【300字小説】 つなぎ目
つなぎ目がほどけそうになっている糸を見かけるのはこの時期だ。ちょうど夏の終わり。次に多いのは春。どちらかが結び直せばまだ修復できる糸もあれば、きつく結びすぎて切れかかっている糸もある。恋人同士の糸もあるし、友達の糸、家族の糸もある。
誰の相談も受けなくなってずいぶん経つ。ある意味、私は誰とも糸を結ばなくなったと言えるだろう。結んでもゆるく、いつほどけてもいいようにしか結んでいない。しかし最近、一本だけ慎重につないだ糸がある。やっと本当に大切なものを見つけた気がする、と思っ