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食料自給率を考える(小論入試-解答編)

横浜市立大学(H28年度 医学部)入試問題(解答編)

「“”手に“”論文を書く」人、“勝小”です。
(当noteの前提・諸注意等については、こちらの投稿をご参照ください。)

以下の流れで小論文問題と向き合っていく予定です。
・分析編:出題者の意図を把握する(構成メモのようなもの)
・解答編:実際に解答文を作成する(答案用紙のようなもの)
・補講編:問題から派生した考察、蛇足など(試験後の雑談)

 前回の「分析編」を簡単に振り返りつつ「解答編」を始めましょう。

【問題】<試験時間60分>

【我が国の食料自給率について、あなたの考えを1,000字以内にまとめて述べなさい。】
横浜市立大学HP(国立国会図書館)より

出題者の意図(勝小解釈版)

<表テーマ>
①食料自給率に関する知識を通じて、社会問題に対する姿勢を問う
<裏テーマ>
②TPPが医療業界に与える影響
勝小note「分析編」

私は本問の出題意図を上記2点と解釈しました(実質①のみ)。
今回の解答は、問題を見てから食料自給率等に関して調べることなく、その場の知識を何とか使って書ききることとしています。

勝小の解答

 我が国は食料の多くを輸入に頼っており、食料自給率が低い水準で推移している。食料自給率が低い要因として、人口密度が高いことに加えて、山間部が多く平野が少ない地理的特性が挙げられる。すなわち、食料自給率を上げるためには、一人当たりの国土面積における農業生産効率を上昇させる必要があるが、効率的な農業生産に適した平野部が限られており、食料自給率が上がりにくい国であると言える。当該地理的特性の中で、製造業及びサービス業等で経済的利益を獲得し、食料を海外から輸入する経済構造は世界情勢・地球環境等が正常である前提であれば最適解であると言える。しかし、異常気象等の影響で輸入先の農業生産高が激減し、我が国への輸出分が制限されるリスク等を考慮すると一定水準の食料自給率は維持すべきであると言える。

 少子高齢化社会が進んでいる我が国の状況は、農業生産者等の第一次産業に従事している者の高齢化及び後継者不足に直結し、今後さらなる食料自給率の低下が懸念される。上述のリスクに対応する為にも、食料自給率の低下を防ぐための方策を講じる必要があると言える。例えば、農業の省力化が実現すれば、農業従事者数が減少しても農業生産高を維持することが可能となる。さらに、効率的に収入が得られる環境が整えば農業に従事することを希望する者の増加も期待される。農業の省力化は、これまで人力で行っていた作業を機械化する又は機械の補助を受けて従事人数を削減することを通じて実現する余地があると考えられる。当該機械化が実現すれば、当該技術は海外へ展開(販売)できるものとなるため、技術開発等の支援を我が国の政策として力を注ぐことの合理的な理由ともなる。ただし、技術革新に伴う農業の省力化が実現するためには、相応の期間を要することが予想されるため、当該技術革新の実現に向けた長期的な方策に加えて、農業等第一次産業の従事者数の減少を抑制しつつ、後継者不在の農地を維持・管理するといった現状を維持する短期的な方策の実施を併せて検討する必要がある。

 我が国は比較的飽食の社会環境にあり、食料不足から遠い印象を与えているが、食料自給率の観点で見ると突発的に食料不足に陥るリスクが存在しているため、農業等の第一次産業以外に従事している者も相応の当事者意識をもって検討する必要がある重要な問題であると考える。
(972字)

解答あとがき

 いかがでしょうか。食料自給率の具体的な数字に触れることなく、その場の知識で書き切ってみました。
第1段落で本問で直接問われている食料自給率について、自身の考えを書きました。第2段落では第1段落の考えに基づいてどのような対応が考えられるかについて、そして第3段落にまとめを書いています。第3段落のまとめは食料自給率から連想される社会問題に対する自身の考えとも言い換えられます。

 「食料自給率に対する考え」に対する答えは他にもいろいろと考えられますが、上記解答のように一般論をつなぎ合わせるように書けるような答え方を選んでいます。例えば「食料自給率の算出方法に論点(問題)がある」とする考えも答えの一つにはなると思いますが、その主張を述べるためには相応の知識が必要になるため、その場で解答を作る難易度は上がると判断しました。

 書いてみた印象として、1000字までの道のりが少し遠く感じましたね。軽く書いてみた感じでは700字程度で収まってしまったので。

自己採点

 今回も自己採点で解答編を締めたいと思います。実際の試験では異なりますが、当noteでは以下のルールで採点しています。

 自己採点(10点満点)
  = A)解答力(10点満点) × B)出題意図把握(0%~100%)
A)解答力:出題意図に対して的確かつ論理的な文章かどうか
B)出題意図把握:出題意図をどこまで正確に把握しているか
勝小note「小論文の取り組み方針」

 それでは、今回の自己採点を発表します。

 自己採点(5.6点)= A)解答力(8/10)× B)出題意図把握(70%)

A)解答力:下記事項で2点減点
・食料自給率の理解に一部誤り(*)がある
B)出題意図:全体的に出題意図解釈が薄い(*)と判断し30%減点
(*詳細は後日補講編で触れることにします。)

 勝手に書いた解答を、勝手に決めた基準で採点しているので、どちらかといえば「解答の自信の度合い」のニュアンスの方が適切かもしれませんが、その場でとりあえず解いてみたにしては、それなりに書けたのではないかと。

 次回「補講編」に続きます。

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