見出し画像

食料自給率を考える(小論入試-分析編)

横浜市立大学(H28年度 医学部)入試問題(分析編)

「“”手に“”論文を書く」人、“勝小”です。
(当noteの前提・諸注意等については、こちらの投稿をご参照ください。)

以下の流れで小論文問題と向き合っていく予定です。
・分析編:出題者の意図を把握する(構成メモのようなもの)
・解答編:実際に解答文を作成する(答案用紙のようなもの)
・補講編:問題から派生した考察、蛇足など(試験後の雑談)

それでは「分析編」を始めましょう。

【問題】<試験時間60分>

【我が国の食料自給率について、あなたの考えを1,000字以内にまとめて述べなさい。】
横浜市立大学HP(国立国会図書館)より

出題者の意図(妄想)

 これは・・・難しいですね。
単純に食料自給率について考えを述べる問題と捉えるべきなのか、
“裏テーマ”のようなものが隠れているのか。

基本的に“裏テーマ”がある場合には、それを含めて分析する方針としてますが、今回の分析は薄めです。

<表テーマ>
①食料自給率に関する知識を通じて、社会問題に対する姿勢を問う
<裏テーマ>
②TPPが医療業界に与える影響

それぞれ詳細を(薄いなりにも)記載していきます。

①<表>社会問題に対する姿勢

 参考資料等がない状態で、食料自給率に対する意見が求められているので、受験生がどこまで社会問題を把握しているかを単純に問うていると考えることができます。

 さらにもう一歩踏み込んだ検討を行うとすれば、「なぜ、食料自給率なのか」という点だと思います。そのためには、出題時の2016年を振り返る必要がありますが、下記影響が強く反映されているものと考えられます。

TPP(環太平洋パートナーシップ)協定
2015年10月  TPP協定交渉が大筋合意
2016年 2月 12ヶ国(*)による協定署名
2017年 1月 米国が離脱表明
(* オーストラリア、カナダ、シンガポール、チリ、日本、ニュージーランド、ブルネイ、米国、ベトナム、ペルー、マレーシア、メキシコ)
経済産業省HPより

(今はそれほどでもないですが、)当時は“TPP”という単語を見聞きしない日がないくらいに、各所で取り上げられていた記憶があります。とりわけ、自動車関連と農業分野に関する話題が多かった印象があります。

 「TPP協定とは」や「日本や世界にどのような影響があるか」を私なりに解釈して、説明したいところではありますが、文章や図でまとめられるほどの知識が溜まっていないのと、話がそれてしまうので割愛させて頂きます。

「自由貿易協定(+α)を多国間で」というのが(経産省HPを参考にした)個人的解釈です。

②<裏>TPPが医療業界に与える影響

 「TPP」「医療」という検索ワードで調べてみると、「国民皆保険制度」・「混合診療」・「新薬特許」といった単語が散見されます。
ただし、検索上位に上がる記事は概ね2013~2015年頃に書かれたもので、現在TPPの影響を受ける(又は受ける懸念がある)項目がどれほどあるかまでは調べていません。少なくとも、2016年11月の内閣官房発表資料には、

【 TPP協定には、民間医療保険の拡大や混合診療の解禁といった我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める内容は含まれていません。】
【なお、公的医療保険については、金融サービス章(第11章)の規律は適用されないこととなっています。また、我が国は、医療保険を含む社会事業サービス関係の制度について、投資(第9章)や国境を越えるサービス貿易(第10章)といった分野で、将来にわたって留保をしており、内国民待遇等の規律が適用されないこととなっています。】
TPPに関するQ&A:概要版<16.11月 内閣官房 TPP対策本部>)

と、書かれているようではあります。

 このように、医者を志す学生にとっても社会問題・国際情勢等は無関係ではないということを、暗に示しているのではないか。
と、考えました。

まとめ

 以上が私が予想(妄想)した本問の出題意図です。みなさんはどのように考えたでしょうか。

 次回「解答編」に続きます。
なお今回の解答は、問題を見てから食料自給率等に関して調べることなく、その場の知識を何とか使って書ききることとしています。
そのため、この分析編を書く前に解答は仕上げてあります。
(時間制限は設定していないので、同条件ではないですが)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?