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「ほんものの泉」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.3 (1/7)

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丘の上に大きな屋敷があった。そこには欲ばりな男がひとりで住んでいた。男は親の遺産をうけついで、資産はたくさんあった。しかし、それだけでは満足できなかった。お金持ちというのは、えてしてそういうものだ。つきあいのあるまわりの人間も同じように裕福であるがゆえ、彼らよりさらにリッチな生活をしていないと、心が休まらないものなのだ。

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実のところ、男はひとりものなので、そんなに大きな家は必要なかった。小さな家に引越して、質素な生活をしたほうが、気楽かもしれない。しかし男は、なんとしてもその屋敷に住みつづけなければならなかった。その界隈で、一番大きい屋敷に住んでいるというステータスをそう簡単に手放したくはない。見栄というやつだ。

ともかく男の所有する敷地は広大だった。大きな家屋のまわりには森がひろがっていた。そしてその奥には、大きくも美しくもない平凡な泉があった。

あるとき、その屋敷の欲ばりな男は、これまた欲ばりなお金持ち仲間と食事をしながら、こんな話を聞いた。

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「最近、新しいビジネスをはじめたんだよ。これが、簡単にもうかって、笑いがとまらない」

「ほう、それはどんなビジネスなんだ」

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「ほんものの泉」 (2/7)につづく

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