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銭湯をリブランディング。若年層に銭湯を知ってもらいたい【後半】

記事コンテンツで「若年層」「女性」へ銭湯の認知を広げる

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「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」(以下「東京銭湯」)の基本的な記事コンテンツは銭湯の取材をし、普段銭湯に馴染みのない読者の皆さまにまずは銭湯を知ってもらうことを心がけました。銭湯を知らない人からすれば「どこにあるかも知らない」し「古そうな外観の奥にはどんな設備があるのかわからない」し、「銭湯ってそもそも何?」と、実は銭湯がお風呂屋さんだと知らない人さえいます。

まずはそういった人に向けて銭湯を認知してもらい丁寧に紹介する必要がありました。そして認知をしてもらった次は、実際に銭湯へ行ってもらうために入浴マナーの啓蒙をし、銭湯へ「マナーの良い新しいお客さま」を増やすことで収益増加のお手伝いが出来ればと考えました。その後は銭湯のマーケット化や若者の新しいリクルーティングの場としての認知を呼び込み、収益・人材のサイクルを作ることで銭湯の活性化につながれば良いなと思いました。

「入浴客を増やす」に止まらず銭湯自体のコンテンツ力を上げ、活性化していきたいと考えていましたが、始めた当時はまだ一般的には銭湯のコンテンツ力はそこまで知られていませんでした。そこで他の人気コンテンツと組み合わせることにより、銭湯ファン以外のユーザーに銭湯を知ってもらえるようなコラボ企画記事(前半記事でのバスクリンさん・ITメディア「モデラボ」さんとのお取り組みなどもその一例)の配信に勤めました。

「若年層」「女性」へ銭湯の認知を広げるための記事コンテンツマーケティング

「東京銭湯」1年目の企画としては「ゆはかわいい」が代表的な記事コンテンツでした。「ゆうこす」こと菅本裕子さんなど、Twitterで数万・数十万規模のフォロワーさんがいるようなアイドルやモデルの方を「ゆめかわいい」テイストで銭湯で撮影し、フォトコンテンツとして配信していく企画でした。これにより既存の銭湯ファンだけでなく、アイドルやモデルの方の多くのフォロワーさんにリーチさせることにより広く「銭湯」の存在を知ってもらえました。そしてこの企画でも「若年層」や特に「女性」へのリーチを狙いました。

第七弾:『昭和浴場』×『菅本裕子(ゆうこす)』

企画自体はカメラマンの「みてぃふぉ」ちゃんとヘアメイクの「hitomi」ちゃんがうちに問い合わせて提案してくれたのと、海外向けのカルチャーメディア「Tokyo Girls Update」が女性向けにフォトコンテンツを求めていたタイミングが合致し、一緒に制作していくことになりました。

撮影銭湯のアサインは僕の仕事でしたが、当時はまだ各銭湯とそこまで関係値がなかったのでなかなか苦労した記憶があります。そもそもメディアタイアップなど、メディア運営に関することは全て初めてだったので、日々勉強しながらのアウトプットでした。

「ゆはかわいい」のようなフォトコンテンツでは、まだ銭湯に行ったことのない若年層に対して、

・銭湯は古いのではなくレトロ可愛いという価値に変換
・銭湯には若年層も行って良いんだという肯定感を持ってもらう

ということを念頭に記事を配信していきました。

他にも取材記事では同行してくれた若いメンバーや女性メンバーと一緒に撮った写真を記事内に載せたりしていました。これは記事コンテンツを通して「若年層」「女性」が銭湯にいる状況は自然なことで、みんな銭湯に行っても良いんだと思ってもらえれば、と載せていました。

記事中に載せたメンバーの写真

ブランディングの方向性を決め、共感してほしいターゲットを明確にする

ここまでサイトデザインや記事コンテンツの話を通して「東京銭湯」のブランディングについてお話してきました。
銭湯の良さを知ってもらうためにメディアを始めましたが、従来の銭湯に寄り添ったデザインや記事コンテンツだとどうしても既存の銭湯ファンの皆さま向けにしかならないので、「若年層」「女性」をターゲットにしたブランディングをすることにより、既存の銭湯ファンの皆さま以外の層にも銭湯を知ってもらうことが出来るようにしてきました。

「若年層」「女性」に向けたのは、銭湯の入浴客の中では明確に取りきれていない層だと感じましたし、なにより銭湯文化を広げていくためには「若年層」「女性」への訴求が欠かせないからです。カルチャーを作っていく、広げていく層はいつも10・20代であり、女性が作り出すコンテンツは共感を産みやすく、広がっていきやすいからです。

このターゲッティングは対外的なことだけではなく、「サイトが可愛いので参加したいと思った!」と言ってくれる女性メンバーも多く、現在「東京銭湯」は、メンバーや関わってくれている人達の中で一番多い層は20・30代の女性です。

「東京銭湯」1年目から祝茉莉ちゃんに記事を書いてもらったり、女性による銭湯レビュー記事やアイドルコラボ記事など、始めた当時から「東京銭湯」では女性の活躍が目に付きます。女性ライター用に「銭湯女子部」カテゴリーがあるくらいです。現在もメディアは女性が編集長で「東京銭湯ふ動産」も女性が代表で、「喜楽湯」でも今や女性番頭が誕生しました。皆さんそれぞれに「東京銭湯」で達成したい目標(自己実現)に向かって活動してくれていたり、「東京銭湯」のコミュニティでみんなと繋がり、楽しんでもらっています。

祝茉莉ちゃんによる銭湯紹介記事「祝湯日記」

女性ライターによる取材記事

ママライターが子供と行く「お母ちゃん銭湯記」

最近では「東京銭湯」とも一緒に企画をやることが多い「SENTO FOREVER」という20代の女性デザイナーグループが今とても勢いがあります。このお盆休みの前半に「東京銭湯」の女性デザイナーの大竹も一緒に参加して作り上げた「湯沸かし市」はとても話題になり、2日間大盛況でした。もちろん元々クリエイティブに対するレベルが高いことが前提ですが、やはり女性の「共感力」や「発信力」はすごいなぁと感じたイベントでした。(SNSで「湯沸かし市」で検索してみてください!笑)

銭湯関連のクリエイターで作り上げたグッズ販売イベント「湯沸かし市」

と言う訳で、長く色々と書いてきましたが、デザインとは単にビジュアルを作る行為だけに止まりません。「東京銭湯」ではVIをしっかりと組み立て、記事コンテンツも同じ思想でアウトプットをしてきました。それによりブランディングの方向性がしっかりと示せれば、ターゲットに共感してもらうことでファンになってもらえ、更には活動を共にするメンバーになってもらうことも出来ます。

結果「東京銭湯」内外で、メンバーのみんなや読者の皆さまと一緒に「銭湯を新しくしていく」活動を今まで推進して行くことが出来ました。これにより僕らの活動は、僕らが好きな銭湯に対してささやかながらも集客のお手伝いが出来た部分もあるかなと思っています。

以上がこの4年間「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」でやってきたブランディングのお話でした!

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