見出し画像

【おしえて!キャプテン】#11 新スーパーマンがバイセクシャルを表明! DCコミックスでのLGBTQ+の描かれ方とは?

連載コラム11回目です。先月10月11日は国際カミングアウト・デーでしたが、それに合わせて新スーパーマンことジョン・ケントが、バイセクシュアルをカミングアウトすることが発表されました。

このニュースは、アメリカだけでなく世界中の数多くのメディアで取り上げられ、大きな反響を呼びました。そこで今回は、DCコミックスのLGBTQ+キャラクターたちについて解説していこうと思います。

はじめに:LGBTQ+の定義について

先にLGBTQ+の一般的な定義について簡単にご説明します。

L(レズビアン)……肉体の性と心の性が女性で、性的指向が女性である人。
G(ゲイ)……肉体の性と心の性が男性で、性的指向が男性である人。
B(バイセクシャル)……肉体の性と心の性に関わらず、性的指向が両性である人。
T(トランスジェンダー)……肉体の性と心の性が一致しない人。
Q(クエスチョニングあるいはクィア)……性別や性的指向を定めきれていない状態の人。クィアはかつては同性愛者への侮蔑語であったが、当事者によっては肯定的な総称として使われることもある。

最近はこれらに、

I(インターセックス)……身体的に一般的に定められている男女どちらとも一致しない状態。
A(アセクシャル)……同性・異性ともに対して恋愛感情や性的指向を持たない人
+(プラス)……それらに包括できないセクシュアリティ。

などを加えることもあるようです。これらを踏まえていただくと、今回紹介するキャラクターたちの背景も理解しやすくなると思います。

DCコミックスにおけるLGBTQ+前史

長いDCコミックスの歴史において、社会的圧力や自主規制によってセクシャルマイノリティが描けなかった時代にも、実はLGBTQ+のキャラクターが登場していました。

1940年に登場した、老婆に変装する男性のヒーローのマダム・フェイタルや、下宿屋の女将さんが男性ヒーローに変身する元祖レッド・トルネードなどは、最初期の異性装ヒーローと見なされています。特に後者は、『キングダム・カム』や2000年代の『JSA』に登場しているので、意外にも現代とのリンクが強いキャラクターです。

10xx_キングダム・カム

『キングダム・カム 愛蔵版』(マーク・ウェイド作/アレックス・ロス画)
正義と真実の象徴であるスーパーマンが引退し、多くのヒーローたちも姿を消した近未来。混迷を極める世界を目にしたスーパーマンは、かつての仲間たちと共に復帰を決意する。

また、31世紀のチーム、リージョン・オブ・スーパーヒーローズのメンバーの一人で、1963年に登場したエレメント・ラッドは、女の子とのデートが苦手で、後になってもパートナーがいませんでした。そのためファンのあいだではゲイと見なされていたそうです。後年、彼のセクシュアリティはさらに追求されていくのですが、何度かのリブートを経て分かりづらくなってしまいました。

画像12

▲『Adventure Comics』Vol.1 #323

さらに1988年の『ミレニアム』誌上で、おそらくは初のオープンリー・ゲイのスーパーヒーロー、魔術師エクストラーニョが登場します (この頃、マーベルのノーススターはカミングアウト前だったので、オープンリー・ゲイではありませんでした)。ですが、華美な服装や女言葉(自分をuntie=おばさんと呼ぶ)、割とすぐにHIVで死んでしまう…など、あまりにもステレオタイプすぎる描写のため、当時から批判を受けていました。

画像11

▲『New Guardians』Vol.1 #7(1989)

こうした仄めかしや試行錯誤の歴史を経て、より現代的かつリアルな方向へ描写は変化していくことになります。

リアリティを追求しはじめた90~2000年代:誕生した二人のニューヒロイン

90年代から2000年代にかけて、ヒーローコミック全体がリアリティを求める方向へと進んでいきますが、DCコミックスの描くクィア表象もそれにつれて変化していきます。

この頃の代表的なキャラクターといえば、まず『ゴッサム・セントラル』の刑事レニー・モントーヤが挙げられるでしょう。

210309_ゴッサム・セントラル:正義と悪徳と

『ゴッサム・セントラル:正義と悪徳と』(エド・ブルベイカー、グレッグ・ルッカ作/マイケル・ラーク画)
ゴッサム市警の重大犯罪課ことMCUに所属する刑事の奮闘を描いた刑事ドラマ。レニー・モントーヤのエピソード「人生の半分」はLGBTをテーマとしたゲイラクティック・スペクトラム賞を受賞した。

モントーヤは、彼女の二面性に執着する悪人トゥーフェイスによって、同意なしに性的指向を暴露される、いわゆるアウティングの被害を受けます。警察での居場所を失い、保守的な家族からも見放された彼女は、事件のケリがついた後も、その傷をずっと背負っていくことになります。

その後、別の事件をきっかけに彼女は警察をやめ、2006年の『52』では目標を見失った姿で登場します。しかし彼女は、無貌の探偵ヒーロー、クエスチョン(ヴィク・セージ)と共に活動することで立ち直っていきます。そしてセージの死とともに新クエスチョンの名を継いでヒーローとして活躍することになりました。

そして、同じ『52』誌で展開されたレニーの冒険の中で、新バットウーマンことケイト・ケインが登場しています。

200220_バットウーマン:エレジー

『バットウーマン:エレジー』(グレッグ・ルッカ作/J・H・ウィリアムズⅢ画)
バットマンという守護者を失ったゴッサムシティに登場した新たなるヒロイン、バットウーマンの戦いを描く。

彼女には、軍人の父同様に士官学校に入るも、かつて米軍に敷かれていた「同性愛者であることを公表してはならない」という規定のため除隊することになった過去があります。彼女が本格的な主役を張るには、2009年の『バットウーマン:エレジー』まで待たなければいけませんでしたが、その後はバット・ファミリーの中でも異色の立ち位置を確立したと言えます。そして2021年のプライド月間を祝って出版された『DCプライド』の表紙では最前面を飾り、まさにDCの性的マイノリティキャラクターの旗振り役になりました。

レニーの受けたアウティングの被害も、ケイトの受けた差別も(両方同じ作家が送り出してますが)どちらもリアリティのある苦悩として描かれています。

ミッドナイターとアポロ

ミッドナイターとアポロは、元々DCコミックのヒーローではなく、イメージコミックスのワイルドストーム・レーベルで生まれたゲイカップルのキャラクターでした。

画像4

▲『Midnighter and Apollo』(2016-2017)

ワイルドストーム版のバットマンとスーパーマンともいうべき彼らは、ワイルドストームがDCに買収されたことにより、DCユニバースの一員となります。『ファイナル・クライシス』(ヴィレッジブックス刊)では、多元宇宙の全スーパーマンが集まるシーンでアポロも一員として参加しているので、「スーパーマンとバットマンがカップルだとしたら」という、もしもの姿がミッドナイターとアポロである、という解釈もできるのかもしれません。もっとも2011年の「ニュー52」以降は、彼らもスーパーマンとバットマンと同じプライム・アース(正史世界)に所属しているので、独立したキャラクターとしての扱いが主流のようです。

初代グリーン・ランタンのアラン・スコット

アラン・スコットはいわゆる元祖のグリーンランタンで、2000年代ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ(JSA)の重鎮でした。娘のジェイドと息子のオブシディアンもそれぞれヒーローとして活躍しています。その後、2011年の「ニュー52」でDCの世界の設定が刷新された際に、彼は、スーパーマン・バットマン・ワンダーウーマンが戦死した世界における若きゲイのヒーローとして仕切り直されました。

画像5

▲『All-American Comics』Vol. 1 #16(1940)

独自の冒険を繰り広げた後、2017年の『ドゥームズデイ・クロック』、2020年の『バットマン:デスメタル』を経て、アラン・スコットはメインのDCユニバースに再合流することになります。

かつてのコスチュームのまま老境のヒーローとして復帰するのですが、このときDC制作陣のあいだで、ゲイであるはずのアランに2人の子供がいることをどう説明するべきか?という議論があったそうです。結果、2021年の『インフィニット・フロンティア』で、アランはジェイドとオブシディアンの二人に対して、自分がゲイであることをカミングアウトしました。

これは、自分がゲイであることを隠したまま、あるいは気づかないまま異性と結婚し子供ももうけ、そのまま老後を迎える人たちも世の中には少なくない、その物語を語るべきだ――という考えから生まれた結論だそうです。これも物語にリアルを取り込もうという試みの一環ですね。

ハーレイ・クインとポイズン・アイビー

ハーレイ・クインとポイズン・アイビーの2人は、1992年スタートのアニメ版『バットマン』の頃から非常に仲が良く、レズビアンのカップルであるとしばしば見なされていました。時代がくだり、『ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ』から始まったシリーズでは2人は”ほぼ”恋人同士のような行動を取っているのですが、アイビーとの関係を維持したままハーレイは彼氏を作ったり、グリーンランタン(ハル・ジョーダン)に迫ったりしていました。

0210_ハーレイ・クイン

『ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ』(アマンダ・コナー、ジミー・パルミオッティ作/チャド・ハーディン他画)
ゴッサムからブルックリンにやって来たハーレイのハチャメチャな日常を描く。

この時期のハーレイについては、アイビーとポリアモリー(※)な関係を結んでいるバイセクシャルとするのが適切と思われます。またそれぞれ別次元の話になりますが、2017年の『DCボムシェルズ』では明確な恋人同士になったり、2019年から始まったアニメ『ハーレイ・クイン』では2人は2シーズンかけてお互いを愛してることを認めたり、2020年の『インジャスティス:イヤー・ゼロ』では結婚したりしています。

※ポリアモリー:全員の合意の上で複数のパートナーと関係を持つこと。

トランスジェンダーのヒーロー

一方で、DCコミックにおけるトランスジェンダーのヒーローはまだまだ少ないと言えるでしょう。最近の例ではドラマ版『スーパーガール』に登場したトランスジェンダー女性のヒーロー、ドリーマーが話題になりました。
彼女はリージョン・オブ・スーパーヒーローズの一人、ドリーム・ガールの先祖と設定されているようです。演者のニコール・メインズもトランスジェンダー女性で、『DCプライド』にドリーマー主役のコミック原作を寄稿しています。

コミックスにおける数少ない例では、2005年の『セブン・ソルジャーズ・オブ・ヴィクトリー』に登場したシャイニング・ナイトことイスティナが挙げられます。登場当初はあくまで騎士に男装している少女にすぎず、明確にトランスジェンダーだったかというと、そうではありませんでした。しかし2011年から「ニュー52」の一環として始まった『デーモン・ナイツ』誌ではイスティンと名前を変えてはっきりと トランスジェンダー男性として登場しています。

画像7

▲『Demon Knights』Vol. 1 #14
左下で剣を構えているのがイスティン

周りがイスティンをミスジェンダリングするのが一種のジョークになっていたのですが、これが次第にジェンダーアイデンティティに関するプロットになっていきます。一方、作中でイスティンは「自分は女性であり男性でもある」と告白したので、 インターセックス(身体的に一般的に定められている男女どちらとも一致しない状態)だった可能性もありえます。いまいちわかりづらいかもしれませんが、実際に作中描写もぎこちなかったため、この分野はまだ描写の試行錯誤の過程にあると言えるかもしれません。

アセクシャルのヒーロー

他人に性愛の感情を抱かないアセクシャルあるいはアロマンティックのキャラクターも、まだ非常に少ないのが現状です。2代目キッドフラッシュを経て、最終的に4代目フラッシュとなった インパルスことバート・アレンは、創造者のマーク・ウェイドが担当してた時期は他人に性愛の感情を抱かないキャラとして描かれていたため、アセクシャルとみなされることがありますが、設定として明確にされていたかどうかはわかりません。

画像8

▲『Flash/Impulse: Runs in the Family』(2021)

これがマーベルのワスプ(ナディア・ヴァン・ダイン)や2人目のブラック・ウィドウ(イリーナ・ベロワ)の場合は、クリエイターによって彼女らのアセクシャル性が明言されているのですが……。そもそもアセクシャリティはフィクション一般において”意識して”描かれることが非常に少なく、また非人間性や幼稚さと結びつけられがちという問題も抱えています。これもまた、試行錯誤の過程にある分野かもしれません。

ただ、数は少ないものの、DCにもはっきりとした実例があります。2013年に始まり短命に終わった『ザ・ムーブメント』は、レズビアンの黒人女性ヴァーチューがリーダーで、メンバーは行動障害を抱えたマウス、車椅子に乗っている元薬物中毒者のヴェンジェンス・モス、インドシナ難民の戦士カタルシス、狂信的な家庭で虐待されて育ったゲイのバーデン……とまさに早すぎた多様性ヒーローチームを描くシリーズでした。そのメンバーの一人で地震能力者トレマーは、彼女と付き合いたいマウスに対して、自分が自覚的なアセクシャルであることを表明しています。

画像9

▲『The Movement Vol. 1: Class Warfare (The New 52)』(2014)

ノンバイナリーのヒーロー

また自らに男女の枠組みをあてはめないノンバイナリーのキャラクターも登場し始めています。『スーサイド・スクワッド:バッド・ブラッド』に登場するエアリーはノンバイナリーで、女性の恋人のウィンクがいます。

210727_スーサイド・スクワッド:バッド・ブラッド

『スーサイド・スクワッド:バッド・ブラッド』(トム・テイラー作/ブルーノ・レドンド他画)
政府の汚れ仕事を請け負うスーパーヴィランによる隠密部隊スーサイド・スクワッド。本書では、スーパーテロリスト集団“レボリューショナリーズ”を討伐する任務を与えられる。

2020年の『DC’s・ヴェリー・メリー・マルチバース』に登場したキッド・クイックことジェス・チャンバースは性別反転アースの出身で、未来にはメインのDCユニバースに参加する可能性が、2021年の『フューチャー・ステイト:ジャスティス・リーグ』で示されています。この未来でのジェスは、アクアマンとメラの娘にして未来のアクアウーマンである、アンディ・カリーと付き合ってるようです。

画像13

▲『DC'S VERY MERRY MULTIVERSE』#1(2020)

再評価の時代

現在では、LGBTQ+を表明するクリエイターも増えており、当事者が増えてきた結果、過去のクィア表象についての再評価の試みも進んでいます。

前半でご紹介した魔術師エクストラーニョは、長らく黒歴史扱いされていたのですが、2015年の『ミッドナイター&アポロ』誌では、スタイリッシュなファッションを身にまとい、結婚して養子も育てているというアップデートされた形で復活しました(ちょっとだけ、もしドクター・ストレンジがゲイだったら?というイメージも入っているようです)。

2021年6月のLGBTQ +プライドマンスに寄せたDC公式サイトの記事では、「少数者についての表現が発展していくにつれ、その過程において過去に使われた――場合によっては悪意や無知や単純化から生まれた――シンボルとの対峙が求められる。それに二度と触れないこともできるが、文化の発展にあわせて新たな意味を与えることもできる」として、過去のLGBTQ+に関する表現の反省と再評価、そして現代化について紹介しています。その後、エクストラーニョは夫である獣人ヒーロー、タスマニアン・デビルと共に2021年の『DCプライド』にも登場し、性的マイノリティのキャラクターの先駆けとして再び脚光を浴びています。

ヒーロー以外にも:さまざまなLGBTQ+のキャラクターたち

コスチュームヒーローに限らなければ、さらに色々なキャラクターが出てきます。『バットマン:エターナル』を含む「バットマン(The New 52)」シリーズに登場するカレン・ハーパーはロビン(ティム・ドレイク)に憧れるゲイの少年です。

ゴッサム・アカデミー』に登場する問題児のコルトン・リヴェラは、仲間で学園のアイドル的男子生徒のカイル・ミゾグチに恋心を抱いていたことが判明します(未邦訳分の展開ですが)。

バットガール:バーンサイド』に登場したアリシア・ヨーは、魔法やSF要素抜きの現実的なトランスジェンダーキャラクターとして導入されました。魔法やSF要素のあるフィクションでは、トランスジェンダーのキャラクターはそうした要素に基づきがちなのですが、現実の世界にもトランスジェンダーは存在するので、重要なコンセプトと言えますね。

2020年代のスーパーマン

コミックにおける社会性の導入は、単に倫理を説くことが目的ではなく、現実の社会を生きる我々が共通点を見いだし、物語における共感と感動を呼ぶためのものです。LGBTQ+のキャラクターの登場は、現実の社会の反映といっていいでしょう。日本でも、LGBTQ+が占める割合は全人口の一割弱という調査結果もあります。

今回紹介できなかったヒーローは多数います。光を吸収するヒーローのレイ、2人目のアクアマンでありブラックマンタの息子のジャクソン・ハイド(あるいはカルダラーム)、ティーン・タイタンズのバンカー、一時女性と付き合っていたキャットウーマン、グリーンランタン(アラン・スコット)の息子オブシディアン、フラッシュの元・敵のパイドパイパー、映画『ザ・スーサイド・スクワッド "極" 悪党集結』にも登場したサバント、ヴァンダル・サベッジの娘スキャンダル、ロボの娘クラッシュ、ストリートの魔術師ジョン・コンスタンティン..……一記事の範囲内ではとても扱いきれません。話題になったワンダーウーマンやロビン(ティム・ドレイク)の件すら取りこぼさないといけない有様です。

ただ、DCコミックにこれほど多くの性的マイノリティのキャラクターがいても、「そんなキャラ知らなかった……」という方も多いでしょう。共感できる物語を、それを必要とする当事者の元に届けるには、熱心な読者ではない人の目にも届くほどのインパクトが必要なのです。

だからこそ『スーパーマン』誌を一旦終わらせてまで始めた『スーパーマン:サン・オブ・カル=エル』における、スーパーマンの看板を背負ったジョン・ケントのカミングアウトは重要でした。そこに「バイセクシャルのジョン・ケントが2020年代のスーパーマンである」という、DCコミックスの並々ならぬ覚悟とメッセージがこめられている、と思うからです。

画像14

▲『Superman: Son of Kal-El』#5(2021)

スーパーマンは現実の世界を救えるのか

『スーパーマン:サン・オブ・カル=エル』について、ライターのトム・テイラーは「クラーク・ケントの息子が、父親と同様に白人で異性愛者の救世主だとしたら、それは大きな機会の損失だと僕には思えた」と述べています。テイラーの言う通り、この作品は旧来のスーパーマン像の焼き直しではなく、スーパーマンのネームバリューを受け継ぐLGBTヒーローを誕生させる重大な機会となりました。より多くのLGBTQ当事者をエンパワメントするという、アメリカンコミックスを代表するヒーローであるスーパーマンにしか出来ないことだったからです。

結果的に、今回の件は世界中でニュースになり、アメコミに触れたことのない人まで『スーパーマン:サン・オブ・カル=エル』誌に興味を持つほどの大きな反響を呼びました。自分が記憶してるかぎり、スーパーマンの死を描いた1992年の『デス・オブ・スーパーマン』以来のインパクト、あるいはそれ以上かもしれません。

偉大なシンボルを継いだジョン・ケントの物語はまだ始まったばかりです。彼が物語の中だけでなく、現実の人々にも影響を与え、救うことができるのか、今後も見守っていきたいですね。

今回ご紹介した本


◆筆者プロフィール
吉川 悠
翻訳家、ライター。アメコミ関連の記事執筆を行いながらコミック及びアナログゲーム翻訳を手がける。訳書近刊に『コズミック・ゴーストライダー:ベビーサノス・マスト・ダイ』『スパイダーマン:スパイダーアイランド』(いずれも小社刊)など。Twitterでは「キャプテンY」の名義で活動中(ID:@Captain_Y1)。