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ポーランド滞在記録1【エコロジカルホイスコーレを訪れて】

どうも!

僕ら家族はポーランドにあるフォルケホイスコーレをモデルとした学校エコロジカルホイスコーレに向かうために陸路で国境を越えました。
その際のドタバタ記録は以下にまとめました。

無事にエコロジカルホイスコーレに到着。
2泊3日でお世話になります。

入り口にはエコロジカルホイスコーレを運営する団体であるGrzybowの紹介ボード
敷地に入っていくと、エコロジカルホイスコーレの建物があります。
中央、校長&発起人:Ewa、右:講師をしているDeja

2023年(昨年)に陸前高田を訪れてくれた二人と再会することができました。
そして、実際に現場を見ながら活動の話を聞けたことはとても貴重な時間でした。
彼女達の取り組みは非常に本質的でとても学ぶことが多かったです。

彼女達はエコロジーをコンセプトに、生産から加工、さらには教育までを含む、4つの事業を基軸に現在も活動しています。

1つ目:環境配慮を軸にした酪農
スイスで環境に配慮した農業を実践し学んできたPeterがこの地に移住し、1992年から手がけられてきた事業。その後、1994年に生物学や人類学を学んできたEwaと結婚し二人で手がけてきた。
まさにこの領域は二人の生活そのものであり、原点のような感じがします。
持続可能な生産といえば平たい表現になってしまいますが、エコロジーの観点を持ちながら人も自然の一部と位置付け直し、生産活動をしていくかということを長年探求し実践されてきた事業のように感じました。
現在は旦那さんのPeterが責任者となり運営しています。

敷地内にいる乳牛。僕も朝一緒にご飯をあげました。

2つ目:チーズとパンの加工・販売事業
週に約1000斤のパン、20kgのチーズを加工し販売しています。彼らが生産したオーガニックな食材を使い作ったチーズやパンは多くのファンがついています。また、加工場では女性を中心に働いており新しい地域の仕事を作っています。

工房で働く方々の様子。その日はパンを焼く日だったらしく美味しい匂いが立ち込めていました。

3つ目:小中学校向けのエコロジー教育研修「ZIARNA」
元々はEwaがPeterと結婚する前から別団体で手がけていた事業。その取り組みを別法人として立ち上げ現在に至る。講師には立ち上げた二人だけでなく生物学に詳しい方や地域の生産者も講師として迎え入れながら運営しています。小中学生を対象に自然と触れ合い、エコロジーに関する体験と考える機会を作ることを目的としている事業です。またいくつかの出版物のプロジェクトも行っています。

4つ目:フォルケホイスコーレをモデルとしたエコロジーを学ぶ学校「エコロジカルホイスコーレ」
2001年から試みられていた取り組みであり、2014年から本格的に財団のサポートを受け、校舎を設立し活動をしています。フォルケホイスコーレのような共同生活方の学び舎でエコロジーをコンセプトとした有機農業について理論、実践を含め学ぶようです。最初に約6ヶ月間の共同生活寮での学びがあり、その後14ヶ月このエリアの農場での実践的な研修へと移行します。

教室には様々な生態系に関するボードが置かれています。常に目に入る様々な生物の名前。
陸前高田に来た時に、その地域の生き物の名前を覚えることから始めましょうと言っていたことを思い出した。
農場にはガーデンと植物が植えてあるゾーンが多層的に展開されていた。

この全てを統合すると平たくいえば、人材育成までを含んだ、六次産業化のスーパーモデルという感じかなと思いますがこの取り組みを上記の言葉の枠組みを超えていると思っています。

いわゆる、現在日本で言われている六次産業化との決定的な違いはその根本的な目的意識にあると感じています。
彼らは経済中心的な産業のあり方や課題解決的な産業のあり方を提案している感じではありません。生産現場の担い手確保のための経済的に安定のモデルを作ることではないのです。

人を自然の一部として捉え直し、人が自然と関わり合いを持つことでより循環が促されるような位置付けとして彼らの活動を捉え、エコロジーという論理的な土台をもとに人が豊かに生きていくための土台としての有機産業を手がけ、教育事業を育て、同時に事業性も探求しています。
目的が違うので当然マインドセットも違っています。
結果的には同じようなアウトプットが表出して見えますが、その質は根本的に違うように感じます。

施設内には子ども達向けの公園も整備されており、オープンに多くの人が立ち寄れる設計がされている
施設内にあるボード。それぞれの資源がどれくらいで土に分解されるかがわかる。
こういう設置物の一つ一つから彼らの思想が感じられる。

例えば、その考え方は組織の運営方法などにも表れているように感じます。
Ewa曰く、decentralization(分散)型の組織をとていると、各事業がそもそも対等に意見を言えるように組織を分けていて民主的な解決を図り、お互いが信頼によって成り立つように組織運営しているとのこと。
centralization型では一人の理想的なリーダーがなんでも決める構造になるが、それ自体が組織を持続可能にしないということと、エンパワーメントを阻害するということです。

まさに、産業としてではなく人々のライフスタイルそのものへの提案をしているようなそんな空間でした。
明確な領域をきめ、確かな願いを持ち、できることからコツコツと続け突き抜けていく力強さを感じるとともに、その背景に宿る情熱と愛情深さに只々尊敬の気持ちでいっぱいでした。

僕が生まれたのが1992年。同じ30年という時間をかけてかけてこの場所から育ててきたわけです。一朝一夕でできることではない。
それでも、むしろここからという感じでEwaも新しいチャレンジに向かっていました。後半は、そんなEwaと共に散策したポーランドの滞在を通じての気づきをまとめていきたいと思います。

それでは!

エコロジカルホイスコーレの壁に描かれた壁画。なんとも素敵だ。

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