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足りない点ばかりに目がいってしまう人に読んで欲しいnote

今年も終わりに近づき、そろそろ来年の計画を考える季節ではないでしょうか。私のところにも、来年度のブランド戦略を考えたい・・という相談が増えてきました。

さて、みなさんは、来期の戦略を考える時、どこから考え始めるでしょうか。今期の課題でしょうか。それとも、未来予測でしょうか。

私は、このような節目のタイミングでは、商品やサービスの「良い点」について改めて考える時間を持つことをおすすめします。

実は、良い点を探すのは、広告の仕事の基本です。

商品の欠点や課題を100個ならべたところで、お客さんが「欲しい!」と思えるような広告を作ることはできません。

しかし、自分がよく知っている商品の「良い点」を見つけるのは、意外と難しいもの。むしろ、足りない点ばかりに目がいってしまいます。(だから、広告会社のような第三者が必要なのだと思いますが・・)

そこで今日は、広告会社の人がどのように「良い点」を見つけているのかについて書いてみたいと思います。


良い点を知ると、未来が変わる


就職活動で自己PRを考える時、自分の弱みはたくさん見つかるのに、強みや長所が見つからずに苦労した経験はありませんか?

それと同じで、自社の商品は、よく知っているからこそ、「良い点」よりも欠点や課題などの足りない点に目が向いてしまいがちです。

もちろん、欠点や課題の把握も重要です。しかし、「良い点」について知っておくことで、見えてくる未来像が変わってきます。

例えば、大学のオンライン授業について、こんな記事がありました。

筆者である大学講師は、世間からは「大学に入ったのにオンライン授業なんて可哀想」とネガティブに思われているオンライン授業だが、ポジティブな面に目を向けようと主張しています。

具体的には、オンライン授業になって、以下のようなメリットがあったとしています。

・学生からの質問やコメントが増えた
・先生にメールする機会が増えるので、文章力が高まった
・グループワークで発言せざるを得ないため、発言量が増えた
・動画や資料へのアクセスログが残るので、学習進捗管理がしやすい
・アクセスログで学生の「やる気」が見える化できた

こうしてみると、オンライン授業ならではの良い点がたくさんあるのに気がつきます。私も大学の非常勤講師をしていますが、どれもその通りだと思います。

特に、データをもとに個別の学生に対するきめ細やかなフォローができるようになった点は、「教育のDX」とも呼ぶべき進歩だと感じます。

例えば、あなたが大学の学務主任で、来期の授業構成について考えるとしたら、上記のようなオンライン授業のメリットを知っているのと知らないのとでは、考え方が大きく変わるのではないでしょうか。

また、あなたが大学の職員で、受験生や父母にオンライン授業について伝えるとしたら、やはり上記のようなメリットを知っていることで、伝え方が大きく変わってくると思います。

このように、商品やサービスの「良い点」に着目することは、今後の戦略を考えたり伝えたりする上で、とても重要なことなのです。


自分の中に複数の視点を持つ


では、どのように「良い点」を見つけたら良いでしょうか。ここでは、私が会社の先輩達から学んだ「良い点」の見つけ方を、事例を使ってご紹介します。

私の会社で以前行われた若手研修で、こんなお題が出ていました。

「鉛筆の広告を考えなさい」

小学生の頃は当たり前のように使っていた鉛筆ですが、少子化の影響で需要も減少傾向。そんな鉛筆を活性化するような広告を考えるのがテーマです。

このような場合、陥りがちな発想は、次のようなものです。

・鉛筆は、手が汚れるから困るよな
・削らなければいけないのが手間だ
・昔、机の上を転がって困った

上記のような欠点や課題に目が向いた結果、例えばこんな広告になりがちです。

「手が汚れにくい鉛筆、できました。」

ある先輩は、このような発想を「コンプレックス・マーケティング」だと言っていました。

「鉛筆は手が汚れる」というコンプレックスを払拭しようと、従来よりも多少汚れにくいものを作り、広告したくなってしまいます。

しかし、消費者からみればそこまで大きな差ではなく、手が汚れるのが嫌な人は「そもそも鉛筆ではなく、ペンでいいや」となりがちです。これでは、良い広告とは言えません。

必要なのは、コンプレックスの払拭ではなく、鉛筆ならではの「良い点」を見つけること。しかも、良い点をなるべくたくさん見つける方が、可能性が広がります。

早速、私も鉛筆の「良い点」を考えてみました。

・木なので軽い
・木なので環境に良さそう etc.

うーん、実際に考えようとすると、そんなにたくさんは思いつきません。

そもそも私自身、最近あまり鉛筆を使っていないことに気づきます。

どうしたものか・・。

そんな時は、考える「主語」を変えてみましょう。

主語を変えるとは、自分とは違う人になりかわって、鉛筆の良さを考えることです。

・大人の女性にとって、美文字を目指す訓練の道具になる
・お小遣いが少ない中学生にとって、お財布に優しい筆記具である
・シニアにとって、自分で削れば愛着のある一本になる
・受験生にとって、マークシートを選ぶサイコロになる
・恋愛中の人にとって、気持ちが伝わる手紙が書ける  etc.

このように、自分以外の人になりきって考えると、意外と「良い点」がたくさん出てきます。そうして並べた「良い点」を見つめていると、未来に向けたヒントが見えてくるのです。

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これが、私が広告作りで学んだ「良い点」の見つけ方です。

これはおそらく広告だけでなく、商品やサービスの事業展開について考える時にも役に立つ手法だと思います。

ぜひ、来期の戦略について考える時に、試してみてください。


色々な人と接して、視点を増やす


このような「主語」を変える発想法を磨くためには、日頃から色々な人の考えに触れる必要があります。

普段あまり接点がない人、例えば若い人や、お年寄り、地方に住んでいる人や外国人など、チャンスがあれば接点を持ちたいと、常に思っています。

自分とは違う環境で生きる人たちが、どんな価値観で生活しているのかを自分の中にストックしておくことで、「良い点」を見つける視点を増やすことができます。

コロナがやや落ち着きある昨今、感染対策には十分注意した上で、色々な人との接点を少しずつ、意識して増やしていきたいですね。


※Twitterでは気になる商品に一言、「良い点」を添えて投稿してます。これも「良い点」を見つけるトレーニングかも?


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