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【I-L】 600 HIPHOP VINYL RECORDZ -CLASSICS OF THE 90’s n 00’s- BY SHOTAHIRAMA

I-


Ill Al Skratch “Chill With That” (1995)

Big IllとAl Skratchによるブルックリンとハーレムエムシーズが、デビューアルバム「Creep Wit’ Me」からシングルカットした本作。ダークメロウなオリジナルに、より悲哀感を増した"胸締め付ける系"エモめストリングスを被せたEasy Mo BeeリミックスのA1がめっちゃよい。B3で聴けるMinnesotaのベースラインだけでひっぱるダブミックスもやばい。

Ill Biskits “Chill Factor / Hypnotic Blessings” (1996)

BuckwildがSurfaceネタでプロデュースした1枚目「A Better Day」が個人的にも、そして世間的にもアングラ百選級のクラシックということもあり、みんな忘れがちの本作2ndシングル。Isley Brothers「Voyage To Atlantis」ネタのRnBテイストなスウィートブーンバップ。バージニア産の田舎メロウ、たまらん。

Ill Biskits “God Bless Your Life” (1994)

元ネタのSurface「Closer Than Friends」がまずもって名曲よ。因みにShyheimの「This Iz Real」も同じネタだが、あちらのが原曲まんまに近いピッチでキャッチーに響くのに対して、こちらはスロウ。ピッチさげただけでこんなにエモくメロウになる

94年リリースの07年再発が神懸かった1枚だという事でなんとかゲット。ヴァージニアの田舎ラッパーが絶頂期のBuckwild(DITC)によるプロデュースで残したニューヨークアングラ史屈指の名曲「A Better Day」は切なく哀愁漂うエモーショナルメロウで聴きごたえ満点、まじで大好き。オリジナルには未収録だしね、ちなみにネタはニュージャージーのディスコソウルなSurface「Closer Than Friends」をネタに使ってる。また同じくDITCからファンクの帝王Lord Finesseによるプロデュース「22 Years」もめちゃくちゃかっこいいし、なんだかもうDITC好きには堪らない1枚。

Illegal “Back In The Day” (1993)

フィリーヒップのソロマイカーとして、そしてDef Squadの一員としても活躍するJamalがかつてMr.Malikと組んでいた幻のキッズラップユニット。ソロ期とおなじくアトランタのRowdy Recordsから93年にリリースされた唯一のアルバム「The Untold Truth」(ローフィネやDiamond D、ビズ・マーキーらがプロデュース参戦)よりシングルカットされたリード曲。声変わりすらしていない2人の子供がATCQ「Excursions」からの一節”back in the days when I was a teenager”をサビに仕立てて可愛くかっこよくディスコファンキンなベースラインに乗せて歌い上げるA1のRowdy Main Mixがすこぶる良い。こんないい曲聴かなきゃ損する。が、バックサイドのアルバムバージョンはダラダラ気怠るくレイドバックしたサウンドで正直まるで別物なのでLPから入る人は注意。

Illegal “Head Or Gut” (1993)

後のフィリーヒップ代表格Jamalがまだ声変わりすらしていない少年時代に組んでいたキッズユニットIllegalのデビューシングル。とはいえ、クール&ザ・ギャング「Jungle Boogie」ネタを使ったヘヴィファンクなブーンバップに、甲高い声でKris Krossをディスるそれは最早ストリートファイト(この時期何故か繁栄した子供ラップシーンでは犬猿の仲)。プロデュースはEPMDのエリックサーモン。すげぇかっこいい。舐めたらあかん。

Illegal “We Getz Buzy (Remix)” (1993)

Da YoungstasやKris Krossなどと共に仲悪くも子供ラップシーンを牽引したRowdy Recordsの看板ユニット。片割れは後のJamal。活動期間が極端に短く、彼等唯一のアルバムリリースとなった「The Untold Truth」からエリックサーモン作トラックを抜き出した1枚。なんとDITCからDiamond Dがリミックス。イルじゃなくて、リルなラップと、やたらとホーンにディレイやリバーブがかかるトリッキーな怪しげ系ハードコア。

Indelible’s “Weight” (1998)

バックサイドは沖野修也率いるBMSで、一応スプリットとゆうことになるのだが

Run The Jewelsで一躍セレブの仲間入りした男もかつてはブルックリンヒップの異端児と呼ばれていて。そんなEl-Pを中心にMr.Len、Bigg Jussと3人で結成されたトリオCompany Flow。名物ラジオDJのBobbitoが運営するレーベルFondle’Emで活躍したソロマイカーJ-Tredsにブロンクス出身のトリオJuggaknots、以上の3組が合体した計7人による夢の混合チームこそIndelible’s。アブストラクト、アンダーグラウンド、濃すぎるMC陣に一切負けないMr.Lenの変則ダウンビート。普通じゃいられない。

Indelible Mc’s “Fire In Which You Burn” (1997)

群雄割拠のブルックリンで特別オルタナティブな存在だったグループがかのCompany FlowやJuggaknots、J-Tredsら。そんな彼らがポッセを組み、EL-Pをプロデューサーに据えた無敵12インチを制作。アブストラクトなサウンドが病みつきになるシタールネタに、プログレな変則ビート。息継ぎなしのマイクリレーにフックは無く、なんたる切迫感。シリアスアンダーグラウンド、レーベルは勿論Rawkus。

The Infesticons “Gun Hill Road” (2000)

90年代はアングラソロマイカーだったボストンの破天荒エムシーMad Laddによる一大プロジェクトThe Infesticonsが、錚々たるメンバーを集めて完成させた魂の2枚組コンセプトアルバム。ジャズヒップなんて洒落たもんはここに無く、あるのはアブストラクトの美学、ノイズのようなビートに攻撃的なスクラッチと詩的なスピット。とことんアヴァンでオルタナティブなヒップホップだけが閉じ込められている。Company FlowのMr Len、Def Juxからのリリースで知られるRob Smith、Warp所属Antipop ConsortiumからPriestとBeansなど、レーベルはNinja Tune傘下のBig Dada Recordingsから。納得でしょ?思ってる音量の3倍上げめで聴いたらいい、すんごいから。

Insight “Crooked Needle On A Square Record” (2003)

05年にボストンのBrick Recordsからリリースされる「Night Ship Delivery Vol 1.2」とは、デザインも内容も瓜二つだが(ジャケはKarmaというデザイナーによるもの、なんだかミニマルで好き)個人的にはこちら、言ってしまえば本作をInsight入門盤におすすめしたいほど。ボストンのジャズヒップグループElectric Company(Electric)からトラックメイカーInsightがソロでリリースした全編ジャズネタサンプルベースのインストアルバム。シットバックアンドリラックスなメロウサウンドと飾らない強過ぎない弱過ぎない身体によいキックとスネア。彼の代名詞である"日常系ブーンバップ"が最も色濃く出た1枚かなと。

Insight “Mental Mechanic” (2001)

Scienz of LifeやOktober、Mr. Complex等ゼロ年代系アングラヒップに注力するマイナーレーベルRaptivismから

PUTSやSound Providersあたりが好きな人には恐らく馴染みあるボストンのジャズヒップグループElectric Company(Electric)から、トラックメイカー(兼エムシー)Insightがソロでリリースした1枚。Electric Company通は納得、本作ではジャズ色が薄くなったもののサンプリングビルドなサウンドで相変わらずブンブンバップ。インストはたまらん。ボストンアングラの屋台骨であるBrick Recordsを中心に今もなお精力的にリリースを続けてる。

Insight “Night Ship Delivery Vol 1.2” (2005)

ボストンを拠点にかつてはMission:(現在はカリフォルニアでCrown City Rockersを名乗る)らと共にジャズヒップシーンを牽引したグループElectric Companyから、主にトラックメイクを担っていたInsightのソロアルバム。17曲も収録されていて、勿論すべてがインスト(A8のみボストンソロマイカーSonduが参加)。全編ジャズマナーのブーンバップトラックは、基本的にはそのルールに従ったお行儀の良いものばかりなので、良くも悪くも何も起こらず起伏はなくただただフラットにリラックス。なにか作業をしながらでも良き、目を瞑って耳を傾けてレイドバックからのチルでも良い、なんでもない日にもってこいな日常系ビーツ集。

Inspectah Deck “Uncontrolled Substance” (1999)

RZAは勿論、マセマティックスやピート・ロックにラージ・プロフェッサーまで超絶豪華なプロデュース陣営で繰り広げるヘビー級の2枚組LP。ウータンきっての隠れ人気キャラ、他のメンバーらに比べれば地味だしこれといったヒット曲もないけど、きっとみんななんとなく好きなはず。

Invisible Inc “The Upperhand E.P.” (1998)

日本の血も流れているAkira 8は後にアメリカ本土へ移住し、EmircやTassho Pearce(本名)と名義を変えQ-BertやDJ RhettmaticさらにはDilated PeoplesのBabuにEvidenceなど西海岸のアーティストらと活動するソロエムシーへと転向

Akira 8(The Humanakasというクルーでも活動)を中心に、Ha’oそしてSyze-1から成るホノルルを拠点に活動するハワイアン・ヒップホップトリオのデビューシングル。活動期間が短く、リリースは本作含め2枚の12インチだけ。トラックはネタを感じさせないミニマルなブーンバップスタイルで、マイクリレーは楽しいし文句なしにかっこいいが肝心のハワイ感がある訳ではなかった。それより個人的には常夏のリゾート地でヒップホップマインドを掲げてるアングラ感に感無量。

The Isolationist “Hydrogen Slush” (1998)

Ninja TuneやBig Dada等と共にUKアブストラクトを牽引するJazz Fudgeから1枚。このグループ、沈鬱系ポエトリーライミングでマイクをパスするのはNYCからAntipop Consortiumの3人。ドス暗サウンドコラージュはUKターンテーブリストDJ Prime Cutsで、すべてを掌るダウンビーツマエストロはDJ Vadim。ヒップホップの異端児たちが結合した結果がこれ。緊張感えぐい。

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Jamal “Fades Em All” (1995)

Def Squad(EPMDのエリック・サーモンやレッドマンが所属するスーパーグループ)のメンバーでもある彼らしい唾吐きラップが鬼クソかっこいい

93年にアトランタのRowdy RecordsからLPを1枚リリースしていたフィラデルフィアのデュオIlligalが実質1年で消失し、その後出てきたのが片割れの天才スピッターJamalな訳で。そんな彷徨えるマイナーフィリーMCが、95年Rowdyからリリースしたソロアルバム「Last Chance, No Breaks」に収録されていたレッドマン(Reggie Nobel名義)とロックワイルダーでプロデュースしたヒットシングルを、本作でなんとPete Rockリミックスを披露。ネタはカンタベリー系ジャズプログレ・ソフトマシーン「Moon In June」で、なんとも形容し難い気怠いサウンドがあがったりさがったりする情緒不安定な不穏トラック。絶対A2収録のアルバムバージョンが好き。

Jay Dee “F**k The Police” (2001)

ベルギーのヴァイオリニストRene Costyが72年に残したジャズファンク「Scrabble」で聴ける物騒なブレイクビーツに、唾を吐き捨て拳を突き上げながら捲し立てる痛烈ポリティカルなスピット。これほどモチベーションハイになる彼は珍しいのかも。黙って正座して聴くか、一緒に街へ出て戦うか。01年、デトロイトポリスを告発したディラの生き様が此処にある。

Jay-Z “Can’t Knock The Hustle” (1996)

JayとJのデュエット

この曲好きなんだよなぁ。ブルックリンのジャズ〜フュージョン・ベーシスト、マーカス・ミラーのエロいベースがめっちゃ渋い名曲「Much Too Much」をEQで曇らせた下地に、Jayのクールなラップが見事にはまる。艶やかな、艶々な、アダルトなサビ部分はメアリーJブライジの独壇場。ブルックリンズ・ファイネストエムシー、傑作デビューアルバム「Reasonable Doubt」からアルバム冒頭を飾る人気曲のシングルカット。

Jay-Z “Dead Presidents” (1996)

表題曲はレアグルーヴ界隈では名が通るピアニスト、ロニー・リストン・スミスによる哀愁感半端ないメロディが印象的な「Garden Of Peace」をネタ使いした初期JayZクラシック。ちなみにコーラスはNasの「The World Is Yours」フックをサンプリング(無許可だった為ビーフに発展するが現在は和解)。バックサイドではEPMDやGrandmasterらも使っていたホール・ダーン・ファミリー「Seven Minutes Of Funk」のくっそファンキーベースをまんま。Foxy Brownが共演してます。やべーかっこいいフォキシー!

Jay-Z “Feelin’ It” (1997)

あーかっこいい。初期ジェイの作品はダンディでフォトジェニックなジャケが多い。ナイトクラブ感満載なジャジー名曲。お洒落なジェイがみんな好き。ニューヨーカーは違うね。ピアニストのアーマッド・ジャマル「Pastures」をネタに雰囲気たっぷりの女性コーラスでブラックに爽やかに。ニューヨーカーは違うね。おまけでバックサイドにはプレミアリミックスの「Friend Or Foe」が収録。あーかっこいい。

Jazz Liberatorz “Backpackers” (2006)

3人のパリジャンビートメイカーズ(DJ Damage、Dusty、Madhi)から成るフランスジャズヒップチームJazz Liberatorzは、結成当初からエムシーというポジションが在せぬ編成である為、毎度ゲストエムシーを招集するのがお決まり。例えばDudley PerkinsやWild Childなど、個人的にはたまらないLootpackまわりからも呼んでみたりと毎回その豪華な顔ぶれにワクワクするのだが、本作には遂に?PharcydeからレジェンドFat Lipが登場。表題曲もやたらとカッコいいが、アメリカ人としてラテンジャズの繁栄に貢献するカル・ジェイダー「Invitation」で聴けるヴィブラフォンをネタに使ったバックサイド「My Style Is Fly」が甘くて美しい。ジャズリベらしさという意味ではバックサイドかな。両曲共に09年発売の2ndアルバム「Fruit Of The Past」に収録。

Jazz Liberatorz “Ease My Mind” (2007)

ジャケデザインが60年代オークランドで繁栄したスピリチュアルジャズ系レーベルBlack Jazz Recordsの作品群に似ている。フランスのレーベルKif Recordingsより

フランスで99年に3人のビートメイカーによって結成されたジャズ濃度120なヒップチームが、マーヴィンの「Trouble Man」を使ったバックサイド「Cool Down」がソウルジャズな仕上がりでめちゃくちゃかっこいい1枚。因みに、ボストンのジャズヒップグループMission(後にカリフォルニアへ移住してCrown City Rockersへ改名)からエムシーRaashan Ahmadが参戦。ところで、表題曲にはファーサイドからファットリップも参加するなど本国でもなかなかのグループから選りすぐりのエムシーが参戦しているっていう。ソウルフルなジャズに仕上がっていて、見事にヒップホップ。彼等のLPは是非聴いてもらいたい。

Jazz Liberatorz “Force Be With You” (2005)

DJ DamageとDusty、Madhiの3人によるパリジャンビートメイカーチーム、ジャズリベが09年にリリースする2ndアルバム「Fruit Of The Past」から先行でリリースした12インチ。ゲストエムシーはカリフォルニアのフィメールラッパーT.Loveで、お互いの良きところがうまく相互作用し最高にリラクシングな雰囲気のなか目を瞑ってただゆらゆら揺れるだけであっとゆうまに終わってしまう。ジャズギタリストWes Montgomeryのスウィートメロウなクラシック「Theodora」で聴けるトランペットにトロンボーンなどの金管楽器が主旋律を、隙間隙間にウェスの優しいアルペジオが、これはもうネタが無敵なのでサンプリングの時点で勝負有り。

Jazz Liberatorz “Music Makes The World Go Round” (2004)

DJ Damage、Dusty、Madhi、3人のパリジャンから成るジャズヒップチームがカリフォルニアはオックスナードでMadlibと共に数多くのソウルヒップをリリースしていた名物シンガー兼ラッパーのDudley PerkinsをDeclaime名義で召喚。個人的には俺得コラボだが、実はAloe Blaccをヴォーカルに据えた03年リリースの12インチ「What’s Real…」のバックサイドに収録されていた「What’s Next On The Menu?」に続く2作品目の安定コラボ。前回はほぼ鼻歌のような、独り言のようなものだったが、本作はがっつりしっかり歌う所謂ヴォーカルを真っ当に務めているものなのでいよいよ本編突入という感じ。ネタもソウルジャズだし、モタっとしたビートメイクといい、ジャズリベがMadlibに寄せた訳では勿論無いのだろうが、彼が歌うと全部そう聴こえるのは凄いよなぁとか。

Jazz Liberatorz “What’s Real” (2003)

ジャズリベ劇場開演を告げる、パリジャンジャズヒップトリオらによる記念すべきデビューシングル。DJ DamageとDusty、Madhiの3人のトラックメイカーから成るフランス代表はゼロ年代ジャズヒップを牽引する重要な役割を担う事になるのだが、そんなこと知る由も興味すらも無いかのようにクールにスムースにジャズでヒップしてホップする訳で。本作のリラクシングなヴァイブスを聴けば一聴瞭然。レアグルーヴの祖、ギル・スコット・ヘロン「Peace Go With You, Brother」から"Peeeeaaaceee〜"のメロディをピッチあげてループさせた優美なソウルジャズネタ。被せてラップに取り掛かるのはAviciiとの共作で知られるネオソウルシンガーAloe Blaccだ。バックサイドにはDudley PerkinsがDeclaime名義で鼻歌をふかす隠れ名曲「What’s Next On The Menu?」が収録。

Jazz Liberatorz With Wildchild “After Party” (2004)

フランスKif Recordingsから看板パリジャンビートメイカーズ、Jazz Liberatorz、キャリア3枚目のシングル。毎作ゲストエムシーを迎えるスタイルでお馴染みだが、今回やってきたのはカリフォルニア・オックスナードのMadlib率いる伝説クルーLootpackからMC Wildchild。彼の高速スピットとは相性バッチリな表題曲は、アート・ブレイキー& The Jazz Messengersのメンバーでもあったサックス奏者Ramon Morris「First Come, First Served」で聴けるジャズファンキンなバッキバキベースラインを使ったジャズリベ屈指の人気曲。アルバムバージョンに加え、2種のアルバム未収録ミックスがこの12インチで聴けるので是非。特別、バックサイドに収録されているBreissというアングラパリジャンによるリミックスが良い。

DJ Jazzy Jeff “The Magnificent EP” (2002)

かつてはフレッシュプリンスと名乗っていたMIB俳優ウィル・スミス(なんとなく今話題ね)とユニットを組むなど、80年代から活動し続けヒップ史への功績はまさに"偉大なる"レペゼン・フィラデルフィアDJジャジージェフ。そんな彼が02年にリリースした1stソロアルバム「The Magnificent」から最初の12インチカット。ジャズギタリスト、ジョージ・ベンソン世紀のメロウクラシック「Face It Boy, It’s Over」で聴けるあのフレーズをスタジオミュージシャンらで演奏カバーした「For Da Love Of Da Game」がめちゃくちゃいい曲!近年の現行ソウル勢、全員気絶するぐらい甘い甘いスウィートソング。ディラをプロデューサーに据えたSlum Village参加のA2や、ゼロ年代以降のトラックメイカーに絶大な人気を誇るKev Brownがプロデュースした楽曲も。まぁ兎にも角にもA1ね、まじで大好き。

Jerry Beeks Feat. Sense Live “Hungry” (1999)

英国はロンドンにてThe CreatorsやVinyl Dialectなど、地元のマイナークルーからUSのビッグネームものまで、すべてアングラの括りで良質ヒップをとりまとめていたレーベルBad Magic(親レーベルはWall Of Sound)。本作はそんなレーベル生え抜きのブロンクスMC、Jerry Beeksの12インチ。フロントサイドではドリーミーに、バックサイドではジャジーに、そしてボトムスはUKらしくスモーキーなブレイクビーツで決めて歌わせる良作。

Jeru The Damaja “Come Clean” (1993)

東海岸の一大派閥といえばプレミア率いるギャングスター・ファウンデーションだが、なかでもジェルーのこの12インチはかなり印象に残っている。ジャズドラマーのシェリー・マンが残したアブストラクトな名曲「Infinity」で聴ける水滴の音をそのままバックトラックにするとか超絶ミニマル。そしてリリックもやたらと過激で暴力的だった西側へのジェルーなりの異論を唱えたもので、静かで落ち着いている。プレミアが手掛けたプロダクションでトップ10には入るかな。好きすぎる。

Jeru The Damaja “D.Original” (1994)

ギャングスターファウンデーションからジェルー・ザ・ダマジャ、3枚目のシングルは奇怪なピアノループが揺蕩う中をUPP「Give It To You」のビートが走るストリート感満載なダークトラック。勿論プレミアプロデュースで、世間的にはデビューシングルの「Come Clean」と並ぶ人気作。ちなみにジェルー(ブルックリン)の同期はナズ(クイーンズ)と思うと感慨深い。

Jigmastas “Don’t Get It Twisted” (2001)

もこもこぽんぽんぶるぶる、あんましこんな響き聴かないよなぁ、とにかく可愛いベースラインが腰に響くっっ。ポーランドのフュージョンバンドLaboratoriumが76年にリリースしたアルバム「Modern Pentathlon」1曲目で聴けるベースラインがその正体。こりゃ衝撃的に良い。ブルックリンの未来派トラックメイカー・DJスピナとMC KryminulによるJigmastasが、本作ではBrand NubianからSadat Xをゲストに迎えたポリッシュジャズとヒップのフュージョン12inch。まじで、A3のインストからどうぞ。

Jigmastas “Infectious” (2001)

稀代の天才トラックメイカーDJ Spinnaが、MCクリミナルと結成したブルックリンデュオJigmastasによる2枚組1stアルバム。類稀な音楽センスに、枯渇することなく溢れ出るイマジネーションとが宇宙で大きく弧を描く魔法のようなヒップホップ。すらすら言葉が連なって逆に嘘くさいが、これがほんとの話。スピナ特有のスペーシーでシンセサイズドされた音(まぁ音数は多い)を大きく吸って吐くクリミナル、さらにはゲスト参加したApani B やBrand NubianのSadat Xといい、歌い手にはたまらんだろうな。

Jigmastas “Till The Day” (2001)

マイフェイバリットブルックリンプロデューサーDJ SpinnaがMC Criminalとのユニットでリリースしたファーストアルバム「Infectious」からのシングルカット。ベースラインえぐっっっ、何万回もループしたいダークファンキンベースはフランスのファンクグループHarlem Pop Trotters「Plongee Synthetique」からまんま。Criminalのラップも迫力あってかなりかっこいい。

主役を張るホーンセクションにフルートにエレピに、脇役に徹する超絶クールなカッティングギター、そしてラスボス級のベースラインとドラミング。どれをとってもかっこいいでしかない、なにやらわかる人にはわかる的なフレンチスタジオミュージシャンで結成されたとかいうジャズファンクバンドによるセカンドアルバム。サイケだし、コズミックだし、ジャズでフュージョン。なんでもやりやがるのにごちゃごちゃしないファンク一本道。DJ Spinnaが「Till The Day」で使ったスペースファンキンなベースラインはB2にあり

J-Live “The Best Part” (2019)

出身はスパニッシュハーレムで、ラッパーとして活躍する前はブルックリンの中学校で先生をやっていたらしい

黄金期と呼ばれた輝かしい90sが過ぎてしまったゼロ年代以降のアングラシーンを支えてきたソロマイカーJ-Live。01年に発売されたデビュー作(はなにやらブートだったらしく非公式なもの)を本人が公認したうえで改めてジャケを変更し正規発売した2枚組ヴァイナル。ピートロックにプリモ、スピナにプリンス・ポールって、プロデューサー陣営がエグ過ぎてヤバ過ぎが深みざわ。Grap Luva(ピートロの弟)が作ったBPMが速くなったり遅くなったりするストレンジクラシック「Them That’s Not」はマスト。

J-Live “Longevity -US-” (1995)

ブルックリンで中学校の教師だったスパニッシュハーレム出身の男がラッパーになったその輝かしい瞬間を収めたデビュー12インチ。表題曲はエチオピアのレアグルーブ、ムラトゥ・アスタトゥケ「Kasalefkut Hulu」をネタにした不思議な浮遊感がたまらない。そしてみんな大好きバックサイドの「Braggin’ Writes」はプリモの「New York Reality Check 101」に収録されている事で有名ね。ネタはアヴァン系には知られてるアネット・ピーコックの「Survival」イントロ部分を繰り返してる。

J-Live “Longevity -EU-” (1996)

ブルックリンレーベルRaw Shack Productionsから95年に発売された地元ラッパーのデビューシングルを、翌年にドイツGroove Attack Productionsからジャケ付きでリリースした1枚。エチオピアンレアグルーブ、ムラトゥ・アスタトゥケ「Kasalefkut Hulu」をネタにした表題曲は勿論、US盤には収録されていないドイツのリミキサーRoe Beardieによるミックスが聴ける。またバックサイドの「Braggin’ Writes」もUS盤未収録で、むしろオリジナルよりかっこいいDJ Spinnaによる「Dome Cracker Mix」が収録されているので個人的にはドイツ盤がおすすめ。

J-Live “Satisfied?” (2002)

孤高のNYCソロマイカーがセカンドアルバムからシングルカットした衝撃のパブロネタ。表題曲がまさかのオーガスタス・パブロ「East of the River Nile」ネタ!ネタってか、まんま。嘘みたいにまんま。パブロのピアニカ聴こえたら手ぇあげな!脳みそダブっちゃう。なのでインストはもう正真正銘ダブヒップ。トラックはP Smoova、って聞き慣れないなぁ。因みにバックサイドはDJ Spinnaプロダクションで、神々しいまでにラグジュアリーなジャジントラック。

J-Live “3 Out Of 7” (2002)

ニュージャージーからEl Da Sensei(元Artifacts)と、ワシントンDCからAsheruを召還した計3人による超痛快なマイクリレーが堪能できる12インチ。シンセでシーケンスを組んだエレクトリックなサウンドはブルックリンの鬼才DJ Spinnaによるトラックメイク。それよりなによりだ、NYのブルーノート系ジャズバンドSouliveのメンバーEric Krasnoがギターを弾き語り、J-Live本人がビートメイクした切ない系メロウなA3は絶対おすすめ。B3にはインストもあるんだけど、秋の夜長に是非ってやつだ。

J-Love & Large Pro “Rap Professionals” (1999)

Masta Aceとのコンビネーションに続き、本作ではラープロ師匠とのマイクシェアを披露してみせたクイーンズのエムシー兼プロデューサー兼ミックステープキングJ-Love。ジャズハーピスト、ドロシー・アシュビー「Come Live With Me」の天から舞い降りてくるような牧歌的なハープサウンドをネタに使ったバックサイド「Cool」がうっとりするほど綺麗。まずはインストから聴いてほしいし、トラックは勿論J-Love。この人はなんでも出来るね。

Jomanda “I Like It” (1993)

ニュージャージーの女性R&Bトリオがデバージ往年の大ヒット曲をカバーした人気シングル。注目はクイーンズのラティーノ系ネイティブタンBeatnutsがリミックスした"ラウンジミックス"と"ヴァイブスミックス"だろう、てかそれしかない。同曲のカバーやらミックスやらは星の数ほどあるが、天下無敵のビートナッツ節で聴ける本作には他では聴くことの出来ない完全無欠のヒップホップヴァイブスがあるので是非。

J Rawls “Check The Clock” (2000)

ちなみに生まれはオハイオ州のコロンバス

オハイオはシンシナティのユニットLone Catalystsから、鬼才ジャズヒップメイカーJ. Rawlsがソロでリリースしたファーストシングル。ウキウキするような祝祭感を味わえるこのジャジンネタはイリノイ州シカゴの歌姫ミニー・リパートン「Rainy Day In Centerville」から間奏部分をワンループ。相方のJ SandsやGrap Luvaが参加。クリスマスにぴったりね。

J Rawls “The Essence Of J Rawls” (2001)

J SandsとのユニットLone Catalysts以外にも、Five DeezのFat Jonとのユニット3582もある。その他数多くのプロデュースワークスに、ウィキペディアによると現在はオハイオの大学でヒップホップの哲学を用いた教育学なんて講義をしているとか

オハイオ州シンシナティのジャジンユニットLone Catalystsにて類い稀な才能を発揮するトラックメイカーがソロでリリースした最初のフルアルバム。地元からFive DeezのPase RockとFat Jon(ハイドアウト好きにはお馴染みね)や、シカゴからAll NaturalのCapital Dに、ブルックリンからJ-Liveまでゼロ年代Jazz Hipを牽引した面子が全員集合した2枚組。ヒップホップでジャズする歓びを堪能しよう。

J Rawls “Great Live Caper” (2001)

シンシナティユニットLone CatalystsからトラックメイカーJ Rawlsが母艦を離れソロでリリースしてみせた傑作アルバム「The Essence of J Rawls」より1枚。7HeadsやSpinnaまわりで活躍するブルックリンのJ Liveにマイクを委ねた表題曲は言わずもがな、注目はその続編にあたるPt.2と題されたB1をFive DeezのFat Jon がビートメイク。これがまた良い。ゼロ年代タイプのジャズヒップヴァイブスが存分に詰まった1枚。大好き。

J Rawls “They Can’t See Me / Turn It Forward” (2001)

シンシナティメイドのジャズヒップでここ日本でも根強い人気を誇るユニットLone Catalysts、その片割れJ Rawlsがソロリリースしたアルバム「The Essence Of J Rawls」収録曲をシングルカットした1枚。7headsまわりでお馴染みのブルックリンエムシーWordsworth(声かっこいい)が参加したA3もいいが、表題曲をLovin’ Spoonful「Didn’t Want to Have to Do It」で再構築したrevisitedバージョンが針の落とし所。

J Sands “Manifest” (2002)

シンシナティの至宝Lone Catalystsから、エムシーJ Sandsが03年にリリースするソロアルバム「The Breaks Vol.1」へ先駆け先行で発売された12インチ(レーベルは相方J RawlsによるB.U.K.A.)。サックス奏者Lou Donaldson「It’s Your Thing」冒頭のカッティングギターを抜き出したジャズファンクなトラックがタイトなエムシーとがっつりハマる。

J Sands “Southern Lady” (2005)

オハイオ州シンシナティを拠点にイーストにウエスト、ゼロ年代ジャズヒップムーブメントを牽引した人気ユニットLone CatalystsからJはJでもトラックメイクのJ ではない、マイク握るJことJ Sandsがソロで登場。肝心のトラックはCatalysts時代にも交流があったLF Dazeによる王道のジャズネタブーンバップ。注目はリリースがカリフォルニアの名門Up Aboveということ。

J. Treds “Make It Happen” (1998)

Company Flowまわりの猛者が集まったスーパーグループIndelible MC’s、その一員であった孤高のソロマイカーJ Tredsによるキャリア初にして唯一のソロシングルが本作。リリースはボビートのFondle’Emより。これがまたなかなかどうしてこうもかっこいいのか。ジャズフルート奏者ハービー・マンがプロデュースしたロングアイランドのジャズロックバンドAir「Jail Cell」で聴ける美麗なピアノリフをメインループにした風光明媚なサウンドスケープ系ジャジンブーンバップ。トラックはKan表記になっているが通称Konで知られるChristian Taylorによるもの。息を呑むほどの美しさで言葉が思いつかないや。Fondleのレーベルを代表するクラシックだな。バックサイドには後にインドープサイキックスがリミックスした事でも知られる「Praise Due」が収録。

J Treds / Apani B-Fly Emcee “Never Too Much / Narcotic” (1998)

Mary Joy Recordingsが監修する伝説コンピ「Tags Of The Times」の99年リリース第二弾から、特別完成度の高い人気曲2つを収録したダブルサイダー12。フロントサイドには、El-P率いるIndelible Mc’sの一員でもあった孤高のアングラソロマイカーがRawkusで活躍するプロデューサー兼トラックメイカーShawn J Periodとタッグを組んだ1曲。バックサイドはみんな大好きクイーンズのフィメールラッパーApani姉さんで、フルートが優雅に舞うジャズヒップトラック。J Tredsの曲はコンピで何万回も聴いたなぁ。

The Juggaknots “New $$$” (2006)

Fondle’EmやIndelible MC’sなど所謂カンパニーフロウ周辺のアングラヒップを縄張りにするブロンクストリオThe Juggaknotsが、アルバム「Use Your Confusion」からシングルカットした1枚。ブーンからバップへのドロップタイムがやたら長く空間だらけのミニマルビーツはそれだけで踊りづらいのに、重たくて硬くて腹にくる地鳴りみたいな一瞬のベースと、終始鳴くニワトリ系カッティングギターでやたらと首は振れる。クレイジーだけどこれぞオルタナティブヒップ、これぞニューヨークアンダーグラウンド!紅一点Queen Herawinの声がキュートなのもよい。プロデュースはB-Money。

Jurassic 5 “Hey” (2004)

Freestyle Fellowshipが中心となり西側アングラのひとつの潮流となっていたGood Lifeカフェでのオープンマイクシーン。そこで出会ったRebels Of RhythmとUnity Committeeという2クルーが合体した6人組がJurassic 5。そんな彼等が02年にリリースした(新宿のタワレコでCDで発売日に買ったなぁ)サードアルバム「Power In Numbers」からのシングルカット。表題曲はSa-Ra Creativeプロデュースで、フュージョン系サックス奏者Ronnie Laws(レジェンダリーフルート奏者Hubert Lawsの弟)の「Life in Paradise」を使った夢見心地良さそうなコズミックメロウ。バックサイドはBeatnutsのJujuプロダクションで、アルバムでもハイライトになっていたフルートを主旋に用いたジャジンクラシック「If You Only Knew」が。天才Cut Chemistは今回おやすみ。

Jurassic 5 “Improvise” (1999)

LAで活躍していた2つのクルー、Rebels Of RhythmとUnity Committeeが合体した6人組によるファーストアルバム「Jurassic 5」から2曲を12インチカットした1枚。所謂4MC2DJの形態だった初期のグループ構成でありながら、J5黄金期とも評されるこのときの彼等は本当に隙をみせることなくどこをとってもオールドスクールに特化した古き良きサンプリングベースのオーセンティックヒップを披露している。なかでもアイク&ティナ・ターナー「Getting Nasty」冒頭のエモソウルフルなピアノリフを繰り返しループする「Concrete Schoolyard」はJ5の代表曲とされているほどの良曲。Cut ChemistとDJ Nu-Markの才能に打ちのめされる。

Jurassic 5 “Linguistics” (2004)

Beat JunkiesのDJ Rhettmaticが、04年に自身の運営するUp Above Recordsと東京マンハッタンレコーズでタッグを組みリリースしたアルバム「Exclusive Collection」からシングルカットした1枚がこちら。スクラッチは勿論Rhettmaticだが、歌い手はJurassic 5。ということでJ5名義の12インチ、彼等のアルバムには収録されていないシングルオンリーのトラック。ただ、プロダクションはスーパーエースCut Chemistの脱退もあり新進気鋭のトラックメイカーAudio Phonicが担当。ジャケはお馴染みB+先生。

Jurassic 5 “Quality Control” (2000)

ジャケはB+(ビープラス)撮影によるもの。やっぱり分かるよね、なんかかっこいいよなぁって思ったジャケは大抵B+が撮影してる。ちなみに本作のインストのみを収録したアルバムはジャケからメンバーの姿が消え、真ん中の丸太?切り株だけが残る味わい深い写真に

2つのグループが合体し結成された90年代後半LAニュースクールを代表するヒップホップコミュニティ。カットケミストにヌマーク、チャリツナなどオールスターの様な2DJ4MCが紡ぐヴァイブスとマイクリレー。時期や土地柄、ファーサイドの後釜の様にも聴こえるが、実は東のネイティブタンの系譜に影響を受けているとか。完全実力派の本作はセカンドアルバム。

K-


Kankick “Yes, Yes (Suite 3)” (2006)

カリフォルニアはオックスナードで繁栄した一大Lootpackファミリーから古参ビートメイカーKankickの45。マッドリブから代々伝わる秘伝"ヒューマン・クオンタイズ"(所謂マシン同期なし、己の体内リズムだけでメイクするって手法ね)で手打ちしたズレにズレるよたよたブーンバップ。強く燻したような香ばしいピアノネタと、フィメールエムシーMiki Valeの色っぽい声もあって、なんとなくDudley Perkins諸作に通づる雰囲気。RnBテイストなオックスナードサウンドが好きな人は必ず喜ぶはず。

Kazi “Down For The Kaz” (2000)

個人的には、ストーンズスロウカタログでマイフェイバリット5に入る。ちなみにNew Balanceに所属するスケーターJake Hayesが、NBのスケボーラインNew Balance Numericからリリースされたビデオ「E30」でがっつり本作収録の「A.V.E.R.A.G.E 」が流れる。めちゃくちゃかっこいいぞ

奇才マッドリブがカリフォルニアはオックスナードにてLootpackとして活動していた96年に同じカリフォルニアはLAのレーベル・ストーンズスロウから声が掛かり、、という一連の物語の片隅に。まさにその時代、マッドリブがよく連んでいた地元仲間(Lootpackクルーとサイトには書かれていたのでオックスナードかな)のラッパーKaziを、ストーンズスロウ印でプロデュースした1枚がこれ。煙たいジャズ香味なラグドビーツ。ブーンバップとはこれを指してるな。余談だが、14年にフランスのSergent RecordsからKazi & Madlib名義にて「Blackmarket Seminar」という当時の2人の未発表音源をコンパイルした作品がリリースされており、そちらに本作「Down For The Kaz」のファーストテイクが収録されている。

KC Da Rookee “Rookee Of The Year” (2000)

イングランドはノッティンガム出身ながらドイツのベルリンにてKinzmen Clikkというクルーで活動しているというUK産ジャーマンヒップエムシー。彼のファーストアルバム「Rookeestizza」からのシングルカットとなる本作は、ファットなビーツと喧騒のようなサウンドでガヤガヤ突っ走る表題曲A1よりは、ドイツのイングリッシュラッピン系では日本でも人気(Dev Large氏がフェイバリットに挙げていたことも)のSquare OneからIman がリミックスしたジャジンで落ち着いたA2がハイライト。

Kero One “Keep It Alive!” (2004)

サンフランシスコ在住、コリアントラックメイカー(&エムシー)ケロワンによる05年リリースの1stアルバム「Windmills Of The Soul」からシングルカットされた人気12。コンシャスなマイクと、メロウな主旋律に深みをもたらす優美なアルペジオ(A1のオリジナルではエレピだが、A2のリミックスではギターになっててこれが最高)、そしてジャジンなブーンとバップ。哀愁漂う鳴りにレイドバックな雰囲気、ここらがやはりゼロ年代ジャズヒップの特徴よね。良き。

Kev Brown “ALLWAYS” (2003)

ジャズヒップなる言葉があるなら、彼はソウルジャズヒップの代表格。ワシントンD.C.に隣接するメリーランド州にてD.C.のローカルエムシーらと共にかつてはLow Budget Crewなるチームを結成し活動していたKev Brown。ほんと大好きよ。90sマインドを持ったソウルジャジン系ブーンバップを作らせたら現行のトラックメイカーでは最早最強のKevが、自身の名義でリリースをはじめた初期の12インチ。時期的には、フィリーヒップを牽引するATOJ(A Touch Of Jazz)クルーに加入していたので(現在は脱退を本人が名言)、本作は創設者Jazzy Jeffがプロデュース。さらにはリリースがカリフォルニアのABBということで、表題曲のリミックスを9th Wonderを(彼もソウルジャズヒップの象徴ね)、カップリング「Can’t Stay Away」にはPhonteとPete Rockの弟Grap LuvaなどABBお馴染みのメンバーが。

Kinderzimmer Productions “Die hohe Kunst der tiefen Schlage” (1998)

ドイツ語と英語を混ぜ合わせた棒読みラップがなんとも不穏なジャーマンヒップデュオ、4枚目のフルアルバム。本作もサンプリングベースでビルドアップされているが、彼らになんとなくジャズなイメージを持っているとタイソンに肩パン食らうぞ。全編凍てついたインダストリアルな響き。クラウト・ヒップかしら。知らんけど。クラフトワーク名曲「テクノポップ」のビートを使った「Nachste Station」が暗い。

Kinderzimmer Productions “Doobie” (1999)

ジャーマンヒップデュオによる癖強めな4thアルバムからファンク濃度の高い、わりかしポップな人気曲。ファンキーなネタはJB’sの一員からボビー・バード「I Know You Got Soul」で、フックになってるのは50年代に活躍した女性ジャズシンガー、ブロッサム・ディアリーの「Doop-Doo-De-Doop」から。かわいらしい。

Kinderzimmer Productions “Mikrofonform” (2001)

ドイツ語的にはミクロフォンフォームと発音するのだが、最早韻もクソもない、狂気の沙汰じゃない異様な雰囲気のまま突入してくるゲーゲンプレスラップ。なんなら少し怖い。彼等のシングルの中でもとりわけ分かりやすくドイツ語を発してくる本作はアブストラクト勢にも受けが良さそうな、とにかくどちゃくそにかっこいいブレイクビーツが炸裂する。爆撃みたいなキックと錆びた鋼鉄のスネア、そしてオイル切れのインダストリアルSEと、かなりミニマルなサウンドプロダクションなのでトラックメイカーはまずインストを聴いて欲しい。ほんと針落とした瞬間に部屋の様子が変わる。アインシュタインの出生地、ドイツはウルムからゲルマン魂をしっかり携えた(その他のジャーマンヒップ勢とはまるで違う趣)アメリカに一切すり寄らないドイツ生まれ100パーセントのジャーマンヒップクラシック。

Da King & I “Flip Da Scrip” (1992)

DJ Majestyはユニット解散後、90年代後半からRnB系のプロデューサーへ転身する

DJプレミアによるリミックスも存在するが、それもこれもジャジーなオリジナル有りき。Rowdy Recordsから看板ユニットDa King & Iのデビューシングル(元々はIzzy-Ice & DJ Majestyの名義で活動)。バックサイドの「Brain 2 U」は超高速BPM110越えでミックス泣かせな名曲。これがめちゃくちゃかっこよくて、踊り狂って頭捥げる。

Da King & I “Krak Da Weazel” (1993)

Rowdy Recordsはアトランタのレーベルで、Yall So StupidやMonicaなどをリリースしてる事でも知られてる

ブルックリンで80年代後期からIzzy-Ice & DJ Majestyの名義にて活動していた彼らが名義を変え、当時最新鋭だったRowdyレコーズと契約してからの12インチ第2弾。ロイ・エアーズネタのリード曲もギャングスタっぽく悪そうな感じでいいが、なによりバックサイドに収録されている彼らのデビュー曲「Flip Da Scrip」そのプリモリミックスがめっちゃかっこいい。

Da King & I “Tears” (1993)

ジャケも最強に好き

マイナーヒップの"王様と私"ことDa King&Iから超絶悶絶メロウクラシック。個人的に物凄く好きな曲。男性ヴォーカルグループDelegationのこれまたメロウな「Oh Honey」を使った"Darp Vibeミックス"がアルバムバージョンより(アルバム版はOhio Playersの「Our Love Has Died」を使ってる)魔法級に良い。"セプテンバーモーーニンッ"からはじまるラップの通り、めちゃクソ天気がいい9月の午前中に噓ほどハマる。

King Tone “Victims of Da Streets” (2020)

ベルギー発アングラヒップ”発掘系”レーベルHip Hop Enterpriseから、ロードアイランド州プロビデンスのマイナーエムシーKing Toneが97年に録音した未発表2曲を7インチリリース。未発表もなにも、King Toneはこれまで一度のリリースもないアーティストなので果たしてどうやってこの音源が今回リリースされたのか。なんにしろ内容がめっちゃ良い。トラックは地元クルーBlank Farsizの片割れAftamaf(まじかっ)がSP-12とmpcで手打ちする良質ブーンバップ。ほんとに誰も知ることのなかった埋蔵曲を掘り出したレーベル側の努力がかっこいい。

DJ Klock “Harmony EP” (2002)

世界に誇れる偉大なるジャパニーズビートメイカーDJ Klock、02年リリースのファーストアルバム「Human Essence」から傑作「Harmony」を表題曲に計6トラックを収録した12インチ(うち3曲はDJツールのような音素材のみ)。スタティックな音響系クリックサウンドで、クラブミュージックとヒップホップマインドを混ぜ合わせたようなスペシャルでユニークなビート。中盤からゆらゆらと浮かび上がる"あのハーモニー"が終盤に向けはっきりとその輪郭を現すころには、なんだろ、ずっと終わらないで欲しいと願うのは僕だけじゃないはず。大好きすぎる。会いたかったなぁ。。

DJ Klock “Rainbow EP” (2006)

ミニマルだとかクリックだとか、エレクトロニカのアバラと背骨辺りをまるごとごった煮で出汁をとった黄金色のアブストラクト。それでいてマインドは極太ストレートのヒップホップ。トイピアノやら子供らの声も相まって、やたらとメランコリックな雰囲気を作るエモいメロディが後味をさっぱりさせる。遺作「San」より、7曲もの神ブレイクビーツを抜粋した1枚。

KMD / Del Tha Funkee Homosapien “What A Niggy / Wrong Place” (2000)

ディスコグループ・シャラマーのヴォーカルだったジョディ・ワトリーによるRnBクラシック「Looking For A New Love」をピッチダウンしてまんま使った「What A Nigga Now?」が聴ける1枚。説明不要、兄MF Doomと弟Sub Rocらデュミール兄弟率いるKMDの人気曲。バックサイドには何故かハイエロDelの人気曲を収録する詳細不明の謎ダブルサイダー。何処の馬のブートかもわからんし音もとにかく悪いけど、それにしても曲いいよなぁ、とか、ネタがズルいなぁなんて耽るようにジッと聴いてた。

Kokane “Slow Burnin’ 22.5F” (1994)

スヌープまわりで名前を耳にするカルフォルニアのマイナーエムシーKokaneが、天下のEazy-Eをエグゼクティブプロデューサーに迎え制作したウェッサイファンク。ネタはサザンソウルシンガーのウィルソン・ピケット「Ninety Nine And A Half (Won’t Do)」をまんま。変てこな曲だけど、なんだか癖になる。西はクセが強いんじゃ。

Kool Keith “Don’t Crush It” (1996)

ブロンクスが誇るレジェンドMCクール・キースが自身のお下劣レーベルFunky Ass(ストーンズスロウを設立する前の若きPBWと作り上げたレーベルってのが面白い)からKut Masta Kurtのプロデュースでリリースした1枚。ソロ1stアルバム「Sex Style」からのシングルで、とにかくダーティなハードコアが堪能できる。バックサイドではアルバム表題曲が聴けるが、震えるほど威圧的なベースラインがわりかし好き。

Kool Keith “Wanna Be A Star” (1996)

ウルトラマグネティックMC’sのメンバーとして一時代を築いたブロンクス随一の変態MCクール・キースがソロ12インチ。STONES THROWを設立する前の若きPeanut Butter Wolfのプロデュースで放った一切下品さのない静謐でミステリアスなトラックに包み込まれた聖人キースを味わえる。それにしてもPBWの素晴らしくレイドバックなブーンバップトラックたるや。PBWファンはマスト。バックサイドはお馴染みKut Masta Kurtプロデュース。

Ko-Wreck Technique “Ko-Wrecktion Remixes” (2000)

Push Button Objects名義でアブストラクト〜エレクトロニカ、IDM界隈を駆け廻るEdgar Farinas。シーン随一の人気トラックメイカーがサイドプロジェクトとして同郷フロリダのターンテーブリストDJ Craze(DMC世界大会を3連覇してるヤバい奴)を相方にしたユニットがこのKo-Wreck Technique。フルアルバムは無く、99年にシカゴのChocolate(UK盤はWarp)からリリースされた「Ko-Wrecktion EP」のみで本作はそのリミックス盤。リミキサーにはPlanet Muの鬼才Luke Vibertをはじめ、Chocolate IndustriesでレーベルメイトであるWhile、この手で最も成功したであろうPrefuse73、さらには考えようによっては先駆者かもしれない我らがEl-Pなど錚々たるメンツが名を連ねている。

DJ Krush “Meiso” (2003)

ぬぁああああ!かっこいいいいい!!95年の石英明アルバム「迷走」表題曲を、カリフォルニアはサンノゼからShadowがリミックス参戦。さらにはレーベルがUNKLE率いるロンドンMo Wax、ジャケはNYCのFutura 2000。イーストにウエスト、ノースにサウスと。世界各地のどっかとどっかのゴッドたちが饗宴した永久不滅のアブストラクトシット。ちなみにこれブート。

Kukoo Da Bag-A-Bonez “Real Kukoo” (1996)

NYCマイカーがハーレムのターンテーブリスト集団X-Ecutionersのメンバーらを陣営に従えて制作したセルフリリースシングル。表題曲はRob SwiftとMista Sinista、バックサイドはX-Ecutionersと親交のあるユニットIll Distraction(PlizとWorld)がプロデュース。これぞ90sアングラ。ちなみにKukooはゼロ年代に入るとDJ Krushの作品に参加する他、Worldとのコンビで名作「Insane Psycho Home」をリリースするなどで知名度があがっている。

Kurupt “Tha Streetz Iz A Mutha” (1999)

ドレーや、スヌープからスラムヴィレッジまで、様々な楽曲に参加してきた"フォクシー・ブラウンの元彼"ことクラプト。2枚目のフルアルバムはブリブリロングビーチなトラックとほぼギャング(クリップス)しか集まってないので、DPGC好きには名盤認定。相方Daz(スヌープの従兄弟)がプロデューサーだが、南はアトランタからオーガナイズドノイズ(Outkastなど)も手掛けた楽曲があったり、東からはKRS-Oneも参加してたり実はめっちゃコーストtoコーストな作品。

Kwest Tha Madd Lad “101 Things To Do While I’m With Your Girl” (1994)

アメリカの現代音楽史に計り知れない影響を与えてきたリック・ルービン様が、名も知らぬクイーンズのマイナーラッパーをプロデュース。アトランタのジャズファンクバンドBrick「Living from the mind」からご機嫌なベースラインをネタにした表題曲と、メロウな人気曲「Lubrication」を抱き合わせた充実の1枚。悪くない。

L-


Lace Da Booms “Cut That Weak Shit / Ain’t No Secret” (1996)

Mike ZootやStreet Smartzらの作品をリリースするGuesswhyldからブルックリン地下エムシーデビューシングル。表題曲の土臭いブルージーホーンはギタリストAlbert King「I’ll Play The Blues For You」から。これをB2でBuckwildがリミックス、ゲストマイクにMr.クイーンズRoyal Flush、さらにB1はDomingoプロデュースという。mid90sオールスター。

Larry June “Iced Coffee” (2023)

Jake OneとArceeが22年にスタートしたレーベルGeneral Principleより待望のカタログナンバー2が登場。恍惚を呼び起こす至福の艶やか系シンセに、なんだかG-Funkを想起させるメロウ&スロウなレイドバック感。天才かよトラックは勿論Jakeメイドで、ラップはベイエリアの人気エムシーLarry Juneで。寝起きみたいなまったりした声が好き。

Lawless Element “High” (2005)

Lawless Elementのマッドリブ編と覚えておこう

ミシガン州デトロイトから実の従兄弟ユニット(グリオットとマグニフ)が、Madlibをトラックメイカに据えた作品。同時期リリースの人気作「Rules Pt2」収録曲にはJ-Dillaが参加してることを考えれば、この従兄弟ユニットへの周辺アーティストたちの期待値たるやさぞデカし。基本どの作品もジャジンでお洒落テイストな作風が多いけれど、本作、特に表題曲、それはそれは超ド級にMad。

Lawless Element “Mic Check” (2003)

モーターシティ・デトロイトから本作がデビューとなった新世代デュオ。プリモっぽいチョップでピアノを組み替え、超定番ブレイクビートとして何億万回も擦られてきたSkull Snaps「It’s A New Day」をはめこんだ爽やかジャジーバイブス。次作以降、Jのディラ師匠やMadlib先輩がプロデュースに入ってくることを考えると、幾分か聴こえがよくなるまだまだ初々しい1枚。

Lawless Elememt “Rules Pt.2” (2005)

Lawless ElementのJ Dilla編と覚えておこう

ミシガンはデトロイトの地中奥底から、ジャズな香りが仄かに漂うメロウなフィーリング。なにこの上ネタ、2つのコードしか鳴らない柔らかいエレピの音がくせになるぜ、かっこいいぜ。Griotと、本作のプロデューサーでもあるMagnifによる2MC(実の従兄弟)ユニットで、バックサイドの「Love」(ループされてる不協和音はRoy Ayers Ubiquityの「Sensitize」から)には地元の大先輩Jディラがラップで参加となんだかデトロイトファミリア感満載な1枚。

Leaders Of The New School “Case Of The P.T.A.” (1991)

同郷(ロングアイランド)パブリックエネミーの前座で見出され、ネイティブタン界隈と絡むあたりまで秒の速さで出世していったバスタライムス率いるLONS。記念すべきファーストシングルはジリリリーと学校のベルが鳴ってはじまる嘘みたいにご機嫌ハッピーなバブルガムポップ風パーティーチューン。ちなみにピアニストのラムゼイ・ルイス(ヤング・ホルト・アンリミテッドのヤングとホルトとはかつてトリオを組んでいた)「Mighty Quinn」ネタを使ってる。ティーン目線で学校の文句ばっか歌ったライムが可愛いし、フックで”It’s just another case of that old P.T.A.”の”ぴーてぃーえぃっ”が大好きすぎる。

Leaders Of The New School “What’s Next” (1993)

痩せてたバスタライムス擁するロングアイランドのラップグループ、彼らのセカンドアルバム『T.I.M.E』からシングルカットされた超絶クラシック。"ワッツネクスト!"の掛け合いが騒がしく馬鹿みたいに明るいパーティーラップ、MVがまじで楽しいから観て欲しいな。A2はラージプロフェッサー師匠が、レアグルーブ好きには定番のジャズバンドStone Alliance「Sweetie Pie」ネタを混ぜたリミックスでこれもめっちゃかっこいいからマスト。

The Legion “Keep Your Eyes Open / Street Truth” (2013)

2011年スタートのニュージャージーIll Adrenaline Recordsからカタログナンバー8番のゴールドラベルedition。Black SheepのDresが見出したレジェンダリーブロンクス3MCトリオThe Legionによる95年録音の未発表トラック。表題も裏もソロウでスロウなソウルネタに暗くなるも、ロウなベースとブロウするスネアがめちゃかっこいいぞう。ちなみに33回転だった。

Leschea “Fulton St.” (1997)

同じブルックリンの先輩Masta AceのフックアップnプロデュースでヒットしたRnB系ディーバLescheaの12インチ。バックサイドはトライブの「Hot Sex」を使ったもので、なによりNick Wizのミックスがまじでオリジナルの数倍かっこいい。そしてそれよりなによりLescheaが可愛い。

Lewis Parker “When It Rains It Pours” (2018)

UKの大人気レーベルKingUnderground Recordsからのリリース(20作品ぐらい出してる?)で、ネオブーンバップ世代に絶大な支持を得るロンドン出身のSP1200マスターLewis Parker。本作はCaveman BeatsのVerbzをゲストマイクに(勿論Lewisも歌う)セクシィなサックスとフェザータッチなハットでラグジュアリーなジャズヒップをお届け。

L-Fudge “Liquid / What If?” (1998)

ワシントンハイツ(当時はめちゃくちゃ治安悪くて近付けなかった)のラッパーが、Rawkusから放った1枚。スタンゲッツとも仕事をしていたジャズボッサなギタリスト、チャーリー・バード「For Big John」のアコギをループさせたシティボーイ好みなジャジンヒップ。バックサイドではDJ SpinnaプロダクションをTalibやSahdeeqなどRawkusオールスターズのマイクリレーが聴ける。

L-Fudge / Mathematik “Dimmin’ The Life / Following Goals” (1999) 

優勝はBサイドな。マイクを握る本日の主役fromトロント・レジェンドクルーDown To ErfからMathematikと、フィラデルフィアのGSFことフィメールエムシーBahamadia。トラックは勿論Wall & SteelらErf Productionsで、鐘の音とそのリバーブ音だけの超ド級ミニマルブーンバップ。くぅぅぅ。ちなみにB3には同じトロントから、変人Frankensteinがリミックス参戦。くぅぅぅ。

Libro Featuring Momoe Shimano “対話” (1999)

ブラジルはリオデジャネイロのジャズピアニストTenorio Jr(テノーリオ・ジュニオール)が64年にリリースしたジャズサンバシーン屈指の名盤「Embalo」収録「Nebulosa」で聴ける美メロピアノリフをまんま使ったA3。多くを語る必要もないな、ジャパニーズジャズヒップのクラシックスタンダード。これで月曜日が晴れりゃなお最高。

Lil’ Bastards “Bitch Get A Job” (1992)

JB’sの「The Grunt」で聴けるやかんが沸騰してるようなキーキー耳障りなサックスと、Funk Inc.「Kool Is Back」のラグドなブレイクビーツが重なったワンループ。豪快ファンクに吐き捨てるよなハードコアスピット。なんだかパブリックエネミーのようで貫禄すら感じるが、Lil’ Bastards通称LB’s、この1枚以降消息不明。むしろこの1枚だけ。どこの誰だかわからん。因みにプロデュースはビギーやJay-Zを支えてきたクリエイター集団TrackMasterz。オリジナル盤のジャケがめちゃくちゃかっこいいんだけど、なんだかやたら高い。

Lil’ Dap “Code Of Silence” (2014)

Gang Starrの意志を継ぐGSF一味のユニットGroup Homeから、レジェンダリーエムシーLil’ Dapが現行シーンにカムバックして以降いきなりかましてみせたスーパークラシック12。シャドウズのドラマーでもあったパーカッショニストBrian Bennettによるライブラリー作品「In Motion」で聴ける摩訶不思議なピアノの旋律を、めっちゃピッチダウンしてループさせた気分が塞がる鬱々とした呪術系サウンドは衝撃のかっこよさ。トラックはMassive Attackも惚れたイギリスの奇才Lewis Parker(スクラッチはPings)、レーベルは勿論King Underground!最高!

Lil Sci “Hit Me” (2006)

かつてSlum BrothersのDon QがプロデュースしたFondle’Emクラシックでお馴染みニュージャージーのレジェンドクルーScienz Of Life(今も活動中)。その中心人物であったジョン・ロビンソンがLil Sci名義でリリースした最初の12インチ。PUTSのThes OneとGiant Pandaのチカラさんが運営するTresより。A3「C.U.」の煙たいカッティングギターとソウルフルなヴォーカルチョップをアクセントにしたディスコファンクみたいなブーンバップがまじやばい。特にバックサイドにあるインストはめちゃくそにかっこいい。これ大好き。プロダクションはTresでよく名を出すTa’Raach。ちなみに表題曲をStarving Artists CrewのSPがリミックスした極上メロウジャズなB1も是非。

Little Brother “Lovin’ It / Hold On (Tellin Me)” (2005)

9th Wonder節炸裂の美メロ表題曲はThe Stylistics「One Night Affair」からコーラスはがっつり、メロディはチョップり拝借したフィリーソウルラブ満載の人気曲。セカンドアルバム「The Minstrel Show」収録。バックサイドはJermaine Jackson「Sitting On the Edge of My Mind」をいつものやり方でLB風に。

Little Brother “The Way You Do It” (2002)

トライブやデラ、パブリックエネミーが偉大なるビッグブラザーたちならば、僕らは彼等の弟達みたいなものなんだ、とグループ名の由来をPhonteが語っている

ノースカロライナの巨星、偉大なる弟たちによるデビューアルバム「The Listening」に先駆けてカリフォルニアのABB Recordsからリリースされた12インチシングル。2人のスーパーエムシーPhonteとBig Poohを当時率いていたのはスーパートラックメイカー9th Wonder(07年に脱退、わりと話題になった)で、才に溢れた3人が織りなす奇跡のようなケミストリーが産んだ表題曲はゼロ年代ヒップを代表する珠玉のメロウクラシックに。字面じゃピンとこない人も聴いたらわかる、あ、この曲!ってなるほど。どこか東洋的な雰囲気を醸し出すメインメロディは一度聴いたらほんと忘れられない不思議な魅力を持っているが、元ネタは世界最高峰のアコギ奏者と称されるトニー・ライス「A Child Is Born」で聴ける嘘みたいな速弾きパートと、幽玄なヴァイオリン。これをネタに選んだセンスにお手上げ。

Little Indian “One Little Indian” (1995)

ダニー・ハサウェイ「Little Ghetto Boy」ネタの表題曲を、サマージャム’95でお馴染みボビー・ハッチャーソン「Montana」のヴィブラフォンネタで一新したA2がやばめ。リミックスは我がリスペクトBuckwild。因みにA3ではCharles Earland「Phire」のオルガンネタを使ったJay Deeがストイックなミニマルミックスを披露。ブルックリンのマイナーエムシーを天才2人がバックアップした傑作12。

Living Legends “Foxhole EP” (1999)

単体での活動もとにかく多いわりに安盤コーナーに埋もれがちなので、とりあえずMystik Journeymenの2人、Sunspot JonzとLuckyiamをまずはおさえて、次にThe Grouch、Eligh、Mursを頭の片隅で覚えておけばディグする時に役立つかな。あ、リビング・レジェンズのあいつだ、みたいな

オークランドのユニットMystik Journeymen (BFAP aka Sunspot JonzとPSC aka Luckyiam) が牽引するLAのスーパークルーLiving Legends。セルフレーベルRevenge Entertainmentより99年にリリースされた9曲入りEP。The GrouchやElighなどの人気メンバーは勿論、やがて脱退してしまうMursや日本人エムシーArataなど、グループ結成当初のフルメンバーで初期音源が楽しめる。Arataががっつり日本語でラップするA4からどうぞ。

Lo Down “Fright Nights” (1994)

なかなかそう簡単には見つからない1枚

95年に公開された映画「KIDS」そのサントラには収録されていたが、映画本編では流れなかったという謎多き1曲。NYCで人知れず活動していたChewとRapture、2人によるデュオ。暗く物悲しいワントーンのバックスコアに乾いたドラムと舌足らずにブリってるスピット、滴るピアノが1音。何かが特別な訳ではないが、もう、これ以上はない満足感。本音を言えばサントラに収録されていたミックスの方がRZA風なホラーコアで好き。

Lone Catalysts “Due Process” (1999)

敬愛なるトラックメイカがここにもまたひとり、オハイオはシンシナティの鬼才J Rawlsが紡ぐチームLone Catalystsを代表する1曲。映画「007ダイヤモンドは永遠に」のサントラから、ジョン・バリー「Diamonds Are Forever」冒頭のピアノを早回しした所謂007ネタ。そんでもってJ Sandsと一緒に歌うのはRubixとブルックリンからTalib Kweli、1秒たりとも緩むことなくビシッとジャズヒップ。A3の楽曲でスクラッチしているのはFive DeezのPase Rock。

Lone Catalysts “Dynomite” (2000)

ドイツはケルンのレーベルGroove Attackから派生したサブレーベルSuperrappinよりリリースされた1枚。オハイオはシンシナティからJ-RawlsとJ-Sands率いるユニットに、NYアンダーグラウンドからJ-Liveがゲスト参加したJによるJの為のJazzinトラック。ネタはヴィブラフォン奏者デイブ・パイクと巨匠ピアニスト、ビル・エヴァンスがタッグを組んだThe Dave Pike Quartetの「Besame Mucho」。

Lone Catalysts “En La Ciudad” (2004)

尊敬するトラックメイカで3本の指に入るだろか、オハイオの鬼才J-Rawls率いるユニットが05年にリリースしたセカンドLPからのシングルカット。スペイン語タイトル(街を意味するCiudad)から察するにフラメンコ風なのかな、クラシックギターの旋律がなんともそっちっぽいトラックで秋口に丁度よき。バックサイドには「The Ultimate」のKev Brownミックスあり。

Lone Catalysts “Good Music” (2005)

オハイオ州シンシナティの鬼才J Rawlsと、ペンシルバニア州ピッツバーグのアングラスピッターJ Sandsが邂逅した(2人ともシンシナティの大学に通っていたらしい)ユニットによる05年発売のダブルLP。これがセカンドアルバムとゆうことで、ジャズからソウルまで相変わらず古き良きなサンプリングべースの正しくグッドミュージックなヒップホップに磨きがかかったカタリスツ初心者にお勧めする1枚。ArtifactsのEl Da Senseiや、ピートロックの弟Grap Luva、さらにはブルックリンのレジェンドMasta Aceも参加。

Lone Catalysts “Hip Hop” (2001)

オハイオ州シンシナティからJ Rawls現る。モスデフやタリブ、ラスコーなどを手掛けている彼の母体として機能しているユニット(MCはJ Sands)のファースト2枚組LP。初期のピートロックがルーツだと公言する彼のトラックは基本サンプリングベースのプロダクション。ターンテーブルを扱う全トラックメイカーが耳を貸すべき。タリブが参加したジャズヒップ大名曲「Due Process」はD2に収録。

Lone Catalysts “If Hip Hop Was A Crime (Remix)” (2002)

レペゼン・オハイオ州シンシナティ、アングラ勢に絶大なる人気とリスペクトを勝ち得てるユニットLone Catalystsが01年にリリースしたファーストアルバムから人気曲をセルフリミックスする形で抜き出した1枚。彼ら特有のローファイな音像はすべて排除、クールで鋭利なダウンビートのみが剥き出されて骨組みのままに晒されてる。針吹っ飛ぶほどカッチカッチのキックにスネア、オリジナルの何億倍も研ぎ澄まされて響くこれは一体なんだろ、鬼才と呼ばれるJ Rawlsの本気を見た気分。圧倒されるし、てか、やっぱ12インチって音いいよな。

Lone Catalysts “Place To Be” (2001)

シンシナティの至宝J RawlsがJ Sandsとタッグを組むゼロ年代ジャズヒップブームの代表格。00年にリリースしたファーストアルバム「Hip Hop」から、3曲をカットした12インチ。表題曲はトランペッター、ドナルド・バードの「Think Twice」を使ったソウルジャズなヒップが聴けるなんともグッドヴァイブスな名曲。勿論セルフレーベル、B.U.K.A. Entertainmentから。

Lone Catalysts “Politix” (2000)

オハイオ州シンシナティのジャズヒップモンスターLone Catalystsを世に知らしめた傑作ファーストアルバム「Hip Hop」そのCD盤ボーナストラックに収録されていた1曲を12インチ化。だからLP盤でしかファーストを堪能していなかったファンにはあまり知られていない、気付かれていない1枚。ところがなにがどうしてこんな哀しいのか、切ないピアノの旋律が空虚に舞うまさかの悲哀系ジャズバラッド。いつもよりかはだいぶテンション下げ目のJ Sandsは、ローカルエムシー3人と静かなるマイクリレーを展開。静かで暗いLone Catalystsをどうぞ。バックサイドは完全未発表曲だけど、安心安定のJ Rawlsサウンズ。

Lord Finesse “Game Plan” (1996)

個人的にはローフィネ入門盤としてまずはこれを薦めたい

ブラジルメロウの金字塔Deodato「San Juan Sunset」をがっつり使ったローフィネ人気曲。が、みんなやっぱりこっちが好き、当時はこの12インチでしか聴けなかったRoy Ayersをゲストに据えた「Soul Plan」なる一曲。特にインストは恍惚としていて、部屋でじっと聴き入る。それにしてもヴィブラフォンの心地良さよ。。

Lord Finesse “Hip 2 Da Game” (1995)

ちなみに18年に亡くなったグラミー賞ラッパーMac Millerが自身の曲「Kool Aid & Frozen Pizza」にてサンプリング、いや、サンプリングというよりはローフィネ原曲をまんま垂れ流したカラオケみたいな作品を発表。ローフィネがマックを訴える形で裁判に発展

ブロンクスを拠点にトラック職人ばかりが集う夢の組合"DITC"からリーダー格のファンキーマンことLord Finesseによる大大大大ヒットシングル。オスカー・ピーターソンの「Dream Of You」を使ったメロウ&グルーヴィーなオリジナルは勿論、同じ組合からBuckwildが友情リミックスで提供したバージョンではミニー・リパートンを使っててめちゃくちゃ聴き応えあり。

Lord Finesse & O.C. “Ya Better Recognize” (2000)

ブロンクスのドリームチームDITCからトップ2人がタッグを組んだ未発表曲12インチ。ネタは同じチームのShowとAGによる「Next Level」という曲で使っていた(多分プレミアがミックスしたバージョンだったと思う)トランペット奏者メイナード・ファーガソン「Mister Mellow」を使用。バックサイドにはクイーンズのRoyal Flushとハーレムの若きDITCこと故Big Lのタッグ。

Lord Sear / Stak Chedda “Alcoholic Vibes / My Hindu Love” (1997)

レアグルやブラックジャズ系トロンボーン奏者フィル・ラネリン「Vibes From The Tribe」をまんま使いしたFondle’Emクラシック。ドラム缶を鞭打ったようなインダストリアルなダビースネアと、アフロジャズファンクなベースライン。ネタ選定の時点で勝負アリとはいえ仕上がりは想像を超えたレベル感。エンジニアがMighty Miというのもデカいかも。歌うはハーレムMC Lord Searで、バックサイドのStak CheddaはLord Sear本人の変名義。

Lords Of The Underground “Funky Child” (1992)

マーリー・マール印のニュージャージー産ヒップホップトリオがデビュー作にして傑作の呼び声高い『Here Come The Lords』からカットした2枚目の12インチ。印象的なトランペットはThomas Bell Orchestraの「A Theme For L.A.'s Team」で聴けるやつ。

Lords Of The Underground “Psycho” (1992)

全速力で叩かれるスネアとキックに壁が揺れるほどのベースライン、途中声が裏返るド興奮状態でのハイテンションラップには物騒さを通り過ぎて最早楽しさしかない。最強にうるさかっこいいクラシックは彼らのデビュー12インチ。プロデュースは勿論マーリー・マール。

Lords Of The Underground “Tic Toc” (1994)

ニュージャージー出身トリオが放つマーリー・マールプロダクションの大ヒット12インチ。傑作と謳われる彼らのセカンドアルバム『Keepers Of The Funk』からの先行カットで、ダグ・E・フレッシュとSlick Rickが「La Di Da Di」で歌っていたフック"ティックトック〜"をまんま使っていてこれがなんとも超絶キャッチー。クラシックだぁね。

Lordz Of Brooklyn “Gravesend” (1997)

グループ名の通りブルックリンを拠点に活動していたアイリッシュとイタリア系アメリカンが集うグループ。マフィアとギャングスタをミックスしたようなスリリングな歌詞(O.C.も歌ってるのかな、フックで"Where do gangstas go when they die〜"がひぃーってなる)とサウンド(Lord Finesseミックス)がめちゃくちゃかっこよくて、特別インストはまじでかっこいい。ちなみにヒップだけに留まらず、ハウスオブペイン(ツアーをまわったり)にはじまり、ランシドやサブライムとも絡んだりしていた。

Lost Boyz “Get Up” (1996)

デビューアルバム「Legal Drug Money」からカットされた12インチで、これはプロモ盤。ディスコディーバStephanie Mills(ブロードウェイ女優としてのほうが有名らしい)の78年ヒットシングル「What Cha’ Gonna Do with My Lovin」をがっつり。フックではマイアミソウルを代表する歌姫グウェン・マックレイ「Funky Sensation」の”Get up clap your hands”ってとこを大合唱するファンキーパーリーチューン。プロダクションはクラーク・ケント。

Lost Boyz “Take A Hike” (1999)

クイーンズはサウスジャマイカの彷徨える少年達を渋谷の某100円コーナーで救ってきたよ。イギリスのポップグループSwing Out Sister「It’s Better Travel」をピッチあげて使ってるらしいが、なんにしろクリーンバージョンしか収録されておらず残念。ただ、トラックはよい。

L-Swift “How Itz Going Down” (1995)

ブロンクスクルーNatural ElementsからL-Swiftがソロでドロップした1枚。頭出しからボビー・コールドウェル「What You Won’t Do For Love(邦題は風のシルエット)」をまんま歌い上げる女性ヴォーカル。あっさりめのボトムが似合うのかなぁって思ってたけどやけにブンブンバップなビートがやばいかっこよくて、この煙たい感じが本作をただのネタものメロウに留まらせない理由かなって。


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