと旦那さんになりきって読んでみましょう。」みたいになりきって読むと、なかなか楽しい。

というわけで、最近意外と教え業、向いているのかもしれないと思い始めた。蛙の子は蛙なんだなあと自分を素直に認められたのも実は生徒さんのおかげ。去年の生徒さん達のお父さんはコックさんなのだが、子どもたちは料理もうまければ絵もうまいし手芸もうまい、芸術肌。本当に、蛙の子は蛙なのだ。…いやあ、世襲制って意外と理にかなってるのかもとひどく納得したものだ。

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