行政書士試験に独学で合格するための戦略

令和元年度行政書士試験に3ヶ月(約500時間)の独学で合格(188/300)した時に考察した内容のまとめ。
主に試験の全体像が分かっていない初学者向け。


■基礎学力
筆者は法律に関してはほぼ初学者の状態で学習に着手した。
ただ、初学者の平均からすると、幾ばくかアドバンテージを持っていたと思う。

①:まとまった勉強時間を捻出できる環境と意思がある(働いていなかった)
②:ある程度の基礎学力と学習習慣がある(難関大学の受験を経験)
③:近現代史や政治経済について一定の教養がある(文系出身で、教員免許(社会・地歴・公民)を保有)
④:情報技術にそこそこ詳しい(応用情報技術者を保有)

この試験は法学部出身または関連法規の学習経験があれば、問題なく独学で挑める。
それ以外の初学者が独学を選択できるかの判断基準は、①と②の要素を満たしているかだと思う。ここを欠いているなら、お金を積んで外側からバックアップしてもらう方が確実だ。
また、個人的な結果から言えば③と④の素養が合否を分けた。これらがなければ、一般知識満点というミラクルは起こり得なかった。無論、そこまで極端な有利が得られたのは運が良かったとしか言いようがないが、法律以外の自力が試される場面は確かに用意されており、そこに限れば初学者であることは不利にならない。①と②の前提さえあれば、独学でも十分既習者に対抗できる。


■問題形式

◆五肢択一式
全体で216点分、54問が出題される。内、14問が一般知識からの出題となり、ここで6問以上を取らないと足切り。
正解肢を一つのみ選ぶ問題と、二つの組み合わせを選ぶ問題があるが、後者は1つでも確信が持てる肢があれば即座に2択または消去法で3択に帰着できるため実戦的にかなり粘りが利く。そのような形に持ち込むだけの正確な知識の総量が合否を分ける。近年消滅した個数問題において、この点はさらに顕著だった。復活した場合は正答率が確実に下がるので要警戒。

◆多肢選択式
憲法から1題、行政法から2題が出題される。1題ごとに文章が与えられ、20語の選択肢から4ヶ所の空所を補充する。一見まどろっこしいが、意味が隣接する選択肢をグルーピングすることで5択4つに変換できるものが大半。実戦的には文脈などを考慮することでさらに解答を絞り込めるので、択一式よりは解きやすい問題が多い。ただ、日本語に頼って解こうとするとどうしても迷うようには作られているので、やはり条文や判例の素読が重要な対策となる。

◆記述式
行政法から1題、民法から2題が出題される。記述量は1題につき40字程度。配点は1題につき20点で、部分点は最大で3ヶ所ほど想定される。
問題の指示はかなり細かく、解答パターンがいくつも考えられるような出題にはならない。ポイントを外せば大量失点に繋がりかねないので、題意には忠実に。
要求字数から言っても高度な論述を求めるものではなく、実体は単純な知識問題に過ぎない。択一式の頻出論点を正確に押さえることが、そのまま記述対策につながる。
採点基準はブラックボックスだが、年度によって一律でないことは確からしく、合格率の調整に使われているようだ。つまり行政書士試験は実質的には競争試験と考えて良い。よって、記述式を放棄したり、極端に頼った得点計画を立てるのは得策ではない。


■試験科目

<法令>

◆基礎法学
出題形式には一定の傾向があるが、範囲の広さと配点を考えると対策に時間をかけるべきではない。他科目の学習進度に伴って実践的には十分な解答力が身につくが、かといって安定するわけではない。一問取れれば上出来、無得点も覚悟する。問題冊子の冒頭に配置されているため、出鼻を挫かれて心理的に動揺しないように。

◆憲法
得意科目としている人が少なくないため、差をつけられないようにしたい。
中学校の公民で誰もが一度は大枠に触れているはずなので、初学者にとっては比較的手を付けやすい科目。
時間的に余裕があったり、受験自体を迷ってる状況なら、とりあえずこの科目から着手するのも悪くない。
条文は限られているので、出題パターンは出尽くしている感がある。
ただし、おそらく意図的に一問は難問が仕込まれているので、完答は意識しなくて良い。

○統治
統治機構について定めている条項は、条文そのものが問われる傾向にある。
素読を繰り返し、最終的には誤りの肢に感覚レベルで反応できるようになっておくのが理想。
とは言え、初学者がいきなり条文に向き合うのはあまり効率的ではない。例えば、第一章からいきなり「承認」と「認証」のように、日常的には意識しないような言葉の使い分けが問われるのだが、初見でそこまで注意を向けるのは難しい。どのような表現が問題化するのか、過去問と往復しながら眼を養っていくのが良い。

○権利
抽象的な権利に関する条項は、判例問題が中心となる。
とりあえず頻出の判例について結論部分だけでも見ておけば過去問に着手できる。違憲判決が出ているものは重要かつ数が限られているので優先的に潰していこう。
合格水準に達するには、最終的には結論のみではなく判旨まで読み込んでおきたい。ただ、行政法で改めて学ぶ判例もあるので、一度に覚え切ろうとはせずに少しずつ手を広げていけば良い。
やや裏技的だが、誤った肢を正しいと仮定すると現実の社会から矛盾を導けることが少なくない。本番で迷っても諦めずに考えること。

◆行政法
避けては通れない最重要科目。この科目を苦手にしたまま合格する受験生はまず存在しない。
一定の範囲から択一式だけで19問が出題されることに加え、知識問題が主体となる性質上、過去問の再現率も必然的に高くなってくる。
正確な知識があれば即答できる出題も多いので、模試などを解いてみて「時間が足りない」と感じた場合は、最優先で行政法択一式を強化する。

○行政手続法
3題出題。
まずは各用語の定義が重要。行政法を理解する土台となるばかりか、かなりの頻度でそのものズバリを問われている。記述式で出されても全く不思議ではないので、素読を繰り返して正確に書けるようにしておくこと。
最大の山場は適用除外。面倒な例外処理がいくつも羅列されており、過去問で繰り返し登場している危険地帯。まずは後回しで良いところなのだが、直前期にはすべて潰しきるつもりでいるように。

○行政不服審査法
2題が出題。
一連の不服審査手続きがどのように進行するのか、全体のフローを書けるように練習すると良い。教示の処理など場合分けが発生するものは条件を丁寧に見ていこう。
近年大きな改正が入っているが、改正の目的は制度の簡素化にあるので、条文そのものは理解しやすくなっている。
行政事件訴訟法との対比や、行政手続法における意見陳述の手続きなど、他分野との混同が起きると点数が伸び悩む。この辺りは間を開けずにまとめて勉強したい。

○行政事件訴訟法
3題が出題。
行政法において最も記述問題化されやすい分野。その趣旨の違いを念頭に、不服審査法と対比して理解することが重要。
「処分性」、「訴えの利益」、「原告適格」の判断基準は、判例問題の格好の題材となる。かなりボリュームがあるが、とりあえず結論のみでもキーワードから判定できるようにしておこう。

○国家賠償法
わずか6条の条文から2題が出題される。これほど覚え甲斐のある条文も珍しい。必然的に判例問題が大半となるものの、条文を正確に暗唱していれば処理できる肢も少なくない。
憲法で学ぶ判例がこちらで登場したり、民法との関係が論点になるなど、他分野との融合問題が作りやすいのも特徴。初回の学習はそこそこにして、関連分野を進める度に戻ってくるのが良い。

○地方自治法
3題が出題される。
参考書の一番最後に配置されていることが多く、息切れして手薄になりがちなので注意。他分野との関連が薄く単独でも学びやすいので、配列に囚われず早めに着手して構わない。
行政書士試験の中では珍しく具体的な数字の暗記が必要な分野。ここと会社法、憲法の一部はまとめて整理しておくと良い。
戦後の民主化を担う基盤として憲法8章に盛り込まれ、その要請により成立したという歴史的文脈は常識として知っておきたい。これを意識しているだけで判定できる肢に何度も遭遇した。
民主主義を追求する裏返しとして、国政に比べ自由主義的な価値が抑制されていることも重要な対比軸だ。

○通則
残りの6題は通則、または分野横断的な総合問題が出題される。
肢別に問われている知識そのものは、過去問を踏襲するものが大半である。
上述の内容に加えて特段の対策を取る必要はない。


◆民法
多くの受験生にとって最大の難所。学習時間は多めに見積もっておいた方が良い。
単発の知識やキーワードに反応して即答できるような問題は少なく、行政法のような早解きを試みるのは危険。一つ一つの選択肢を注意深く読み込み、論理的な思考を重ねないと正答にたどり着けない。
過去問への向き合い方も、行政法とは意識的に区別しないと経験値が不足する。
1050に及ぶ条文と、100年以上をかけて蓄積された判例が範囲となるため、問題のストックは無尽蔵。さらに、記述式の配点が高く、相対的に択一式の出題数が少ないことも、過去問の再現率を低めている。
とは言え、学習の中心が過去問であることは変わらない。過去の肢がそのまま再現されることは少なくとも、その周辺知識を問うような出題が大半である。解答の解説だけではなく、参考書や条文の該当箇所を確認しながら丁寧に問題を解くこと。
どうしても演習量に不足を感じたら、他の国家試験の問題を民法に限定して解くことを検討する。
司法書士の過去問は難易度に大差ないようで参考になる。ただ、それだけ出題の水準が高いとも言えるため、まずは宅建士や公務員試験などやや易しめの問題を使って基礎力を確認するのも有力。

○総則
出題は2題。
抽象的な議論になるため、初学者が一度に理解するのは難しい。
学習の開始時点で、少なくとも通則の基本原則と解釈基準には目を通しておくこと。

○物件
2題が出題。
初学者にとって分かりやすいのは所有権ぐらい。共有や管理行為の処理に注意。
占有権は所有権との対比で抑える。即時取得が頻出論点。
最頻出は担保物権であり、中でも飛び抜けて抵当権、次いで留置権が重要。それぞれの趣旨を念頭に対比して覚えると良い。
用益物権は地上権と地役権が重要。地上権の判例は難所だが、「交換価値の担保」という目的を意識する。
物権変動は事例問題として出されることが多いが、すべて図表化して正確に読み取る訓練を行おう。

○債権
総論と各論とで4題。さらには記述式においても最頻出であり、2問中1問はここから出るつもりで勉強する。
債権の発生原因には、メインとなる契約の他に、事務管理・不当利得・不法行為が存在し、後の3つから1題は出してくる。契約には更に類型が定義されているが、賃貸借や売買のほか、請負や委任も頻出。
債務が正常に履行され消滅する処理と、債務不履行のために損害賠償や契約解除が発生する処理という2つの流れを見失わないこと。
近年の大改正によって内容が大きく変化している。原則の簡略化や判例の条文化など、初学者にとっての負担はやや軽減されたはず。
改正点周辺はしばらく集中的に出題されるはずなので、予想問題などで演習量を確保したい。既習者との格差を埋める大チャンス。

○家族法
例年出題は1題のみ。ややコスト・パフォーマンスが悪いと感じるかもしれないが、知識問題となる率が高く、投じた労力が反映されやすい。配置的に後回しにされやすいが、初学者にとっては具体的イメージを持ちやすい論点も多いので、ここから手を付けるのもアリ。


◆商法・会社法
優先順位は低くせざるを得ないものの、完全に放棄しては他科目を圧迫するという、嫌らしい配点の科目。
実務的には重要度が高く、登録するつもりなら遅かれ早かれ深く学ぶことになるだろう。
出題範囲が膨大である一方、オーソドックスな出題が多い。頻出論点に絞って割り切った対策が必要。
捨て科目にするという戦略も考えられないではないが、適切な時間を投資すれば見返りは十分期待できる。どうにか2問以上は狙っていきたい。

○商法
例年1題が出題される。
民法の特別法という位置づけから、その対比が極めて重要。民法を早めに対策することが、学習効率に直結する。

○会社法
例年4題が出題される。
「所有と経営の分離」という基本理念と、財閥の存在を否定する民主化政策の一環という文脈を意識しておこう。
設立、株式、機関が三大頻出分野。過去問の再現も十分あり得るので、これらの分野だけは必ず潰しておくこと。
発起設立と募集設立、株主総会と取締役会など、対比的に整理できる箇所はチートシートを作ってみると良い。具体的な数値暗記が必要な箇所も同様に対策しやすい。


<一般知識>

◆政治・経済・社会
例年7題程度、各分野から幅広い知識を問われる。
しばしば理不尽にさえ思える突飛な出題がなされ、自力勝負になりがち。そうした問題はマニアックな知識を問うのが目的ではなく、他の法令科目の要求水準を引き上げるために配置されていると考えよう。
一方で、頻出分野も確かに存在するため、メリハリをつけた対策が必要。
最頻出かつ時事的な要素に左右されない領域として、応用範囲の広い戦後政治経済史を概観しておくのが有力。せいぜい高校レベルの知識で構わない。
時事問題に関しては過去問よりも模試や予想問題集が参考になるが、気休め程度である。普段読まない新聞とかを読み出すのは最悪なので絶対にやめること。

◆情報通信
例年4題程度が出題される。
関連法規(個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、情報公開法、公文書管理法)から必ず1問は出題される。範囲が限られている上に、総則を中心に特定の条文が繰り返し出題されている。わずか4点だが、対策によって確実に正答率を上げられる4点なので、ここだけは手を抜かないように。
その他には関連用語の説明などが頻出だ。情報技術の利用者としてごく一般的な水準で、専門的内容とは決して言えないが、無関心な人には厳しいかもしれない。用語集のようなもので対策できなくもないが、効率が悪いのでおすすめしない。

◆文章理解
確実に3題全て取りにいこう。
一般的な新書レベルの文章が、高々1頁半。精読が要求されるような出題ではないので、大学入試を経験していればかなり簡単に感じるはず。
並び替えや空所補充など、形式は単純かつ一定しており、選択肢から絞り込みをかけていくような解き方を練習すれば、一問につき一分もかからず即答できる。仮にそれが難しくとも、この試験は180分で180点を取れば良いのだから、確実な12点のためなら12分まで投入しても釣り合いが取れている。くれぐれも頭から解いていって手が回らなくなるようなことがないように。

■得点計画
改めて総合的な得点計画を検討しよう。
合格基準は総得点の6割に相当する180点である。「6割」という数字を考えるとごく標準的な試験に思えるが、実際には一般知識や基礎法学などのように対策困難な科目や、採点基準の不透明な記述式が存在することで、「取るべき科目」には見た目以上の負荷がかかっている。
その科目とは憲法・行政法・民法の3科目であり、法令択一のほぼ全得点をこれらで確保する。問題数の少ない憲法と民法はそれぞれ半分を超える3問と5問、行政法は8割相当の15問を狙いたい。残りの基礎法学と商法・会社法でもう2問をかき集め、25問を目安としてみよう。
択一式における憲法と行政法の目標得点率を当てはめると、多肢選択式では16点以上が欲しい。完答1つと半答2つに相当する。
一般知識は、文章理解と情報関連法規の4問を死守。残りの10問中2問を正答して足切りを回避する。10題分は確実な対策が難しいとは言え、塗り絵をしなければならない問題ばかりではない。平均して2択まで絞れるとして5問、合計して14問中9問までは期待が持てる。
このような見積もりで152点。残りの28点を記述式で取り切る。完答1問と部分点1ヶ所に相当する。採点基準や相性に関わらず確実に狙える得点としては、この辺りが妥当ではないだろうか。

以上は皮算用に過ぎないし、得意不得意によって多少変動するだろうが、「取るべき科目」に相当な負荷がかかっていることだけは読み取って頂きたい。対策が難しい一般知識で9問、記述式で半分弱というのは、かなり「頑張った」数字と言える。それでも「取るべき科目」では部分的に8割以上のパフォーマンスが必要となるのである。もちろん「取るべき科目」の中にも正答率が20%台になるような難問や初出の論点が混在しているのだから、過去問において既出の知識については100%に限りなく近い精度を目指すべきである。


■学習計画

対策の主軸は法令択一式の過去問演習だ。学習時間の大半をここに投入する。
初学者だからと言ってダラダラと教科書を頭から読み進めていては対策が間に合わない。
出題範囲の大枠を概観したら、とにかく一刻も早く過去問に着手する。
市販の過去問集は10年分程度を収録しており、最終的には全ての肢を根拠付きで正誤判定できる状態を目指す。
毎年大小の改正が入るので、必ず最新版を使用すること。年度ごとではなく論点別に整理されているものが良い。

どうせ何周もすることになるから、各科目の学習順はそこまで気にしなくて良いが、とにかく早い段階で民法に着手することが重要だ。それと平行して憲法・行政法の過去問を解いていく。商法・会社法や情報関連法規は主要科目がある程度完成してからでも間に合うし、その方が効率が良い。

解き方は分野によって少し変える必要がある。
行政法、憲法、会社法、情報関連法規など過去問の踏襲率が高い分野は単純で、とにかく選択肢の正誤を根拠付きで丸暗記してしまえば良い。教科書は解説が理解できないときに限って辞書的に参照する。教科書よりも条文の素読に力を入れた方が良い。手続き法の条文は、それ自体がそのまま選択肢化する可能性が高い。
一方、民法や商法などの実体法では過去問が再現されることは稀なので、周辺知識まで押さえなければ意味がない。選択肢ごとに教科書や条文を参照し、論点を整理し直す作業が必須である。そのため一題にかかる負担は手続き法よりもかなり重くなる。問題の難易度そのものも高く、一定の解答力がつかないと成果を実感しづらいこともあり、勉強時間は多めに見積もっておかないと計画が狂って焦ることになる。本試験の過去問だけを解き込んでも良いが、先に宅建士など他の国家資格の問題集からステップアップを図る計画にしても無駄になりにくい。

行政法と民法の択一式を一通り解き終えた段階で、記述式の対策に着手できる。
といっても、結局やることの大半は法令択一式の過去問演習に帰結する。それが記述対策につながるように学習の質を変えるだけだ。
記述式の過去問を一巡すれば、択一式の頻出論点がどのように記述問題化するかが見えてくるはずなので、その点を意識しつつ再び択一式に戻ろう。
特に条文をそのまま書かせるような問題はヤマが張りやすいし、素読の経験値がそのまま活きる。知識の精度が上がることで択一式の正答率にも貢献するので一石二鳥だ。
過去問の大半を正答できるようになったら、記述式の問題集に着手し、さらに演習量を重ねていく。

商法や情報関連法規を含め過去問が完成に近づいたら、模試や予想問題に挑戦できる。
合格点に届かなくても焦る必要はないが、時間管理だけは厳しく練習しよう。
この試験は各分野の問題数や配列が一定しているので、どこから解き初めて何分で次に行くのか、自分のパターンを作っておくと良い。
解いた後は過去問と同じく選択肢を全て根拠付きで正答できるように復習すること。

問題演習に並行して、分野横断的な学習を進めていく。
知識の総量が増えると、それまで起きなかった混同を誘発することがある。
その対策として、A4用紙数枚に頻出論点を周辺知識とともに整理し、自前のチートシートを作っていくと良い。実際に持ち込むわけにはいかないが、「もし持ち込めたら絶対受かる」と言えるような完成度を目指してエッセンスを凝縮させよう。
直前期は知識の精度を高めることが何より重要である。焦って新しい参考書に手を広げたりするのは負けパターンなので厳禁。それまで積み重ねてきた努力を試験会場に忘れず持っていく準備をしよう。


■参考書

実際に使用した教材を列挙する。

○過去問
https://www.amazon.co.jp/dp/4844958321/
https://www.amazon.co.jp/dp/484495833X/
最重要。法令択一式は最初から最後までひたすら解きまくる。情報関連法規以外の一般知識は一回しか解かなかった。
分野別に配列されており、肢別の解説が丁寧なものが良い。正答率のデータが載っているのも参考になる。

○入門書
https://www.amazon.co.jp/dp/4478065098/
受験自体を検討している段階で一読した。
対策に直結するわけではないが、法律的なものの見方や考え方の大枠にふれることは、初学者にとって最初のハードルとなる。

○教科書
https://www.amazon.co.jp/dp/4426125812/
https://www.amazon.co.jp/dp/4426125677/
https://www.amazon.co.jp/dp/4426124913/
https://www.amazon.co.jp/dp/4426125782/
国家試験一般用のテキストを使用。
口語調で豊富な具体例を用いつつ、初学者にも分かりやすく説明されている。
特に民法は体系的な理解がないと歯が立たないので、多少ボリューミーでも解説が丁寧なものを選んだのは正解だった。
行政法や憲法に関しては、もっと行政書士試験に特化したものを選んだほうが効率的だったかもしれない。
民法はやや丁寧に一読、それ以外は目次と見出しから出題範囲の構成を把握しただけで過去問に直行した。

○要点集
https://www.amazon.co.jp/dp/4532415470/
直前期の知識整理のために使用。頻出ポイントを凝縮したチートシートが収録されている。
分野横断的な学習を進める過程で、どうしても隣接する知識との混同が生じたりするので、一冊あると便利。
もう少しコンパクトな教科書シリーズを選んでいれば不要だったかもしれない。

○行政書士試験六法
https://www.amazon.co.jp/dp/4847147103/
条文の素読を行う際に参照した。出題歴のある頻出条文が一目瞭然。
正しい条文を覚えた者勝ちの行政法、憲法、情報関連法規において絶大な効果を発揮する。
さらに行政法はここから虫食いを作ることで記述式対策にも使える。

○記述式問題集
https://www.amazon.co.jp/dp/4813294383/
オリジナル問題が豊富で、予想問題集として機能する。
過去問とこれ一冊で、十分な経験値を積むことができる。

○模試
受験者数ではLECと伊藤塾がツートップ。
直前期の貴重な半日をかけるのでスケジュールとも相談すべきだが、他の受験生に差をつけられないためにも、できれば両方受けたい。
各社とも的中を意識して問題を作っており、良質な予想問題集が手に入る。
難易度は本番よりやや辛く設定されていることが多いので、点数に一喜一憂する必要はない。過去問と同じ要領で復習に徹すること。

○予想問題集
https://www.amazon.co.jp/dp/4844958364/
模試を受けてもなお演習量に不安がある場合に追加。順位など出ないが、ワンセットはお値打ち。

○宅建士の過去問
https://www.amazon.co.jp/dp/4813294200/
分野別に切り離せるので民法のみ使用した。
本試験に比べると相当単純だし問題数も少ないが、だからこそ基礎力の確認に役立った。
もっと演習量が欲しければ公務員試験のものが良い。

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