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「ほんものの泉」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.3 (4/7)

「なんと、ほんものの泉だったというのか。そんなはずがない。この屋敷がたつ前からあの泉はあったようだが、奇跡が起こるなど聞いたこともない。しかし、がっぽり稼いでくれるなら、ほんとうに奇跡があろうがなかろうが、まったくどうでもいいことだ」

男は、評判となった自家製奇跡の泉に首をかしげながらも、投げこまれた大量の小銭をみてにんまりした。

「さて、そろそろ、回収にいくとするか。うへへ」

男は誰もいない夜中をまって、泉へむかった。

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泉に到着すると、ちょうど、みすぼらしい身なりの親子が、手前に投げこまれていた小銭を一枚ひろったところだった。それをみつけて、男はどなった。
「おまえたち、人の金を盗もうとするとはけしからん。警察を呼ぶぞ。二度とここへくるな」

みすぼらしい親子は、一目散に逃げさった。

「まったく、ろくでもないやからがいるものだ」

男はぶつくさ文句を言いながら泉を見る。泉の中には、きらきらとまだたくさんの小銭がしずんでいる。男は大喜びして、お金をひろおうと泉に手をつっこんだ。しかし、なぜだかひろえない。お金に手は触れるのだが、まったく動かないのだ。

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「こ、これは、いったい、なにごとだ」

するとどこからか声がした。

「盗みはいけません」

男はびっくりして、あたりを見まわした。しかし、誰もいない。

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「ほんものの泉」 (5/7)につづく

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